質問主意書

第155回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一五五第一六号
  平成十五年一月二十八日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員櫻井充君提出自衛隊員とジュネーブ条約上の捕虜との関係に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出自衛隊員とジュネーブ条約上の捕虜との関係に関する再質問に対する答弁書

一について

 戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号、第二十四号、第二十五号及び第二十六号。以下「ジュネーヴ諸条約」という。)は、「二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず」適用され(ジュネーヴ諸条約の各第二条第一項)、また、「一締約国の領域の一部又は全部が占領されたすべての場合について、その占領が武力抵抗を受けると受けないとを問わず」適用されるところ(同条第二項)、御指摘の答弁書(平成十四年十二月六日内閣参質一五五第二号。以下「前回答弁書」という。)の四から七までについてで述べたような場合以外の場合に関して一般論として申し上げると、我が国がジュネーヴ諸条約が適用される武力紛争の当事国となる事態は、想定されないわけではない。我が国は、このような事態において、我が国及び他国の武力紛争の犠牲者を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的として、ジュネーヴ諸条約に加入したものである。

二について

 いかなる場合にジュネーヴ諸条約が適用されるかについては、我が国と関係国との間のジュネーヴ諸条約の適用関係の有無、個別の事案における具体の事情のいかん等に応じて検討されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。お尋ねの自衛隊員が「海外に派遣されている」ときがどのような場合を想定しているのか必ずしも明らかではないが、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号)に基づいて派遣される自衛隊の部隊等及び国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)に基づき国際平和協力業務を行っている自衛隊の部隊等又は自衛隊派遣隊員について申し上げれば、前回答弁書の四から七までについてで述べたとおり、これらの部隊等又は自衛隊派遣隊員がいずれかの国等から国際的な武力紛争の一環として行われる攻撃等を受けて、当該部隊等に所属する自衛隊員又は当該自衛隊派遣隊員が捕らえられ、ジュネーヴ諸条約上の捕虜となる事態は想定されない。

三について

 前回答弁書の四から七までについてにおける御指摘の答弁部分は、当該部分において述べた場合にはジュネーヴ諸条約の規定の適用はないことを前提として、お答えしたものであり、当該部分のうち「普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法の原則及び精神」については、特定の条約の規定を指すものではない。