質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

医療の現場におけるインフォームド・コンセント及び診療情報の提供の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年五月二十二日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   医療の現場におけるインフォームド・コンセント及び診療情報の提供の在り方に関する質問主意書

 医療の現場におけるインフォームド・コンセント及び診療情報の提供については、患者と医療従事者とのより良い信頼関係の構築、情報の共有による医療の質の向上、医療の透明性の確保、患者の知る権利の確立等の観点から積極的に推進することが求められている。
 政府においても、その普及・定着に向け、医療法の改正を始めとする環境整備を進めているところであり、その取組には一定の評価をなし得るものと考える。
 しかし、医療の現場では、「患者への説明時間が診療報酬に反映されていないので、詳しい説明が聞けるようになるには制度改正が必要」と医療機関の経営を考慮したような発言をする医師がいたり、血液検査の結果の提供を受けるのに一か月以上も待たされる等、遺憾な事例も散見される。
 政府は、憲法第二十五条により、国民の社会保障の向上及び増進のため不断の努力をなすべき義務を負うのであり、この際、インフォームド・コンセント及び診療情報の提供について、医療従事者に対し、その趣旨を更に徹底するための措置を講ずる必要がある。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、政府は、「患者への説明時間が診療報酬に反映されていないので、詳しい説明が聞けるようになるには制度改正が必要」と患者に発言する医師がいるということについて、どう考えるか。
 例えば、説明時間が診療報酬に反映されないことも原因と考えるのか。

二、インフォームド・コンセントは、既に医療法第一条の四第二項において、医療従事者の義務とされているが、いまだ十分な理解のない対応も見られることにかんがみると、少なくとも重篤な疾病については、説明のための時間を診療報酬に反映させるべきものと考えるが、政府の見解はどうか。

三、診療結果情報の報告・提供については、患者が担当の医師以外に対しても申請できるようにすべきと考えるが、政府の見解はどうか。

四、政府は、情報提供の申請から患者に実際に提供されるまでの期間について、ガイドラインを設けるつもりはないか。

五、インフォームド・コンセント及び診療情報の提供について、その趣旨を医療の現場に徹底させるため、政府は今後どのような方策を採るのか。

  右質問する。