質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七号

内閣参質一五四第二七号
  平成十四年七月十九日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出都道環状六号線拡幅事業及び首都高速道路中央環状新宿線建設事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出都道環状六号線拡幅事業及び首都高速道路中央環状新宿線建設事業に関する質問に対する答弁書

一について

 公共事業については、従来から、周辺の環境保全等について配慮しつつ実施してきたところであり、今後とも、適切に実施してまいりたい。

二について

 公共事業については、従来から、可能な限り、関係地方公共団体、関係住民等の意向の把握に努めるとともに、これらの者にその必要性等を説明してきたところであり、今後とも、これらの者の理解が得られるよう努めてまいりたい。

三について

 公共事業については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に基づき、環境影響評価を適切に実施し、その結果を当該公共事業に係る環境保全のための措置等に反映させているところである。また、一についてで述べたとおり、環境保全等に配慮しつつ公共事業を実施しているところである。したがって、お尋ねのような法令上の明記を新たに行うことは考えていない。

四について

 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十一条第一項では、都道府県又は市町村は、都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、都市計画を変更しなければならないこととされている。東京都の都市計画についても、環境保全等の要請を踏まえ、適宜見直しが行われてきたと承知しており、今後とも、環境保全等に配慮しつつ、適切に都市計画の見直しが行われるものと考えている。

五について

 東京都の道路に関する都市計画についても、四についてで述べたとおりであると考えている。

六について

 東京都に聞いたところ、東京都市計画道路事業幹線街路環状第六号線の渋谷区松濤二丁目から豊島区要町一丁目までの区間を四車線から六車線に拡幅する事業については、東京都環境影響評価条例(昭和五十五年条例第九十六号)に基づく環境影響評価を実施していなかったが、本年二月に当該区間を六車線から四車線に計画を変更したことによって、歩行者に配慮した道路のバリアフリー化、全線にわたる自転車道の設置及び緑豊かな沿道環境の整備を実現することができるとのことである。

七について

 環境影響評価における大気汚染の予測においては、一般的な予測方法である拡散式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施しているところであるが、お尋ねのような予測方法についてはいまだ確立されておらず、その確立が望ましいと考えている。なお、独立行政法人国立環境研究所において、平成十三年度から、市街地における大気汚染濃度の予測方法に関する研究が行われているほか、国立大学等においても、同様の研究が行われているところであると承知している。

八について

 首都高速道路中央環状新宿線の環境影響評価については、東京都において、「環境影響評価の実施について」(昭和五十九年八月二十八日閣議決定)、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達)、東京都環境影響評価条例及び「東京都環境影響評価技術指針」(昭和六十二年告示第八百三十五号)に基づき平成二年度及び平成四年度に行われており、大気汚染の予測については、これらに定められた予測方法である拡散式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施したと承知しており、事業内容の見直しは必要ないと考えている。

九について

 御指摘の環境庁長官の意見を受けて、トンネルの換気所の機械式脱硝装置については、国土交通省所管の財団法人道路環境研究所が設置した「大都市圏の窒素酸化物に関する調査委員会」において、平成二年度から平成六年度までの間、脱硝技術がトンネルの換気所に適用可能か否かについての検討やその技術的課題についての整理が行われ、その結果、安全性、耐久性、騒音、振動等の課題を解決するためには、実際の装置により近い規模での実験を行うことが必要であるとの報告書が取りまとめられた。この報告書を受けて、国土交通省、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団においては、平成九年二月から平成十年十二月までの間、実際の装置により近い規模での実験を行い、脱硝性能、安全性、安定性等を確認し、さらに、その結果を踏まえ、本年四月からは、実用化につながる開発目標を設定し、省スペース化、省エネルギー化及びコスト縮減を図るための実験を行っているところである。

十について

 汚染された大気を土壌により浄化する大気浄化技術については、現在、国土交通省、首都高速道路公団及び東京都において、東京都板橋区の大和町交差点で実験を実施しているところである。これまでの実験結果では、当該技術をトンネルの換気所に適用する場合、換気量に対して土壌そのものの浄化能力が小さく、大きな面積が必要になること等が判明している。したがって、首都高速道路中央環状新宿線の換気所に当該技術を適用することは、当該換気所の周辺において市街化が進展し、地下の道路占用物件が多く、更なる用地の確保が難しいこと等から、現実的ではないと考えている。