質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

ETCに関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年六月二日

中村 敦夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   ETCに関する第三回質問主意書

 これまで、二回にわたりETCに関する質問をしてきたが、施策の合理性・正統性・妥当性を理解するに至っていない。それどころか、施策への疑念が増すばかりである。
 したがって、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目内及び各項目間の論理的整合性に注意しつつ、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、二〇〇一年度、二〇〇二年度、二〇〇三年度の各一般会計予算におけるETC関係予算額を項目別に示されたい。

二、本年二月七日に提出した「ETCに関する質問主意書」の「二」で、「ETC導入に当たり、他に考えられる渋滞解消策との精密な比較検討を行ったか」と尋ねたところ、三月四日に受領した「ETCに関する質問に対する答弁書」(以下「答弁書」という。)において、政府は明確な答弁をしなかった。後日、国土交通省道路局有料道路課に問い合わせたところ、「他に考えられる渋滞解消策との精密な比較検討」を行っていないとのことであった。
 なぜ、政府は、ETC導入に当たり、他に考えられる渋滞解消策との精密な比較検討を行わなかったのか。

三、答弁書「三について」によると、道路関係四公団の管理する道路において発生する渋滞のうち、約三割が料金所に起因するものとみなしている。一方、答弁書「五について」によると、「料金所の手前は基本的に本線部と比較して大きく拡幅した構造となっており、従来から、料金所においていったん停車をしても著しい渋滞が発生しないよう、交通需要を考慮した数の料金所ブースが設置されているところである」と答弁している。
 なぜ、「料金所においていったん停車をしても著しい渋滞が発生しないよう、交通需要を考慮した数の料金所ブースが設置されている」にもかかわらず、道路関係四公団の管理する道路において発生する渋滞のうち、約三割が料金所に起因しているのか。

四、答弁書「五について」によると、「ETC利用者が全体の半数程度まで増加すれば、料金所周辺の渋滞はおおむね解消される」と答弁している。一方、答弁書「八について」によると、「ETC利用者に特化した多様な料金施策等の普及促進策の実施及びETC車載器の価格の更なる低廉化により、ETCの普及が促進されるものと考えている」と答弁している。
 政府は、「ETC利用者」を「全体の半数程度まで増加」させるために実施する「ETC利用者に特化した多様な料金施策等」によって減少すると予測される収益について、どのようになると考えているのか、具体的に示されたい。また、「ETC車載器の価格の更なる低廉化」を見込んでいるが、「ETC利用者」を「全体の半数程度まで増加」させるために、政府の考える適正なETC車載器の「低廉化」価格を示されたい。

五、政府は、「ETC利用者が全体の半数程度まで増加」し、「料金所周辺の渋滞はおおむね解消される」のは、いつごろと予測しているのか。

六、自動車ユーザーがETCを利用するためには、ETC車載器を購入しなければならない。有料道路料金という大臣認可の公共料金を支払うシステムのために、利用者が公共料金とは別に負担を強いられるのは、おかしいと考えるが、どうか。

七、なぜ、ETC車載器を無料でユーザーに使用させないのか。

八、政府は、ETCの普及が進まない原因は何と考えているか。

九、四月十五日に受領した「ETCに関する再質問に対する答弁書」(以下「再答弁書」という。)の「四について」によると、「ハイウェイカードについては、その偽造が社会問題化」しているため、「五万円及び三万円の高額のハイウェイカードについて、今般廃止されることとなった」と答弁している。一方、一万円以下のハイウェイカードについては、存続されると聞いている。
 五万円及び三万円のハイウェイカードが偽造されるのであれば、当然、一万円以下のハイウェイカードも偽造される可能性がある。それにもかかわらず、偽造防止対策として五万円及び三万円の高額ハイウェイカードのみを廃止したのはなぜか。単なる経験論ではなく、合理的な理由を示されたい。あわせて、五万円及び三万円のハイウェイカード廃止による偽造防止効果をどの程度と見込んでいるのか、金額で示されたい。

十、高額ハイウェイカードの廃止について、偽造防止対策は名目にすぎず、ETC利用への転換を促すことも目的ではないのか。

十一、ハイウェイカードについて、ETCカードと同レベルのセキュリティー機能を持つICカード技術を利用したプリペイド式とすれば、偽造防止対策と同時に、従来からのハイウェイカード利用者に対するサービス低下も防げると思われるが、どうか。

十二、再答弁書「五及び六について」に関して、有料道路料金を除く大臣の認可する公共料金において、利用に際して料金の後払いを理由として信販会社の審査を経る必要のあるものがあれば示されたい。該当する公共料金がなければ、ETCによる有料道路料金の支払のみが、後払いであるために信販会社の審査を受けなければならない理由を示されたい。

十三、ETCの開発にかかわった主な企業名及びETC車載器を開発・販売している主な企業名を示されたい。また、それらの企業に再就職している国土交通省(旧建設省)道路局長、道路局次長及び有料道路課長経験者がいれば、それぞれの名前と現在の企業内における役職を示されたい。

  右質問する。