質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第五〇号

内閣参質一五四第五〇号
  平成十四年八月二十七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員福島瑞穂君提出電源開発特別会計と電源地域振興センターの業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島瑞穂君提出電源開発特別会計と電源地域振興センターの業務に関する質問に対する答弁書

一の1について

 平成十三年度に住民及び事業者が原子力立地給付金(以下「給付金」という。)の交付を受けた市町村(以下「関係市町村」という。)の名称及び関係市町村ごとの給付金の交付の総額は、別表第一のとおりである。

一の2について

 平成三年度から平成十二年度までの十年間の各年度に交付された給付金の関係市町村ごとの総額は、別表第二のとおりである。

一の3について

 平成十三年度における関係市町村ごとの給付金の電灯需要家一契約当たりの年間の交付金額は、別表第三のとおりである。

一の4から6までについて

 財団法人電源地域振興センター(以下「センター」という。)から聴取したところ、センターとしては、給付金の交付に係る事務を適切に処理するとの観点から、給付金の受取を辞退した、転居先が不明であるなどの理由により給付金の交付ができなかった者について、電力会社に、氏名、交付すべき金額等の報告を求めていたところ、お尋ねの「拒否者リスト」はこの報告に際して電力会社がセンターに提出していた給付金の受取を辞退した者のみを対象とする表を指すものと解されるが、共通の様式による「拒否者リスト」の作成や辞退の理由等の書き込みについて、センターから電力会社に対して指示は行っていないとのことである。また、経済産業省としては、「拒否者リスト」の存在は承知していなかった。

一の7、9及び10について

 「拒否者リスト」は、給付金の交付に係る事務が適正に行われていることを明らかにする目的で、電力会社が作成し、これを受領したセンターが関係道県に伝達したものと承知しており、その作成及び伝達自体が不適当であったとは認識していない。しかしながら、経済産業省としては、個人情報の保護に万全を期することが重要であるという観点から、関係道県及びセンターに対し、平成十四年七月三日付けで文書を発出し、給付金の交付先に係る情報の収集及び伝達については、給付金の交付に係る事務の適切な処理を確保する上で必要な範囲に限るよう、指導を行ったところである。今後は、関係道県、センター及び電力会社の間での具体的な情報のやり取りの方法、内容等について、必要に応じ報告を受け、個人情報の保護に万全を期しながら、給付金の交付に係る事務の適切な処理を確保するよう対処していく所存である。

一の8について

 センターから聴取したところ、地方公共団体から「拒否者リスト」が必要であるとの要請がなされた事実はないとのことである。

二の1について

 刈羽村(以下「村」という。)は、旧東北通商産業局に対して、電源立地促進対策交付金に係る交付申請書に添付して建設工事設計図、建設工事実施設計書等の資料を提出した。東北経済産業局においては、これらの文書を経済産業省行政文書管理規程(平成十三年一月六日経済産業大臣決定)に基づき行政文書として管理・保管している。

二の2について

 旧東北通商産業局においては、平成九年度申請に係る事業については、発電用施設周辺地域整備法(昭和四十九年法律第七十八号)第四条に基づき新潟県が作成した整備計画を踏まえ、施設等の必要性や、設計内訳書に記載された単価、数量等の根拠を確認するなどして、電源立地促進対策交付金に係る申請額の妥当性を確認した。また、平成十年度申請に係る事業については、平成九年度申請時点からの事業内容の変更を踏まえ、平成九年度と同様の方法により、申請額の妥当性を確認した。

二の3について

 村から聴取したところ、お尋ねの資料は、株式会社石原・山口計画研究所の協力を得て、村が作成したとのことである。

二の4について

 お尋ねの「復元作業」については村が平成十三年一月に行った設計内訳書等の見直し等の作業と解されるところ、これについては村が平成九年度及び平成十年度の電源立地促進対策交付金に係る交付申請時点における設計図面(以下「当初の設計図面」という。)に基づいて、設計内訳書等の記載事項を見直すとともに、計算間違い等を訂正することにより、本来申請すべきであった金額を明らかにしたものである。

二の5について

 経済産業省としては、社団法人公共建築協会の協力を得ながら、当初の設計図面に基づいて、平成九年度及び平成十年度の交付申請時点における設計内訳書及び村が見直した設計内訳書の内容を精査し、本来申請すべきであった金額を算定しており、村が見直した設計内訳書をそのまま妥当なものと判断したわけではない。

二の6について

 吉野隆治氏(以下「吉野氏」という。)等の関係者から聴取したところ、吉野氏が古宮正貴氏(以下「古宮氏」という。)及び石原信氏を村に紹介したという事実はなく、また、吉野氏のデザイン選考委員会の委員への就任は村の要請によるものとのことであり、御指摘の設計に係る選考手続きへの吉野氏の参加に特段の問題があったとは考えていない。

二の7について

 村から聴取したところ、デザイン選考委員会の委員の報償費として、村が吉野氏に支払った金額は、二十万円であったとのことである。

二の8について

 センターから聴取したところ、古宮氏は、センターが派遣する専門家として刈羽村生涯学習センター「ラピカ」の整備に携わっていた平成七年度から平成九年度までの間、村に三百六十六日派遣されているが、この間、村がセンターに支払った金額は約七百十八万円であり、このうち古宮氏に支払われた金額は約六百四十一万円であるとのことである。
 なお、古宮氏が設計に係る選考手続きを取り仕切ったという御指摘のような事実はないとのことである。

二の9について

 村から聴取したところ、お尋ねの施工監理契約については、設計を担当した業者が事業の詳細に精通しており、施工監理を行う者として最適であると判断したため、施工監理契約について随意契約によることとしたとのことであり、村における他の公共事業についても、事業の性格に応じ、同様の対応を行っているとのことである。

二の10について

 電源立地促進対策交付金による事業の実施主体である地方公共団体は、当該事業を実施するに当たり外部の知見を活用することが必要な場合には、設計会社、コンサルティング会社、地方公共団体が所管する公益法人等の専門的な知見を有する者を活用しているものと承知している。

三の1について

 お尋ねの事業数、派遣者数及び事業費については、別表第四のとおりである。

三の2及び3について

 お尋ねの「成就しなかった事業」及び「成就した事業」が何を指すのかが明らかではないことから、お答えすることは困難である。なお、センターが平成十二年度に実施した専門家派遣事業の利用者に対するアンケート調査によれば、当該事業の事業目標の達成については約六十九パーセントが達成感を持ち、専門家派遣を通じて取得した技術等の今後の活用については約九十六パーセントが活用できると回答しているところであり、専門家派遣事業は一定の成果を上げているものと認識している。

三の4について

 センターが実施していた専門家派遣事業の概要についてセンターから聴取したところ、地域づくりや農林水産業、商工業、観光、文化・芸能等の様々な分野において知見を有する専門家千数百人を派遣した実績があるとのことであるが、センターが過去に専門家として派遣した者の氏名等については、個人に関する情報であり、これらの者から公開することにつき承諾を得ていないことから答弁を差し控えたい。

三の5について

 経済産業省においては、行政改革大綱(平成十二年十二月一日閣議決定)において、「国が公益法人に対して交付する補助金等で、当該法人が更に他の公益法人やその他の法人等の第三者に分配・交付するものについては、当該補助金等を整理・統合した上で、国自ら又は独立行政法人が分配・交付すること」とされたことを踏まえ、平成十四年度から、センターが実施してきた専門家派遣事業に対する補助金を交付しないこととしたところであり、今後は、御指摘のような地方公共団体が自ら専門家を招へいする事業に対して補助金の交付を行うこととしている。

四について

 刈羽村生涯学習センター補修工事完了報告書(以下「村の報告書」という。)によれば、平成十四年五月に村が補修工事を行った時点でのクラックの幅は、〇・一ミリメートルから〇・二ミリメートルまでの間であったとされている。平成十三年九月の経済産業省の報告書においては、クラックの幅を〇・一ミリメートルから〇・一五ミリメートルとしているが、右報告書と村の報告書とでは調査時点が異なることから、クラックの幅について若干の差が生じているものと考えられ、経済産業省の調査結果の見直し等の必要はないと考えている。右のように、クラックの幅は日本建築学会の「鉄筋コンクリート造のひび割れ対策指針・同解説」により示されている耐久性の目標値である〇・三ミリメートル以下であるため、注入剤を用いた補修による対策は適切であったと認識している。なお、村から聴取したところ、当該補修工事において、EP-三〇〇と呼ばれる注入剤は、一箇所のクラックにおいて〇・二ミリメートル幅の部分が占める割合が高い場合に使用したとのことである。

別表第一 1/2

別表第一 2/2

別表第二 1/5

別表第二 2/5

別表第二 3/5

別表第二 4/5

別表第二 5/5

別表第三 1/2

別表第三 2/2

別表第四