質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一五四第三号
  平成十四年二月十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員谷博之君提出国際協力におけるNGOとのパートナーシップの在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出国際協力におけるNGOとのパートナーシップの在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十四年一月二十日に開催した非政府機関(以下「NGO」という。)の会合への出席者を決定する過程において、外務省の事務当局としては、ジャパン・プラットフォーム(以下「JPF」という。)について、報道を通じたJPFの対外代表の発言によりJPFとの信頼関係が損なわれたと考えたこと及びJPFに参加しているNGOの大半はNGO会合へ出席することになっていたことから、いったん、JPFの出席を認めないとの判断を行ったものである。

二について

 外務省の事務当局が、平成十四年一月二十一日、田中外務大臣(当時)からJPFの出席を認めるよう指示を受けたので、JPFとの信頼関係の修復を図りつつ、その出席を認めたものである。

三及び八について

 援助の分野におけるNGOについて公式な定義といったものがなく、お尋ねの「公的機関」の意味するところも必ずしも明らかではないので、JPFがこれらに当たるかについてお答えすることは困難である。
 なお、JPFは、我が国の「NGO、政府機関、企業、メディア、助成財団などの各分野を代表する個人や団体が、海外で発生する紛争や自然災害において困難な状況におかれた難民、被災者に対し、特に初動活動段階でより迅速且つ効果的な人道援助活動を展開するために相互協力すること」を目的とする法人格を有しない団体であり、そのような団体としてお尋ねの会議への出席を認めたものである。

四及び五について

 ジャパン・プラットフォーム評議会(以下「JPF評議会」という。)は、JPFに参加するNGO、外務省、社団法人経済団体連合会、助成財団等の代表及び学識者等をメンバーとする会議体で、①JPFの活動の方針及び方向性、②特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームNGOユニット(以下「JPF・NGOユニット」という。)の会員であるNGOが海外における紛争又は災害発生時に行う人道援助活動への支援を円滑に行うために必要な諸事項について協議し決定する等の役割を果たしている。
 また、JPF評議会は、JPFの内部規約上、JPF・NGOユニットの事業実績、事業計画、定款の変更等についてJPF・NGOユニットから報告を受け、その報告に係る事項について助言を行うことができるとされている。

六及び七について

 お尋ねの「政府代表」の意味するところが必ずしも明らかではないが、JPF評議会のメンバーに御指摘の無償資金協力課長が含まれているのは、外務省の政府開発援助経済開発等援助費からJPF・NGOユニットに資金の拠出が行われるため、無償の経済協力に関する事務を所掌する外務省の担当課長として、拠出された資金の利用に関する決定に関与する必要があること等によるものである。
 JPF評議会のメンバーに外務省職員が含まれているからといって、必ず政府主催の会議にJPFの出席を認めなければならないというものではない。

九について

 お尋ねのような考えは有していない。

十について

 国際協力に関する会議には様々なものがあるが、例えば、外務省が主催する会議について、当該会議の趣旨、目的等を考慮して出席者を選定することは、外務省設置法(平成十一年法律第九十四号)に規定する外務省の所掌事務の一部である。

十一について

 国際協力においてNGOの果たす役割の重要性は認識しているところであり、政府が主催又は共催する国際協力に関する会議においては、関係する外国政府、国際機関等の意見も踏まえ、当該会議の趣旨、目的等に照らし適切と認められる場合には、適宜、NGOが発言する機会を設けたいと考えている。

十二について

 政府が主催又は共催する国際協力に関する会議に出席を認めるNGOの選考方法の在り方については、関係する外国政府、国際機関等の意見も踏まえ、当該会議の趣旨、目的等に照らし適切な方法をその都度検討していく考えである。

十三について

 政府が主催又は共催する国際会議へのNGOの出席については、出席に要する費用を当該NGOにおいて負担することを基本としつつも、具体的事例に応じて財政的補助を含め適切な支援を行ってまいりたい。
 なお、今回のアフガニスタン復興支援国際会議の開催に当たっては、アフガニスタンのNGOの出席に要する費用を我が国が負担したところである。

十四について

 お尋ねの「対等なパートナー」の意味するところは必ずしも明らかではないが、国際社会においてNGOの果たす役割の重要性は広く認識されているところであり、援助の分野におけるNGOと政府との関係については、政府開発援助の政策立案や事業の実施に当たりNGOの人材や技術等を活用する「連携」とNGOによる国際協力活動への資金協力を中心とした「支援」の二つの側面を充実させていくため、NGOと政府の「対話」の強化が不可欠であると認識している。