質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第四五号

中国製ダイエット食品による健康被害及び中国医学の適切な普及に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月二十九日

福本 潤一   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   中国製ダイエット食品による健康被害及び中国医学の適切な普及に関する質問主意書

 中国医学は、西洋医学では治療法が無い多くの難病に対しても顕著な治療効果が示されている。例えば慢性肝炎に対しても約八〇%の患者に有効性が示されている。中国医学は西洋医学と異なり、患者本人の体質の違いによって同じ慢性肝炎の患者であっても治療薬が全く異なる場合が多い。体質が違えば、同じ薬を用いても効果が無いどころか副作用が出ることがある。
 先般では薬害の例として、慢性肝炎の患者に一律の「小柴胡湯」という薬を投与した結果、重傷の肺炎での死亡例が報告され、マスコミでも漢方薬の副作用として大々的に報告された。
 このように、漢方の知識や中国医学の診断、治療法を知らずに漢方薬を西洋医学の病名に対応させて治療することは危険である。
 つい最近の例でも、中国製ダイエット食品が原因と見られる健康被害が相次いでいる。二〇〇二年七月二五日現在、三九二名もの肝機能障害や甲状腺障害の被害が報告されており、既に死者は四名、入院治療は一一六名が受けていると言われている。分析によれば、漢方薬成分表に表示されていない成分がかなり高濃度で検出された商品もある。
 食欲抑制剤「フェンフルラミン」は心臓への副作用があるとして、米国で一九九七年に販売が中止された医薬品成分である。日本では、承認された医薬品に人為的に承認外の化学物質が添加された場合、薬事法で漢方薬として認められていないが、中国では、こうした規制がほとんど無いのが現状である。
 今回の中国製ダイエット食品による重症肝障害の件も含めて、中国医学、漢方薬、アガリスク等健康食品などに関する正確な知識や最新の情報を再検討し、研究し、確認する必要がある。その効果、毒性、副作用、使用方法等を明らかにし、国民の健康を守るための中国医学の情報研究開発センター等の設立が急務である。
 米国では、既に数年前よりNIH(国立衛生研究所)を中心に、ハーバード大学やUCLAなど多くの研究機関でこれらの健康食品や中国医学の有用性、毒性等について、研究が開始されており、国家の医学研究費の中でも、癌や心臓病を抜いて、最高額となっている。
 以上のことを踏まえ、以下の質問をする。

一、いわゆる「健康食品」を規制する法制度が一般国民には分かりづらい。今回の事例を踏まえて、現行法ではどういう場合にどの法律が適用され、その効果はどうなっているのか。また、今回発生した中国製ダイエット食品による健康被害事故の現状把握状況と、この件に関する発売元、輸入代行業者、販売業者、消費者それぞれの責任の所在等をどのように捉えるべきと考えているか。

二、「アガリスク」、「プロポリス」、「水溶性キトサン」などのような、いわゆる健康食品とされるものの効用と、その限界について、どのように認識しているか。

三、文部科学省や厚生労働省に中国医学の情報研究開発センター等を作り、漢方薬や、健康食品の啓蒙、適切な中国医学治療を行うよう指導する必要があると思うが、どうか。

四、現在、多種多様ないわゆる「健康食品」が出回り、それらに関する国民の関心も高まってきている。しかし、中には人体に影響が及ぶおそれのあるものも含まれている。これらの商品は薬と食品の境界線上にあり、現行法上危険性に見合った規制を掛けることは難しいと思われる。国民の健康を守るためにも、いわゆる「健康食品」を対象とした何らかの法規制が必要だと考えるが、どうか。

五、以前より、各地の消費者センターには、いわゆる「健康食品」に関する苦情が相次いでいたが、ここに集められた情報がもっと国民に提供されていれば、被害を少なくすることができたのではないか。情報収集・提供に関して国・地方自治体の役割分担の明確化と連携強化が重要課題であると考えるが、どうか。

  右質問する。