質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

在沖縄米軍基地に出入りするいわゆる「ベースタクシー」の「営業権料」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月二十四日

大田 昌秀   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   在沖縄米軍基地に出入りするいわゆる「ベースタクシー」の「営業権料」に関する質問主意書

 在沖縄米軍の基地・施設に出入りしている同県内の法人及び個人タクシーから米軍関係機関が一般的には「入域料」と称する「営業権料」を徴収している。法人及び個人タクシーが、日米安保条約に伴う日米地位協定第三条に基づき米軍が管理している施設・区域に入構し、営業するに当たって米軍の許可を得る必要性はあるにしても、「営業権料」を徴収するのはいかなる法的根拠によるのか理解に苦しむ。
 確かに同地位協定第十五条には、米軍が認めた同基地内の食堂や劇場などの「歳出外資金による諸機関」が「商品及び労役の販売を行うことを認める」との定めがある。したがって、同諸機関が契約者などから料金を徴収することは許容できると解されるが、基地内に入構する基地外の個人及び事業体に料金を課して営業活動をなすことは疑問なしとしない。
 しかし、本土の横田(東京都)、横須賀(神奈川県)、佐世保(長崎県)の各米軍基地においては「営業権料」は徴収されていないとの指摘がある。「営業権料」の徴収は、沖縄県内だけに限られ、しかも同じ在沖縄米軍にあっても空軍と海軍の方ではやっていないとも聞く。
 したがって、「営業権料」の徴収は、同地位協定第三条で認められた米軍の「管理権」行使の行き過ぎではないか、と批判を買っているだけでなく、沖縄だけに適用されているのだとすれば、日頃から基地の重圧に苦しんでいる同県民に二重、三重の負担を強いる結果となり、極めて不公平と言わざるを得ない。
 政府は、これまで日米地位協定を改定することなく、「運用の改善に努める」と、国民に約束してきた経緯からしても、在沖縄米軍基地に出入りするタクシーの「営業権料」を即刻撤廃させるため、当事者の身になって外交努力を行うべきではないか。
 このような立場から次のとおり質問する。

一、在沖縄米軍基地内に出入りする、「ベースタクシー」に米軍関係機関たる「エクスチェンジサービス沖縄地域営業本部」が徴収している「営業権料」の明確な法的根拠を分かりやすく具体的に示されたい。

二、「営業権料」を払って同基地内を運行しているタクシーについて、法人及び個人タクシーはそれぞれ何台で、毎月一台に付き幾らの「営業権料」を支払っているか、そして全タクシーの年間支払総額は幾らになるか、明らかにされたい。

三、この「営業権料」は沖縄だけで徴収されていて、本土の基地では徴収されていないのかどうか、政府は確認したのか。

四、タクシーの基地内入構、運行に関して日米地位協定第三条で言う米軍の「施設・区域管理権」を言うのなら「通行許可書」を発行すれば済むことである。「営業権料」の徴収は、「管理権」の行き過ぎではないか。

五、沖縄だけの措置であれば不公平の感を免れない。今後、政府は、この問題の解決に向けて具体的にどのように取り組むつもりか。

  右質問する。