質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

「日米防衛協力のための指針」の検討状況等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年二月二十七日

小泉 親司   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   「日米防衛協力のための指針」の検討状況等に関する質問主意書

 防衛庁は、昨年三月十九日の外交防衛委員会で、「日米防衛協力のための指針」(以下「日米ガイドライン」という。)に基づく日米共同計画検討委員会で作業した内容についての日米間の合意があり、日米が署名したことを明らかにした。
 この内容がどのようなものかは、「武力攻撃事態法案」等の有事法制案とも密接に関係する重要問題である。
 よって以下質問する。

一、日米間が署名した合意について

1 二〇〇一年九月、在日米軍副司令官と統幕会議事務局長が署名した文書は、単一の文書なのか、それとも複数の文書なのか。
2 日米ガイドラインは、いわゆる日本有事の「日米共同作戦計画」と周辺事態の「相互協力計画」を作成するとしている。防衛庁は、今回の合意は「作業の進捗の確認」(外交防衛委員会)としているが、「日米共同作戦計画」と「相互協力計画」の一定の段階の計画が含まれていると理解してよいのか。
3 日米ガイドラインは、「日本への武力攻撃が単独で生起する場合」、「周辺事態が日本に対する武力攻撃に波及する場合」、「両者が同時に生起する場合」の検討がおこなわれることになっている。
① 今回の合意には、これらのすべてが含まれているのか。
② 「日本への武力攻撃が単独で生起する場合」は含まれているのか。
③ 周辺事態と日本への武力攻撃が同時に生起する場合は含まれているのか。
4 日米ガイドラインは、後方地域支援として、「地方自治体が有する権限ならびに民間が有する能力を適切に活用する」としているが、今回の日米合意は、地方自治体や民間の協力について含まれているのか。
5 昨年署名された日米合意の今後の処理について
① 今後更に検討され、アップデイトされていくものなのか。
② それとも、別に新たな作業が進められていくのか。
③ あるいはその両方が並行して検討されていくということなのか。
6 日米共同計画検討委員会は、「共通の基準及び実施要領等」についても検討することとなっているが、その作業結果を得たのか。また、何らかの日米間の署名をおこなったのか。もしおこなっていない場合は、どのような現状なのか、具体的に明らかにされたい。
7 今回の合意は、今後どのレベルまで報告されるのか。
① 日米防衛協力小委員会(SDC)、日米安全保障協議委員会(SCC)にはそれぞれ、いつ報告されるのか。
② 大統領及び内閣総理大臣には、いつ報告されるのか。
③ どの機関にもいまだ報告していないとすれば、当該日米署名の合意について、今後どのように扱っていくのか日程・段取りを示されたい。

二、「包括的メカニズム」について

1 日米ガイドラインに明記された「包括的メカニズム」によれば、関係省庁との連絡・調整をおこなうこととなっている。
① 日米共同計画検討委員会が連絡・調整を求める対象となる省庁を具体的に明らかにされたい。
② 二〇〇一年九月の日米合意に至る過程で、外務省・防衛庁はどの省庁と何回、連絡・調整をおこなったか。日時、参加者を示されたい。また、どういう点でその連絡・調整が必要であったのかを明らかにされたい。
③ また、今回の合意を得るに当たって、関係省庁局長会議が開催されたか。開催されているとすれば回数、日時、出席省庁、参加者を明らかにされたい。
④ 今回の日米合意は、「周辺事態法」に基づく協力を前提としているのか。
⑤ 日米合意を得るに当たって、地方自治体や民間と公式・非公式の協議をおこなったか。
2 「包括的メカニズム」によれば、日米共同計画検討委員会は関係各省庁との連絡・調整を「必要の都度、外務省・防衛庁が設定」するとしている。対象となる関係各省庁を示されたい。また、「必要」と判断する基準を明らかにされたい。

三、日米共同調整所等について

1 二〇〇〇年九月、日米ガイドラインに基づく「日米間の調整メカニズム」が立ち上げられた。この「調整メカニズム」は、「緊急事態において各々の活動に関する調整」とされているが、「緊急事態」とはどのような「事態」をいうのか。この「事態」には、「日本が武力攻撃を受けた場合」や「周辺事態」ばかりでなく、テロや不審船の対応なども含まれているのか。
2 日米政策委員会の構成は、外務省、防衛庁、米国務省、国防省の代表者とされるが、「必要な場合には、他の関係省庁の代表者も参加」とも記述している。
① 「必要な場合」とはどういう場合のことをいうのか。
② 関係省庁とはどの省庁か。
③ 日米政策委員会の役割を例示をもって具体的に示されたい。例えば民間の港湾や飛行場を使用する場合、日米政策委員会が協議・調整することとなるのか。
3 日米ガイドラインは、「必要なハードウエア及びソフトウエアを備えた日米共同調整所を平素から準備しておく」と明記している。
① 日米共同調整所は既に設置されているのか。そうであれば、設置の期日、場所、その数を具体的に明らかにされたい。
② 日米共同調整所には、日本側はどのような関係省庁が参加することになるのか。アメリカ側は、どのような省庁、どのような米軍部隊が参加することになるのか。常時、特定の場所に詰めることになるのか。
③ 日米共同調整所は、平時から設置されることになっているが、平時の現在、どのようなことを協議しているのか。
④ 日米ガイドラインに基づく日米共同演習は、平時、緊急事態などあらゆる状況下を想定して実施されていると思うが、「周辺事態」等を想定した日米共同演習は、日米共同調整所が調整しているのではないか。
4 日米共同調整所は、「周辺事態法」あるいは「武力攻撃事態法案」に基づく地方自治体や国民の協力に関する調整もおこなうのか。

  右質問する。