質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

民間移送会社による精神障害者の移送に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年三月一日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   民間移送会社による精神障害者の移送に関する質問主意書

 最近、民間移送会社によるいわゆるひきこもりの症状がみられる精神障害者の移送を専門とするサービスの問題が多く報道されている。これら報道によると、民間移送会社が保護者に対して法外な料金を請求したり、民間移送会社の判断で入院先を決定したりしているが、法律には触れていないという。このような現在の法整備では、患者の人権は十分に守られていないと思われる。そこで以下質問する。

一 精神障害者又はその疑いのある者の保護者が、本人の同意なしにその者を精神病院へ入院させる場合、保健所を経て都道府県知事に申請すれば、これは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に従って措置され、医師の診察及び確認が行われる。しかし、保護者が都道府県知事に申請せず、最初から民間移送会社に依頼した場合、医師の診察及び確認は必ずしも行われていない。政府はこのような異なる取扱いを認めるのか、見解を示されたい。

二 一のように、保護者が最初に相談した場所によってその後の対応が異なってしまうことは問題であると考えるが、これは法律上の不備ではないのか、政府の見解を示されたい。

三 民間移送会社が精神障害者又はその疑いのある者を医師の診察及び確認なしに移送する場合、患者の人権は保たれるのか。保たれるとすれば、それは何の法律によって担保されているのか。

四 民間移送会社は主として、書類審査により都道府県公安委員会に認定された警備会社の体裁をとっている。医療行政側が移送業者の実態を把握する手段を持たないのは問題と考えるが、政府の見解を示されたい。

五 今後、このような民間移送会社に対して、厚生労働省として何らかの指導・監督を行う予定はあるのか、見解を示されたい。

  右質問する。