質問主意書

第152回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

金融問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年八月八日

峰崎 直樹   


       参議院議長 井上 裕 殿


   金融問題に関する質問主意書

 我が国経済はいまだに厳しい状況から脱していないが、その大きな原因の一つが、金融機関が抱える巨額の不良債権問題である。政府は、一昨年三月、大手銀行に対する公的資本増強を実施し、不良債権処理は完了したと宣言した。しかしながら、不良債権はなおも増加し続けており、我が国金融システムに対する不安が再び増大している。
 そこで、最近における金融に関する諸問題について、次のとおり質問する。

一、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律に基づき、一、〇五〇億円の公的資本増強を受けた足利銀行は、資本増強にかかわる優先株について、無配とすることを決定した。同行の収益は、資本増強申請時に策定した経営健全化計画から大幅に下方修正されており、金融再生委員会の審査に甘さがあったことは明白である。政府は、当時、金融再生委員長として同行に対する資本増強を決定した柳澤金融担当大臣の責任についてどう考えるか。また、同行の経営者に対し、議決権を行使する等の手段により経営責任を問う意思はあるか、政府の見解を伺いたい。

二、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律に基づき、公的資本増強を受けた銀行の金融庁による経営健全化計画フォローアップでは、役職員数についてはおおむね計画を達成しているものの、役員一人当たりの平均役員報酬・賞与及び職員一人当たりの平均給与については、計画大幅未達又はむしろ増大している銀行が多い。特に、東海銀行、新生銀行、三和銀行、あさひ銀行及び東洋信託銀行の五行については、計画との乖離幅が著しく、国民感情として到底容認できない。この点について政府の見解を伺いたい。

三、マスコミ報道によると、新生銀行(旧日本長期信用銀行)は、一部の取引先について短期貸出金の急激な回収を進めているという。ややうがった見方をすれば、いわゆる瑕疵担保特約の行使期限が到来する前に、同行自らが取引先企業を倒産に追い込み、瑕疵担保特約を行使することによって、自らは損失を被ることなく問題企業を一掃しようという意図があるとも考えられる。政府は、このような事実があることを把握しているか。また、これが事実であれば、金融再生法の趣旨に反して瑕疵担保特約を考案した柳澤金融担当大臣の責任は重大であると考えるが、政府の見解を伺いたい。

四、金融庁によると、みずほ、三菱東京、UFJ及び三井住友の四大銀行グループを対象として調査したところ、二〇〇〇年三月末時点において要注意先に区分された債務者のうち、一年後に破綻懸念先以下(破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)の区分に転落した債務者が八・四%あるものの、正常先に改善した債務者も十二・八%あるという。
 そこで、二〇〇〇年三月末時点において正常先に区分された債務者のうち、一年後に要注意先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先の区分に転落した債務者はそれぞれどれだけあるか。債務者数ベース及び金額ベース双方の数字を示されたい。

  右質問する。