質問主意書

第150回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二二号

代用心膜使用症例における遅発性皮下膿症及び縦隔炎の発生に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年十一月三十日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   代用心膜使用症例における遅発性皮下膿症及び縦隔炎の発生に関する質問主意書

 今国会での参議院国民福祉委員会において、代用心膜「シェルハイノーリアクトパッチ」使用症例における遅発性皮下膿症及び縦隔炎の発生に関して質疑をしたが、その答弁の中で不明な点があったので、以下質問する。

一 委員会において、厚生省は、代用心膜使用症例において遅発性皮下膿症及び縦隔炎の発生の事実があることを知ったのは、平成十一年十月であると答弁している。しかし、当該品の輸入販売業者ヨストラジャパン株式会社は、医療機関から平成十一年六月二十五日に第一例の報告を受けており、その後類似症例がその他の二施設から報告されたことを受け、平成十一年八月六日に現状を確認し、平成十一年八月九日に、その状況報告を厚生省に対して行っている。厚生省はこの事実を知らなかったのか。

二 委員会において、厚生省は、当該品は百三十七施設で使用され、そのうち十三施設で六十五症例が報告されていると答弁している。各施設が当該品を使用したかどうかを調査したのは誰で、いつ完了したのか。全国の何施設を調査した上で当該品が百三十七施設で使用されたと判断したのか。また、当該品を使用した施設において、代用心膜使用症例における遅発性皮下膿症及び縦隔炎の発生があったかどうかを調査したのは誰で、いつ完了したのか。

三 厚生省が、各医療機関に対して当該品の危険性に関する情報を直接提供したのはいつか。

四 厚生省は、委員会で報告した六十五症例以外の症例が存在すると認識しているか。医師の診断ミスの可能性はないか。可能性があるのであれば、本件のように、各医療機関からの報告だけに頼ったり、全ての調査を民間の業者に任せたりせず、厚生省自身が調査すべきではないか。

五 委員会において、厚生省は、遅発性皮下膿症及び縦隔炎と当該品との因果関係があるかどうかについて、一定の客観的な判断を踏まえた上で対応することが適切であると答弁している。本件の場合、一定の客観的な判断を踏まえた上で対応したのはいつか。それは対応した時期として適切だったのか。不確かでも因果関係があるかもしれないのであれば、それが分かった時点で、そのような製品は使用しないよう勧告を出すべきではなかったのか。

六 当該品を製造したのは米国シェルハイ社であるが、厚生省が、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)に対して当該品の照会を行ったのはいつか。照会に対するFDAの報告はどのようなもので、いつ受けたのか。また、厚生省は、製造元に対していつ、どのような調査を行ったのか。調査の結果はどのような内容だったのか。その結果はいつ出たのか。

七 本件の原因菌は、既知の抗酸菌の生菌又は結核菌群とは考えにくいという報告があるが、そうであれば、これは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の新感染症に当たるのか。また、本来であれば、このような未知の菌は国が直接管理すべきではないか。

八 この菌が抗酸菌であるならば、医師その他医療関係者は、結核予防法にのっとって処置すべきではなかったのか。

九 このような厚生省の対応の遅さ、不完全さの原因が現行の制度にあるのであれば、しかるべき解決策を模索すべきである。厚生省は、本件のような問題をより迅速に解決するためにはどうすればよいと考えているか。

  右質問する。