第156回国会(常会)
質問第二二号 結核診断に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十五年四月十七日 神本 美恵子
参議院議長 倉田 寛之 殿 結核診断に関する質問主意書 二〇〇三年四月から子供に対する結核対策は、乳幼児に対するツベルクリン反応検査とBCG予防接種の実施は以前からのままであるが、小学校一年・中学校一年生に対しては、ツベルクリン反応検査とそれに基づくBCG予防接種の廃止に代えて学校での健康診断の強化などに変わることが決まった。 「学校保健法施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメントの結果(二〇〇三年一月一七日)を公表した文部科学省のホームページによれば、「厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会の提言においても、ツベルクリン反応検査の中止に伴い、結核罹患を疑わせる者については、早期発見の仕組みを検討することが必要とされており、また、児童生徒が、万が一、結核に罹患した場合には、健康上だけでなく教育上も重大な影響があり、今後も、結核は児童生徒の重大な健康課題であることから、感染者及び発病者の早期発見・早期治療のため、定期健康診断において、問診を行い、対象者を絞り込んで重点的な検査を実施することとしました」とある。 この中で、主に児童生徒における改正点について質問する。 一、文部科学省では、小中学校での罹患状況の過去の統計を把握した上で、どのような見解を持っているのか明らかにされたい。 二、集団的健診では患者の発見及び診断は、非現実的かつ非効率的で無理であると思料する。したがって、学校保健上、結核対策の重点を「定期健康診断における結核健診マニュアル」に置いてエネルギーを注いでも、「労多くして益無し」になることが心配される。 今回の学校健診で結核患者の早期発見・早期治療はどの程度可能だと考えているか明らかにされたい。 三、「学校保健法施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメントの中で、「問診を実施するに当たってプライバシーの保護ができるのか」との疑問がある。地域の罹患状況は診察医師から保健所に届け出されており、これまでの患者についても把握している。にもかかわらず問診を実施することについては、プライバシーの侵害について危惧する声が多い。さらには、不確実な調査で精密検査に回されたり、無駄なX線撮影や予防内服が行われることも心配されるが、この点についての見解を示されたい。 四、これらの学校健診に伴う、問診票による人権侵害の起きるリスク、健診に伴う医療行為による責任は、一義的には、「定期健康診断における結核健診マニュアル」を作成した文部科学大臣にあるのか、若しくは教育委員会及び学校にあるのか、明らかにされたい。 五、児童、生徒の結核対策についての予算措置はどのようになるのか示されたい。 六、「学校保健法施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメントの中で、「新たな結核の健康診断では精密検査の対象者を拾いすぎる可能性があるのではないか」との疑問に対して、文部科学省は「新たな結核の健康診断の実施状況について、適切に評価してまいります」としているが、「適切に」の内容はどのようなものか。評価委員会のようなものを設置するのか、設置するとしたらその構成はどのようになるのか。また、現場の意見はどのように反映させるのか明らかにされたい。 七、BCG再接種廃止に伴い、就学時健診での予防接種歴のチェックが厳しくなると思われるが、この点についての見解を示されたい。 八、乳幼児については、ツベルクリン反応検査を行わないで、直接BCG予防接種をする方向のようであるが、この点についての見解を示されたい。 右質問する。 |