質問主意書

第151回国会(常会)

答弁書


第百五十一回国会答弁書第三二号

内閣参質一五一第三二号

  平成十三年九月二十五日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 福田 康夫   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員福島瑞穂君提出刑事拘禁施設における懲罰の手続等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員福島瑞穂君提出刑事拘禁施設における懲罰の手続等に関する質問に対する答弁書

一について

 刑務所、少年刑務所及び拘置所(以下「行刑施設」という。)におけるお尋ねの各件数については、これらを的確に把握することができる記録が存在しない等の事情から、お答えすることが困難である。

二及び三について

 平成四年三月二十五日付け法務省矯保第五百八十三号法務省矯正局長依命通達「懲罰手続規程の運用について」(以下「運用通達」という。)4の(1)及び(2)の趣旨は、懲罰制度を適切に運用するためには、懲罰審査会の審査において、規律違反の疑いのある行為の動機・内容・態様、規律違反の行為をした疑いのある被収容者(以下「容疑者」という。)の行状・処遇経過、当該行刑施設の保安の状況等を十分に考慮する必要があるところ、これらの事項については、総務部以外の部課の職員が通じていることから、原則として、これらの部課の責任者又はこれに準ずる者で懲罰審査会を構成し、議長には、処遇に直接関与する部の責任者を指名することとしたものである。

四について

 御指摘の補佐人の指名については、運用通達7の(1)に示されているところ、その趣旨は、容疑者のために意見を陳述する等する補佐人の任務にかんがみ、容疑者の行状・処遇経過等に通じている処遇部等の職員のうち、規律違反の疑いのある行為の取調べを行うなどする部門を担当しない企画担当の首席矯正処遇官らをもって、補佐の任に当たらしめることとしたものである。

五について

 お尋ねの各件数については、これらの記録が被収容者個々人ごとに編てつされており、これらを調査・集計することは作業が膨大なものとなるため、お答えすることは困難である。なお、全国の行刑施設において平成三年から平成十二年までの各年に科された懲罰の件数は、別表一のとおりである。

六について

 補佐人は、懲罰審査会における意見の陳述に資するため、必要に応じて、容疑者との面接、証拠書類等の閲覧その他の活動をあらかじめ行った上で同審査会の審査に臨んでいるところであり、懲罰不相当の意見を述べることもある。容疑者との面接に際しては、補佐人の氏名又は職名を告げることもある。
 お尋ねの各件数については、これらを把握することができる記録が存在しない等の事情から、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの各件数については、懲罰の執行停止件数をその理由別に記録したものが存在しないため、お答えすることができない。なお、全国の行刑施設における平成十年から平成十二年までの間の各年の監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第六十二条第一項の規定に基づく懲罰の執行停止件数は、平成十年において千七百七十四件、平成十一年において千九百十六件、平成十二年において二千四百九十四件である。

八について

 全国の行刑施設において監獄法第六十二条第二項の規定に基づき懲罰が免除された件数は、平成十年において千六百二十一件、平成十一年において千六百六十九件、平成十二年において二千二百十八件である。
 平成九年以前の件数については、これらの記録が被収容者個々人ごとに編てつされており、これらを調査・集計することは作業が膨大なものとなるため、お答えすることは困難である。

九の1について

 お尋ねについては、御指摘の通達中の文言でその意味内容が尽くされていると考えており、それ以上に具体的な定義等をお示しすることは困難である。

九の2及び3について

 全国の矯正管区において、平成八年から平成十二年までの間、お尋ねの通達に基づき認可された規程の件数は、別表二のとおりであり、認可されなかった例はない。平成七年以前の各件数については、これらを把握することができる資料が存在しないため、お答えすることができない。

九の4について

 平成八年から平成十二年までの間に御指摘の通達に基づき東京矯正管区長が認可した規程の表題及び当該認可申請を行った行刑施設は、別表三のとおりである。平成七年以前については、これらを把握することができる資料が存在しないため、お答えすることができない。

十について

 矯正統計年報Iの「被収容者の懲罰事犯別受罰人員」表において、「その他」の区分は、同表に事犯名として掲げられた態様のいずれにも分類できない事犯を対象としているところ、これらの事犯については、それ以上に細分した統一的な事犯名による把握又は記録を行っていないことから、お尋ねについては、お答えすることができない。

十一について

 被収容者に対する印刷物の差入れについては、監獄法第五十三条及び監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号)第百四十六条第二項により、その差入れが処遇上害があると認められる場合には、差入れを不許可としている。また、差入れが許された印刷物については、同法第三十一条、同規則第八十六条及び収容者に閲読させる図書、新聞紙等取扱規程(昭和四十一年法務省矯正甲第千三百七号法務大臣訓令)により、行刑施設の規律及び秩序を害するおそれ等のある部分は抹消し、閲読を許さないものとしている。

別表一

別表二

別表三