質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月二十九日

山本 孝史   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理等に関する質問主意書

 長年の懸案であったポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に向けては、平成十三年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が成立し、端緒に付いた。しかし、最終的解決に向けてはまだまだ課題が多い。そこで、以下質問する。

一、平成十二年十一月二十八日に、「業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器の事故に関する対策について」(以下「対策について」という。)が閣議了解された。以下の点につき明らかにされたい。

1 どのような認識に基づいて「対策について」閣議了解がなされたか、明らかにされたい。
2 本対策においては、使用中の業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器については原則として平成十三年度末までにその交換を終える等の対策を講じるとされているが、各省庁ごとに、所管範囲における(1)PCB使用安定器を使用していると把握している施設数と使用台数、(2)平成十三年度末までに交換等の措置を行った施設数と台数、につきそれぞれ明らかにされたい。
3 「対策について」閣議了解に至った認識、並びに前項の結果を受けて、今後どのような措置を新たに講じ、対応を周知徹底させ、対策を終了させる考えか、具体的に明らかにされたい。

二、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」第六条においては、環境大臣は「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を定めなければならないとしている。同法第十条においては、「事業者は、(中略)政令で定める期間内に、そのポリ塩化ビフェニル廃棄物を自ら処分し、又は処分を他人に委託しなければならない」とし、政令においてその期間を「法の施行の日(平成十三年七月十五日)から起算して十五年」以内と定めた。しかし、事業者の処分期限を先に定めておきながら、前提となるはずの国の基本計画が、いまだに作成されていない。一刻も早い計画作成が必要と思われるが、なぜいまだに作成されていないのか、その理由を明らかにされたい。また、基本計画で定めるとされている事項についての現在の進捗状況について明らかにするとともに、いつまでに基本計画を策定する用意があるか明らかにされたい。

三、厚生省(当時)の「PCB廃棄物等保管等状況調査結果」(平成十年度)によると、高圧トランス・コンデンサーについては、平成十年においては二一万九三二七台が保管されているが、その中には「未報告」や「紛失・不明」とされるものも一割ほど見られ、その当時使用中のものについても、「未確認」が九万四〇五一台あると報告されている。PCB廃棄物の適正処理に向けては、それまでの保管管理が大前提となるが、これほど多くのPCB製品、廃棄物の行方が把握できていない状況についてどのように考えているか。今後の保管・使用状況の把握の徹底、適正保管の徹底に向けた方針と併せて、明らかにされたい。

四、PCB廃棄物処理においては、高圧トランスやコンデンサーの処理には一台当たりおおむね一〇〇万円が必要であると言われている。そのため、中小企業においては大きな負担であることから、PCB廃棄物処理基金にて、早期処理を促進するための助成を行うとしている。処理負担逃れのためにPCBが不法廃棄されないためにも、相応の助成が必要と思われるが、処理費用におけるどれ程の負担率を想定しているか、明らかにされたい。

五、PCBの廃棄処理までの間は、事業者はPCB廃棄物を各事業者責任で保管していなければならない。PCB廃棄物処理施設設置に向けた動きは徐々に進んできているが、一番早いと見られる施設でも平成十六年度からの稼働である。保管期間が長くなるほどPCB廃棄物の紛失は増加しており、各事業者の負担も非常に重く、管理徹底にも限界がある。廃棄処理までの間、各事業者が個別に管理するのではなく、各事業者からPCB廃棄物を集積し、貯蔵しておく施設が確実な保管には必要との指摘もあるがどのように考えるか、見解を明らかにされたい。

六、PCB以外でも、製造中止となっている残留性有機汚染物質にDDTやアルドリン等があり、平成十三年十二月に行った埋設農薬の実態調査においては、三六八〇トンが地中に埋められたままになっていたことが明らかになった。これらの物質についても、適切な無害化処理をすべく、厳正な保管管理、処理技術の確立、処理設備の整備が不可欠であるが、どのような計画、見通しを持っているのか、具体的に明らかにされたい。

  右質問する。