質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年二月七日

山下 八洲夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問主意書

 平成十四年十一月一日、警視庁はJR東労組の役員ら七名を強要容疑で逮捕し、これまでに約七十か所に上る職場、組合役員宅等の家宅捜索を執行している。十一月二十二日には七名全員が起訴された。そして、事件の中心人物のJR東労組大宮地方本部副委員長は革マル派幹部と報道されている。かねてより警察庁警備局長は国会答弁で「JR東労組への革マル派の浸透」について明らかにし、治安問題と認識し注意を喚起してきたが、本件は、浸透による悪影響の具体的な表れであり、飽くまでも氷山の一角にすぎないと考える。我が国の重要な基幹産業であるJR東日本という公共交通機関の労働組合に過激派が浸透していることは、極めて憂慮すべき事態であり、一刻も早く正常化を図る必要があると考える。
 このような認識から、次の事項について質問する。

一 本件の捜査状況を明らかにされたい。

二 JR総連、JR東労組に対し「革マル派が相当浸透している」といえる根拠と実態を明らかにされたい。

三 JR東労組への革マル派の浸透により、JR東日本会社内における職場管理、安全輸送等に関する影響の実態を明らかにされたい。

四 本件の中心人物とされるJR東労組幹部役員が革マル派幹部であることの根拠及び同人物の革マル派内での位置付けとJR東労組内での影響力について明らかにされたい。

五 過激派革マル派の社会的な危険性について見解を明らかにされたい。また革マル派がJR総連、JR東労組に浸透工作を働く真の狙いは何なのか。更に浸透が進めば、今後、どのような事態が起こり得ると考えられるか。

六 革マル派が国内最大の極左暴力集団になったとされるが、同派の活動資金の捻出、調達についてどのように考えるか。また、JR総連、JR東労組がその資金源になっているおそれはないのか、見解を明らかにされたい。

七 JR東労組の組織方針に従順でない組合員や、他労組組合員に対する集団的な追及、嫌がらせなどの犯罪的事態は他にも数多く発生している。今回の強要事件は、徹底した排他的性格を持つとされる革マル派の影響を受けた、JR東労組の組織方針に基づき発生したものと考えるがどうか。

八 JR東労組は今回の事態を憲法第二十八条が保障する団結権に基づく「組織を維持・防衛する活動」としているが、本件のような暴力的な強要行為は、正当な労働組合活動を大きく逸脱するものと考えるがどうか。

九 今回の強要事件は数十回、おおむね六か月間に及び、職場内で、あるいは勤務時間内に敢行されたとされる。当然、JR東日本の職場管理者はこれを把握していたと認識するが、これを黙認し、退職に至るまで適切な対応を欠いた会社の職場管理責任及び犯罪を助長、誘発した責任について、見解を明らかにされたい。

十 JR東日本は、我が国の重要な基幹産業、公共交通機関としての責務を有している。にもかかわらず、今回の事件でJR東労組の犯罪行為を黙認し、その経過を知りながら、提出された退職願を受理した。また、昨年二月に発令された東京支社における、元JR東労組役員の管理職人事の問題に関してJR東労組との間で対立があり、JR東労組松崎元会長は、この件について社長が労働組合に陳謝したと講演している模様だが、そうした事実はあるのか。さらに、昇進、昇格、配転などの会社人事で、JR東労組を極端に優遇し、社員の労働組合の所属による差別的な扱いが横行しているとも聞く。JR東日本のこのような姿勢は、既にJR東労組の組織を通じて、革マル派に会社の人事権を侵されていることの証左ではないかと危惧するが、見解を明らかにされたい。

十一 JR東日本は、我が国の重要な基幹産業、公共交通機関として、過激派を厳しく排除すべき責務を持つことは当然である。しかし同社社長は最大労組のJR東労組への革マル派浸透を再三指摘されてきたにもかかわらず、国会で「労働組合としてとくに問題があると思っていない」と答弁するなど、過激派排除に対する認識が極めて薄いと考えるが、こうした会社の姿勢に対する見解を明らかにされたい。

十二 国土交通大臣は昨年十二月四日の衆議院国土交通委員会でJR東労組への革マル派浸透問題に関し、安全運行確保の視点からJR東日本を指導していく旨の答弁を行った。監督官庁はJR東日本に対し、今日までどのような指導を行ってきたのか。また、大臣答弁を踏まえ、今後どのような指導を行っていく考えか明らかにされたい。

十三 JR総連本部及びJR東労組以外のJR総連加盟の労働組合への革マル派の浸透の実態はどうなのか。

  右質問する。