質問主意書

第155回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一五五第一七号
  平成十五年一月三十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員岩佐恵美君提出滋賀県志賀町和邇中の廃棄物不法処分問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岩佐恵美君提出滋賀県志賀町和邇中の廃棄物不法処分問題に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねは、平成十四年十月十七日付けで参議院議員岩佐恵美事務所に対してファクシミリにより送信した文書についてのものと考えられるが、当該文書における御指摘の箇所は、滋賀県(以下「県」という。)に対してお尋ねの廃棄物が投棄された地域(以下「本件投棄地」という。)における廃棄物の量を確認したところ、本件投棄地には、残土処理と称して残土中に廃棄物が混ぜて投棄されており、投棄物中には残土がかなりの量を占めていると考えている旨の県からの回答をお伝えしたものである。

一の2について

 本件投棄地における廃棄物の量等の調査について、県に確認したところ、本件投棄地に投棄されたものの多くは残土であると認識しており、現段階では本件投棄地全域における廃棄物の量等を調査することは考えていないが、引き続き本件投棄地の監視を行うとともに、本件投棄地の南東部の区域については、ガスが発生している状況を踏まえ、投棄されている廃棄物の量等の把握に努めたいとのことである。
 なお、環境省においては、県が、今後、本件投棄地の監視等を継続して行う中で、生活環境の保全上支障が生ずるおそれがあると認められる場合には、本件投棄地の南東部の区域以外の区域についても投棄されている廃棄物の量の把握を行う等適切な措置を講ずべきであると考えており、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

一の3について

 県は、本件投棄地への廃棄物の投棄は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「法」という。)第十二条第一項に規定する産業廃棄物処理基準(特別管理産業廃棄物にあっては、法第十二条の二第一項に規定する特別管理産業廃棄物処理基準)に適合しない産業廃棄物の処分であることから、当該処分を行った者(以下「行為者」という。)に対し、これまでも当該処分が行われた廃棄物の撤去等必要な措置を講ずるよう指導してきたところであり、引き続き行為者に対し指導を行っていくとのことである。
 環境省においては、県知事は、行為者の責任を追及するとともに、法第十八条第一項の規定に基づく行為者等に対する報告の徴収及び法第十九条第一項の規定に基づく行為者等の事務所等への立入検査を行い、行為者に処分を委託した者を特定し、その責任を追及していくことが必要であると考えており、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

二の1について

 お尋ねの県の検査については、平成十四年十月四日にガスが噴出している地割れ部分の土中からガスを採取し、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)附則第九項に規定する指定物質抑制基準(以下「指定物質抑制基準」という。)又は悪臭防止法(昭和四十六年法律第九十一号)第四条第一項第一号に規定する規制基準(以下「規制基準」という。)が定められている物質等について、その濃度を分析したものであり、多種類の物質が検出されたものの、いずれの物質も指定物質抑制基準、規制基準等において定められている基準値を超過していないことから、直ちに周辺生活環境等に影響が懸念されるような高い濃度の物質は検出されなかったとされていると承知している。
 また、当該ガスによる周辺環境への影響状況を確認するため、同年十一月二十七日及び二十八日にガスの噴出地点より方角の異なる敷地境界四地点において大気環境調査が実施され、その調査結果が同年十二月二十七日に公表されたが、規制基準又は環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)が定められている物質については、規制基準又は環境基準において定められた基準値を超過しておらず、また、その他の物質についても、県内の一般的な地域におけるものと比較して、同等又はそれ以下の濃度であることから、周辺環境への影響は認められなかったとされていると承知している。
 県としては、これらの調査結果から、当該ガスにより直ちに周辺の生活環境等に影響が生じることは想定しておらず、現段階では当該ガスの発生原因について調査し、ガスの噴出を止めることは検討していないが、今後とも本件投棄地への定期的な立入検査により監視を継続していくとのことであり、環境省においても、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

二の2について

 二の1についてで述べたとおり、お尋ねの敷地境界四地点における大気濃度調査については、平成十四年十一月二十七日及び二十八日に実施され、その調査結果が同年十二月二十七日に公表されたが、当該調査は、噴出しているガスによる周辺環境への影響状況を確認するために、ガスの噴出地点より方角の異なる敷地境界四地点において調査を実施したものと承知しており、その調査方法は妥当なものであると考える。
 本件投棄地においてガスが発生しているのは、現在のところ南東部の区域のみであることから、県としては、その他の地点において大気環境調査を行うことは考えていないとのことであるが、新たなガスの発生が認められる場合には、当該ガスによる周辺環境への影響についての調査の実施についても検討を行うとのことであり、環境省においても、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

二の3について

 二の1についてで述べたとおり、県としては、お尋ねのガスにより直ちに周辺の生活環境等に影響が生ずることは想定しておらず、現段階では周辺住民の健康や生活環境への影響について調査を行うことは検討していないが、今後とも本件投棄地への定期的な立入検査により監視を継続していくとのことであり、環境省においても、必要に応じ助言を行ってまいりたい。
 なお、県は、本件投棄地の周辺住民の不安を払拭するため、二の1についてで述べた調査結果について当該住民の代表者に対し説明していると承知している。

二の4について

 県が平成十一年十月十五日に本件投棄地の内外三か所において実施した水質調査においては、本件投棄地内の溜まり水からは砒素及びカドミウムが検出されたが、本件投棄地からの伏流水及び本件投棄地の周辺の公共用水域からは有害物質は検出されなかったこと、また、平成十三年四月二十一日に本件投棄地の周辺の公共用水域三か所において実施した水質調査においては、いずれからも有害物質は検出されなかったこと、さらに、現在、本件投棄地の周辺において飲用井戸を利用している民家等は無いことから、県としては、現段階では地下水等の水質調査を実施すること及び本件投棄地の周辺の公共用水域の水質汚濁を防止するための措置を講ずることは考えていないとのことである。
 環境省においては、県が、今後、本件投棄地の監視を継続する中で定期的に水質調査を実施し、その結果を踏まえ、必要に応じて地下水等の水質調査を実施する等適切な措置を講ずべきであると考えており、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

二の5について

 本件投棄地における崩落の可能性及び崩落防止対策について、県に確認したところ、本件投棄地の南東部の区域では複数の地割れが確認されるものの、直ちに崩落が発生するおそれはないことから、現段階では崩落防止対策を行う必要はないが、定期的に立入検査を継続し、崩落の可能性が認められる場合には、必要な対策を検討するとのことであり、環境省においても、必要に応じ助言を行ってまいりたい。

三について

 本件投棄地における廃棄物の処理について、県に確認したところ、本件投棄地に投棄されたものの多くは残土であると認識しており、現段階では本件投棄地全域の廃棄物を選別し、撤去する必要があるとは考えていないが、本件投棄地の南東部の区域については、ガスが発生している状況を踏まえ、行為者に対し投棄された廃棄物の撤去等必要な措置を講ずるよう一層の指導に努めたいとのことであり、また、当該措置の内容等については、県、大津市及び志賀町が共同して設置した「大津・志賀地域ごみ対策会議」において検討を行いたいとのことであり、環境省においても、必要に応じ助言を行ってまいりたい。
 なお、県が、今後、本件投棄地の監視等を継続していく中で、生活環境の保全上支障が生ずるおそれがあると認められるときは、県知事は、行為者のほか、法に規定する委託の基準に違反した者等に対しても、法第十九条の五又は第十九条の六の規定に基づく命令により、支障の除去等の措置を講じさせることができることとされている。
 また、これらの者がこの命令に係る措置を講じないとき又はこれらの者を確知することができないとき等の場合には、県知事が自らその支障の除去等の措置を講ずることができることとされており、その支障の除去等の措置の実施に要する経費については、国の補助金等により支援する制度が設けられている。