質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第四二号

厚木基地上空の飛行・離発着訓練に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月二十六日

福島 瑞穂   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   厚木基地上空の飛行・離発着訓練に関する質問主意書

 厚木基地における離発着訓練の騒音は、長年にわたって周辺住民の生活を苦しめている。周辺住民からは、離発着訓練の移転も含む、騒音軽減対策を求める声が湧き起こっており、既に四十年以上にわたって爆音防止を求める住民運動が続けられ、離発着訓練や航空機飛行の停止を求める訴訟も複数件起こされている。航空機騒音は周辺の小中学校の授業や医療機関などにも深刻な影響を与えており、周辺自治体の首長からも、在日米軍に対し離発着訓練の中止、移転の要望が繰り返し出されている。そのような状況下でも、在日米軍による厚木基地での離発着訓練の回数は増加の一途をたどっている。外務省の説明によれば、在日米軍に対し、厚木での離発着訓練の移転を強く求めているということであるが、その成果はほとんど現れておらず、政府による在日米軍への要請や説得は、全く行われていないかのように見える。そこで以下質問する。

一 厚木基地の航空管制業務は防衛庁が行っており、すべての飛行・離発着のデータを政府は把握し得る立場にあると考えるが、この理解に間違いはないか。

二 日本の上空は、米軍や航空自衛隊の航空管制が広がっており、民間航空機にとって自由に飛行できる空間は少なく、特に厚木基地や横田基地が存在する首都圏は極めて危険な空域となっている。民間航空機の飛行の安全確保のためにも、厚木基地の飛行・離発着データは重要なものであるが、政府はこの飛行・離発着のデータをどこでどのように保管・管理しているか。

三 在日米海軍厚木基地及び海上自衛隊厚木基地における米軍機及び自衛隊機の飛行実態及び訓練実態を、管制業務の日誌及び報告等に基づき、月別、日別、時間別及び機種別に、過去五年分を示されたい。

四 在日米軍は、米軍機の訓練に関する政府への通告の内容に関する、地元自治体及び報道機関に対し、FCLP(陸上着艦訓練)の通告として昼・夜間の訓練を通告しているが、この事実に間違いはないか。

五 しかるに防衛施設庁は、その米軍からの通告のうち、夜間の部分のみを取り出し、NLP(夜間離着陸訓練)の通告があったとして地元自治体等に発表している。なぜ、昼間の通告を明らかにしないのか。

六 米軍機による訓練の被害実態については、夜間の訓練離発着による被害と昼間の訓練離発着による住民の被害の多さを比較すれば昼間の方が多いと思われる。政府が把握している昼間の被害実態と政府による昼間の騒音・爆音被害対策等を明らかにされたい。

七 厚木基地の騒音について、周辺の自治体や住民から政府や防衛施設庁には多くの苦情や抗議が寄せられているはずであるが、政府はこれらの苦情、抗議をどのように処理し、保管・管理しているか。

八 政府に厚木基地周辺住民や自治体から寄せられた苦情や抗議の件数を過去五年分、月別、日別、時間別に示されたい。

九 自衛隊機の離発着による住民被害も相当数に上ると思われ、最近その対策を望む声も多く聞かれるようになっている。政府は、厚木基地における自衛隊の各機種による離発着訓練の実施を、事前に周辺自治体や報道機関に通告すべきと考えるが、どうか。

十 石川県小松基地などでは、地方自治体等に翌月の訓練予定を通告している例があると聞くが、自衛隊航空機の訓練の事前通告について、他の基地での通告例を明らかにされたい。

  右質問する。