質問主意書

第155回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

量販店における公共性への配慮の欠如に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年十二月十二日

櫻井 充   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   量販店における公共性への配慮の欠如に関する質問主意書

 近年、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー等の大規模な食料品関連小売店(以下「量販店」という。)の出店が著しい。量販店においては、青果物、鮮魚、食肉の生鮮食料品(以下「生鮮三品」という。)を予約相対で大量仕入・大量販売することにより、それらを低価格で消費者に販売しているが、そのために生産者、卸売市場、食料品専門小売店が不当な不利益を被っている実態がある。このことは、公共性の観点から非常に問題であると考えている。
 そこで、以下質問する。

一 過去十年間で、食料品関連小売店の業態別(量販店、食料品専門小売店)の店舗数はどのように推移したか、示されたい。

二 生鮮三品それぞれにおける、市場での一日の取引量に占める予約相対の割合を示されたい。

三 生鮮食料品(特に鮮魚)の生産量は、その時々の天候等によって大きく変動するため、予約相対による大量の事前取引に対応できない場合がある。生産者、仲卸業者と量販店との間で交わされる契約では、生産量が予定数量に満たなかった場合、生産者や仲卸業者が違約金を支払うことになっていることがある。このように生産量の変動リスクを、取引上立場が優位である量販店が回避し、生産者や仲卸業者が被る現状は、立場の差を利用した不公正な取引であると考えられるが、政府の見解を示されたい。

四 三のような状況下においては、生産者が違約金による損害を回避するために、表示偽装による数合わせを行おうとする心理が醸成されやすいと考えられるが、政府の見解を示されたい。

五 食料品専門小売店は、量販店による予約相対取引が終わった後の残りの収穫物の中で取引を行うため、一般的に量販店に卸された価格より高い価格で仕入れることになってしまう。このような状況では、量販店と食料品専門小売店が公正な競争をすることができないと考えているが、政府の見解を示されたい。

六 今後日本が急激に高齢化社会を迎えるに当たり、郊外の量販店だけではなく、歩いて買物に行ける近所の小売店舗の存在が重要になってくると考えているが、政府の見解を示されたい。また、現在の小規模小売店の激減に対する政府の見解を明らかにされたい。

七 近年、量販店の出店が進み、量販店同士の競争がますます激化している。その結果、量販店による地域住民無視の出店・退店が相次いでおり、地域社会の崩壊を助長している。このような身勝手な出店・退店を抑えるため、地域住民が意見を言える機会を設ける必要があると考えているが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。