質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第四七号

内閣参質一五四第四七号
  平成十四年九月六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員井上美代君外一名提出米軍横田基地に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員井上美代君外一名提出米軍横田基地に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二十五条第一項に基づき設置される合同委員会(以下「日米合同委員会」という。)において、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)政府との間で、横田飛行場における合衆国軍隊の航空機による午後十時から午前六時までの間の飛行及び地上での活動は、合衆国軍隊の運用上の必要性から緊要と認められるものに制限すること、夜間訓練飛行は、合衆国軍隊の任務の達成及び乗組員の練度維持のために必要とされる最小限に制限すること、合衆国軍隊の司令官は、夜間飛行活動をできるだけ早く完了するようすべての努力を払うこと等を合意している。合衆国軍隊は、この合意に基づき横田飛行場に係る運用上の所要を勘案した上で騒音の軽減についてできる限りの努力を行っているものと承知していること等から、政府として、御指摘のような協定を合衆国政府と結ぶことは考えていない。

一の2について

 合衆国軍隊の航空機による飛行は、平素から合衆国軍隊の円滑かつ効果的な活動を確保し、もって日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)の目的を達成する上で極めて重要な合衆国軍隊の活動であること、合衆国軍隊は一の1についてで述べた騒音軽減のための努力を行っていること、公務執行中の合衆国軍隊の構成員又は被用者が我が国において政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、日米地位協定第十八条第五項に基づき、関係国内法令に従って適切に処理されていること等にかんがみ、政府として、御指摘のような取決めを結ぶことは考えていない。

一の3について

 政府としては、合衆国政府との間で、一の1についてで述べた日米合同委員会合意を取りまとめるとともに、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)第四条等の規定に基づき、横田飛行場周辺の一定の区域の住宅等について、防音工事に関する助成の措置等を講じてきているところである。

二について

 御指摘の「日本側が立て替えて支払った損害賠償金」については、日米地位協定に基づき合衆国政府に対して分担を要請してきており、合衆国政府との間で協議を継続しているところであるが、具体的な協議の内容については、これを公にすると合衆国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあること等から答弁を差し控えたい。

三について

 御指摘の「運用即応演習」とは仮想の戦闘環境へ部隊を展開した後、部隊を運用する能力を試すもの、「戦闘投入即応演習」とは仮想の戦闘環境において部隊を運用する能力を試すもの、「戦闘投入即応監査」とは上級部隊がこれらの演習の成果を評価するものであると承知している。

四について

 横田飛行場は、我が国に駐留する合衆国軍隊の総司令部及び第五空軍司令部の所在地であるとともに、輸送部隊である第三百七十四空輸航空団が配置され、輸送中継の拠点ともなっており、合衆国軍隊の中枢の施設・区域として、日米安保条約の目的を達成するため、重要な役割を果たしていると考えていることから、政府としては、合衆国政府に横田飛行場の返還を求める考えはない。