質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

CS放送に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年四月七日

平野 貞夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   CS放送に関する質問主意書

 CS放送は、一〇〇社を超える委託放送事業者のうち、その大半は赤字であり、もうかっているのは「ポルノ」だけという誠に惨憺たる状態になっている。このままでは、委託放送事業者の多くが、債務の累積によって事業を休止あるいは廃止に追い込まれ、遠からず我が国においてCS放送を行うことができなくなるおそれすら予想される。
 そのようなことになれば、今日のような高度に発展した情報化社会において、迅速に良質な情報を伝達する有力な手段を失うこととなり、国家国民にとって大きな損失である。
 CS放送が事業として成り立たなくなっている原因の一つは、通信衛星を運行しているジェイサット株式会社の委託放送料金が高額過ぎることと、CS放送を行う上で株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズがその優越的地位を濫用して、委託放送事業者に不利な取引条件を押し付けていることにあると考えられる。
 そこで、CS放送事業を健全に発展させることによって、真に国家国民の利益に資するため、この業界の現状を把握し、何をどのように改革しなければならないかを明らかにする必要がある。
 このような立場から、次の点について質問する。

一 CS放送事業者の過去五年間のCS放送事業の収支がどのようになっているか明らかにされたい。

二 ジェイサット株式会社の過去五年間の収支がどのようになっているか明らかにされたい。

三 総務大臣は、CS放送事業者の大半が赤字であることの原因をどのように考えているか明らかにされたい。

四 CS放送事業者の大半が赤字で、ジェイサット株式会社が大幅な黒字を出している現状を改善する必要があると考えるがいかがか。

五 総務大臣は、ジェイサット株式会社に対し、現状を改善するための一つの方策として、委託放送料金を引き下げるよう指導する考えはないか明らかにされたい。

六 総務大臣は、CS放送において、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズがどのような役割を果たしていると認識しているか、その認識を明らかにされたい。

七 総務大臣は、委託放送事業者と株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズとの間の送信契約の内容がどのようなものであると認識しているか明らかにされたい。

八 総務大臣は、委託放送事業者が株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズに対して、送信料としてどれくらいの支払を行っていると認識しているか、その認識を明らかにされたい。

九 平成一三年一二月一日から始まった「ベーシック・パック」に参加している委託放送事業者が届け出た放送料金の全額を事業者ごとに明らかにされたい。

十 その料金がどのようにして決定されたか総務大臣の認識を明らかにされたい。

十一 総務大臣は、「ベーシック・パック」に参加している委託放送事業者間の放送料金の分配の妥当性についてどのように認識しているか明らかにされたい。

十二 総務大臣は、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズがCS放送における優越的地位に基づいて、委託放送事業者間の「ベーシック・パック」の放送料金の分配を取り仕切ったという事実についてどのように認識しているか明らかにされたい。

十三 平成一三年一月三一日、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが自分の持っている番組宣伝用の二〇四チャンネルを使い、「国会チャンネル」と称して、国会中継を行っているが、これは放送法第五二条の一七第一項及び第五六条の二第八号に違反するものと考えるがいかがか。

十四 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズやジェイサット株式会社が、委託放送事業者である株式会社シー・ネットに対し委託放送事業者の廃業届を出し、番組制作になるよう要求した事実があるが、このような行為について総務大臣としてどう考えるか明らかにされたい。

十五 平成一三年一一月三〇日、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、「国会TV」の委託放送事業者として放送料金の届出を行っているが、他の委託放送事業者の放送を自分の放送として届け出ることは放送法上許されるのかどうか総務大臣の見解を明らかにされたい。

十六 平成一三年一一月一日以降、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが株式会社シー・ネットの了解を得ないで「鍵開け」して、視聴者に対して「国会TV」を視聴させているが、このようなことは放送法上違法ではないのかどうか総務大臣の見解を明らかにされたい。

十七 総務大臣としては、CS放送における株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの独占的地位にかんがみて、プラットホーム事業者として放送法上位置付け、委託放送事業者との契約内容や料金を届出させる必要があると考えるがいかがか。

  右質問する。