第151回国会(常会)
答弁書第二六号
内閣参質一五一第二六号 平成十三年六月十五日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議員櫻井充君提出年金福祉事業団に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員櫻井充君提出年金福祉事業団に関する質問に対する答弁書 一及び七について 年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律(平成十二年法律第二十号。以下「業務承継法」という。)附則第三条の規定による廃止前の年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号。以下「旧事業団法」という。)第十七条第一項第二号から第四号までに規定する業務(以下「事業団貸付業務」という。)に係る貸付金残高(以下「事業団貸付金残高」という。)については、現在、年金福祉事業団(以下「事業団」という。)の解散時点の金額を集計中である。また、事業団貸付業務に係る債権のうち年金資金運用基金(以下「基金」という。)が業務承継法第十二条第一項の規定に基づき管理及び回収を行っているものの現時点の残高については、集計は困難である。
二 について 事業団が解散した時点の一切の権利及び義務については、業務承継法第一条第一項の規定に基づき、基金が承継し、業務承継法第十二条第一項の規定に基づき、適正に債権の管理及び回収を行ってきており、今後とも基金が適正に債権の管理及び回収を行うこととなる。 三について 事業団貸付業務に係る債権のうち返済期限から六月以上が経過して延滞となっているもの(以下「延滞債権」という。)の額は、平成十一年度末で約三百七十五億円であるが、事業団の解散時点における延滞債権は基金が承継し、その回収を図ることに最大限努力しているところであり、厚生労働省においても、適切な指導を行ってまいりたい。
四について 御指摘の財団に対する融資については、平成八年一月に「京都ゆうゆうの里」の設置資金として事業団が貸付けを決定したものであるが、当時、財団の経営はおおむね良好であったこと、過去の借入金の償還も滞りなく行われていたこと等を踏まえて審査を行った結果、貸付先として適当であると判断したものと承知している。その後、財団における理事長の交代等が判明したことから、事業団は平成九年十月に貸付契約を締結するに当たって財団から報告を求め、財団が運営の改善を図ることについて確認を行ったと承知している。 五について 御指摘の「ゆうゆうの里」は、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十九条第一項に規定する有料老人ホームであるが、その利用者の権利は、経営主体である財団との間の任意の契約に基づくものである。財団の経営する各有料老人ホームに対してこれを管轄する府県が同条第三項の規定に基づき行った調査によれば、これらの有料老人ホームは、サービスの提供について同法に抵触するような事実が認められることなく、おおむね良好に運営されていると承知しており、サービスの内容について指導が必要であるとは認識していない。 六について 業務承継法第十二条第二項の規定に基づき、基金は、厚生年金又は国民年金の被保険者の福祉を増進するため必要な住宅の設置に要する資金の貸付け等を別に法律で定める日までの間行うこととされており、この「別に法律で定める日」については、業務承継法附則第二条第一項において、業務承継法の施行の日後二回目以降の財政再計算が行われる際に、業務承継法第十二条第二項に規定する業務の実施状況等を踏まえて検討するものとし、その結果に基づいて定めるものとすることとされている。これは、特殊法人等の整理合理化について(平成九年六月六日閣議決定)において「適切な経過措置を講じた上、撤退する」とされたことを受けて規定されたものであり、撤退に当たっては被保険者、地域経済、雇用等への影響を考慮する必要があることから、このような経過措置が講じられたものである。 八について 事業団においては、貸付けの対象施設、貸付けの相手方、貸付金の利率、償還期限、貸付金の限度額、償還の方法等を定めた業務方法書、受託金融機関事務取扱要領、年金住宅融資事務取扱等を求めに応じ開示し、また、旧事業団法第十八条第一項の規定に基づき事業団貸付業務の一部を委託していた受託金融機関の名称についても、同様に求めに応じ開示していたところである。 九について 厚生労働省においては、事業団が行う事業に対して、適正な指導監督に努めてきており、事業団においても、法令等に従い、適正な事業執行が行われてきたものと考えている。社会情勢の変化等に伴い延滞債権が増加してきたことは重く受け止めるべきものであり、事業団の業務を承継した基金に対し、引き続き指導監督を徹底してまいりたい。
|