質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第四〇号

内閣参質一五四第四〇号
  平成十四年九月十八日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員福島瑞穂君提出JCO臨界事故と安全審査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島瑞穂君提出JCO臨界事故と安全審査に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 お尋ねの「申請設備では到底作業できないような事業を「枠取り」として申請すること」及び「このような申請」が何を指すのかが明らかではないため、一般的にお答えすることは困難であるが、お尋ねに該当すると考えられる事案経過を申し上げれば、昭和五十八年十一月に日本核燃料コンバージョン株式会社(現在の名称は株式会社ジェー・シー・オーであり、以下「JCO」という。)が行った核燃料加工事業の変更許可の申請(以下「本件申請」という。)については、科学技術庁において、法令等に定められた基準を踏まえて審査し、昭和五十九年六月に許可したところである。

一の3について

 本件申請については、科学技術庁原子力安全局核燃料規制課において、倉持哲士課長の下で吉田守安全審査官が審査事務を処理し、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)の規定に基づき原子力安全委員会の意見を聴いた上で許可しているが、同庁での審査の内容等は別紙のとおりである。また、同庁においては、核燃料加工事業許可の申請に係る審査に当たって、必要に応じ原子力安全技術顧問の意見を聴くこととしていたが、本件申請に係る審査についてかかる手続を経たか否かは、記録が残っておらず、不明である。

一の4について

 お尋ねのJCOに対する許可は、法令等に定められた基準を踏まえ、適切に行われたものと考えている。

一の5について

 お尋ねの「設備の目的外使用のような使い方」とはJCOが溶解塔において行っていた精製済みの八酸化三ウランの再溶解のことを指すものと考えるが、右再溶解は安全確保の観点から問題がないものとして本件申請を許可しており、厚生労働省が進める「安全文化の創造」と相反するものではない。

二の1について

 お尋ねの「均一化」とは、複数の容器内の硝酸ウラニル溶液の濃度の均一化である。

二の2から4までについて

 原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会(以下「事故調査委員会」という。)が取りまとめた報告書(以下「報告書」という。)においては、平成十一年九月八日に核燃料サイクル開発機構(以下「機構」という。)とJCOとの間で締結された契約(以下「本件契約」という。)に係る契約仕様書(以下「仕様書」という。)における製品の「化学的性質」が「均一である」旨の記述をもって、機構はJCOに対して複数容器内の硝酸ウラニル溶液の濃度の均一化を要求していたとされているところである。なお、機構からは、御指摘の仕様書におけるウラン濃度を三百八十グラムウラン毎リットル以下とする旨の記述は、飽和濃度以下の濃度で硝酸に八酸化三ウランを溶解し、八酸化三ウランの溶け残りを生じさせないようにする旨を定めたものであると聞いている。
 また、お尋ねの製品の納入単位である一ロットを約四十リットルとする旨の記述については、事故調査委員会が機構から聴取したところ、本件契約より前の類似の契約において一ロットを約四十リットルとしてきたことを踏まえ、本件契約を締結するに当たって機構とJCOが協議して一ロットを約四十リットルとする旨を定めたとのことであったため、これを報告書に記載したものである。

二の5について

 お尋ねの「契約書や仕様書とは別の指示系統」が何を指すのか明らかではないため、お答えすることは困難である。
 なお、本件契約に係る契約書第九条では、「本契約について定めのない事項または疑義のある事項については、その都度甲乙協議して定めるものとする」と規定されており、同契約書に定めのない事項等については、機構とJCOが必要に応じ口頭又は文書で合意していたものと承知している。

二の6について

 JCOが行っていた複数の容器内の硝酸ウラニル溶液の濃度の均一化については、適切な臨界管理の方法に従ったクロスブレンディング(硝酸ウラニル溶液を複数の容器から同量ずつ取り出して別の複数の容器に配分することをいう。)によるものは昭和五十九年六月の許可の範囲内と考えられるが、それ以外の方法によるものは当該許可の範囲を逸脱しており、JCOは、原子炉等規制法第十六条の規定に基づく核燃料加工事業の変更許可の申請を行い、審査を受けることが必要であったと考えている。

二の7について

 JCOが許可の範囲を逸脱した違法な作業を行っていたのは、JCOが安全性を軽視したためと考えており、核燃料加工事業の変更の許可について基本設計及び基本的設計方針を審査対象としていることが原因であるとは考えていない。また、「JCOと核燃料サイクル開発機構の契約書や仕様書の内容を飛び越えた指示系統の在り方」については、これが何を指すのかが明らかではないため、お答えすることは困難である。

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(1/6)

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(2/6)

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(3/6)

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(4/6)

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(5/6)

別紙 日本核燃料コンバージョン株式会社東海事業所における加工の事業の変更許可申請に係る安全審査書(6/6)