質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

勝馬投票券発売税の新設に係る総務省の不同意に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年五月一日

齋藤 勁   


       参議院議長 井上 裕 殿


   勝馬投票券発売税の新設に係る総務省の不同意に関する質問主意書

 かつての日本の行き過ぎた中央集権体制が全国のあらゆる自治体に画一的行政を強い、地域の自主性を育てることが十分でなかったという反省から、この間地方分権が進み、昨年四月に地方分権一括法の施行により、地方公共団体の課税自主権が拡大された。このことに伴い、法定外普通税の取扱いについて、従来の許可制から協議制に変わるなど、地方公共団体の法定外税の創設を国が認める要件も緩和されたものと認識している。
 この新しい制度適用の第一号として、横浜市では地方分権を実践する試みの一つとして、勝馬投票券発売税を横浜市議会で可決し、総務大臣に同意を求めた。これは、(1)地域の費用は、その構成員である住民がみんなで負担すべきであること、(2)公共法人は一般的に公共サービスを提供しているが、地域の生活等に着目して、直接その向上を図っていないものは相応の負担をしてもらおうという地方自治の精神に沿った考え方によるものである。その協議に対し、総務大臣は三月三十日、国の経済施策に照らして不同意との結論を出した。不同意の理由としては、JRA(日本中央競馬会)の国庫納付金制度は国の重要な施策であり、合理的な課税の理由がない限り認められないという極めて不明確なもので、国の不同意の裁量権が非常に大きいということが感じられるものであった。これでは、「国の経済施策」というあいまいな言葉を盾にして、自治体の課税自主権を否定することになり、地方分権を推進すべき総務省の姿勢として誤っていると考えざるを得ない。そこで以下質問する。

一 横浜市の新税創設に対する不同意は、地方税法第六七一条第三号の「国の経済施策に照らして適当でない」という条文に該当するとし、さらに「国の経済施策とは国の各省庁が行うべき特に重要な施策をいう」と付記されているが、この「特に重要な施策」の具体的な基準は何か。
 聞くところによると、横浜市からの照会に対して総務省では「特に重要な施策」として、「国の経済施策に該当するかどうかの具体的判断は、個々の事例に応じて総合的に行われる」と回答しているようだが、それでは明確な基準はないということか。
 さらに、JRAの国庫納付金制度が他の経済施策に比較して、特に重要な施策である根拠は何か、具体的に答えられたい。

二 総務省は、地方公共団体が法定外税を創設する際の処理基準等について、平成十三年四月十二日に自治税務局長名で都道府県に通知した。その中で、議会等において十分な検討が行われることが望ましいといいながらも、地方分権一括法の施行に際し地方税法から削除した国が同意するための積極的要件、つまり、その税収入を確保できる税源のあること及びその税収入を必要とする財政需要があることという条項を、あろうことかわざわざ留意事項として復活させている。
 この留意事項は、法定外税の新設に当たっての処理基準なのか。また、処理基準でないとすれば、どういう位置付けになるのか。こうした指導強化ととられるような留意事項を通知した趣旨は何か。

三 総務省は地方分権を推進すべき立場にあるが、不明確な処理基準あるいは留意事項を示すことはかえって地方公共団体の自主性を阻害し、法定外税を創設しづらくすることになると考えるがどうか。
 また総務省は、処理基準等で地方税法に規定する不同意の事由を補足するのであれば、同意・不同意要件を最小限とし、分かりやすく限定列挙すべきと考えるがどうか。

  右質問する。