質問主意書

第155回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

滋賀県志賀町和邇中の廃棄物不法処分問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年十二月十二日

岩佐 恵美   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   滋賀県志賀町和邇中の廃棄物不法処分問題に関する質問主意書

 滋賀県志賀町和邇中に、国内最大級と言われる膨大な量の廃棄物が不法に埋め立てられている。
 現地は、元の地面より約四十メートルも高い巨大なごみの山ができており、地表の割れ目からガスが噴出し続けている。割れ目の周囲では草が枯れ、住民の苦情と不安が強まっている。付近には人家や田畑があり、このような状況を放置することはできない。
 また、汚濁物質による地下水汚染のおそれが強く、周辺の流系はもとより、京都・大阪の水道水源となっている琵琶湖への影響が懸念される。
 これまで、滋賀県として、無許可処分業者に対して、不法埋立てごみの撤去を行わせるなどしてきたが、その後も不法投棄が拡大され、責任者は再三警察当局に検挙されている。埋立て規模の大きさや不法行為者の実態からすると、滋賀県だけで解決できるとは考えられない。来年三月には、滋賀、京都、大阪で第三回世界水フォーラムの開催が予定されており、事態の一刻も早い解決が求められている。青森・岩手県境の産廃不法投棄については、環境省が合同検討委員会に参加し、撤去費用も半額負担するとしているが、本件についても、国が直接関与して解決することが必要だと考える。
 そこで、以下の点について、質問する。

一、実態の把握について

1 埋立量は、その外形からおよそ百万立方メートルとも百七十万立方メートルとも推定されているが、環境省は、滋賀県に確認した結果として、「投棄物中には残土がかなりの量を占めているものと考えている」と回答している。しかし、残土がほとんどであれば、ガスの噴出は考えられない。どのような調査、根拠に基づいて、残土が多いと確認したのか。
2 今後の対策のためにも、まず、実態を正確に把握する必要がある。投棄廃棄物の量及び内容物を早急に調査し、確認すべきではないか。
3 廃棄物の不法投棄は、直接行為者とともに、廃棄物の処分を委託した者の責任も重大である。排出者の責任を明らかにし、適切な解決を図るために、埋め立てられているごみの内容を精査し、排出者を特定する必要があるのではないか。

二、生活環境への影響、周辺住民の被害の防止について

1 ごみの山からは、高さ五~六メートルもガスが噴出している。このガスについては、滋賀県の検査の結果、悪臭物質、有害大気汚染物質、可燃性ガス、その他揮発性有機化合物が検出された。このような状態を放置せず、早急に、ガスの発生原因を解明し、噴出を止める手立てを講ずべきではないか。
2 噴出ガスについての滋賀県の調査では、「直ちに周辺生活環境等に影響が懸念されるような高いレベルのガスは検出されなかった」としている。今後、敷地境界四地点で大気濃度調査を実施する予定とのことだが、不法投棄面積の広さに比べて、余りに少な過ぎる。大幅に調査地点を増やし、継続的に、周辺の大気調査を行い、公表すべきではないか。
3 ガスが噴出し続けている状況の下で、限られた大気の濃度測定だけでは、住民の不安が払拭されるものではない。周辺住民の健康や生活への影響についても調査を実施すべきではないか。
4 水質汚染については、滋賀県が、一九九九年十月と二〇〇一年四月に、それぞれ不法埋立地内三か所、隣接地三か所の調査を行い、一部で砒素やカドミウムが検出されている。しかしその後、継続的な水質調査は行われていない。浸透水や地下水について、調査地点を大幅に増やし、継続的な水質検査を行い、公表すること。さらに、周辺の公共用水域の汚染を防止するための措置を講ずべきではないか。
5 ごみの山は、高さ四十メートル近くに達し、適切な土留めも設置されていない。上部には地割れもあり、崩落が心配されている。危険度を調査し、応急的な崩落防止対策を講ずべきではないか。

三、根本的な解決について

1 最終的には、大量の埋立てごみを撤去し、適正に処理することが必要である。国、県、市町村を含む対策委員会を設置し、根本的な解決策の検討を早急に開始すべきではないか。
2 撤去等に必要な経費について、不法投棄された廃棄物の排出者に応分の負担を求めるべきではないか。
3 根本的な対策のためには、国も財政支援をすべきではないか。

  右質問する。