第150回国会(臨時会)
質問第二一号
外国人研修・技能実習制度に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十二年十一月三十日 大脇 雅子
外国人研修・技能実習制度に関する質問主意書 本年三月二十四日に策定された『第二次出入国管理基本計画』は、「日本人と外国人が心地よく共生する社会の実現を目指す」としており、また、今後の日本における少子高齢化の進行を見るとき、外国人労働者(移住労働者)の受入れ問題は避けて通れない。
一、関係省庁連絡会議について 昨年十一月十八日の参議院労働・社会政策委員会において、私は、外国人研修・技能実習制度に関する関係省庁による連絡会議を設置して体制を強化してほしい旨の質問をしたが、当時の牧野労働大臣からは、関係各省の協議会をつくり、連携に万全を期す旨の答弁を得た。 1 この「関係省庁連絡会議」の具体的活動の内容は、現在どのようになっているか。
二、外国人研修生・技能実習生に関する具体的問題の発生について 現在、日本における外国人研修生・技能実習生に関しては、次のような問題が生じていると聞いている。そこで次の(1)から(8)までについてどのように事態を把握しているか。また、その問題の実情によっては、人権侵害問題として、ガイドラインを策定する等の早急な対処が必要であると考えるがどうか。 (1) 受入れ機関や受入れ事業主によるパスポートの取上げ・保管
三、外国人研修・技能実習制度に関する立法について 現状及び今後の外国人研修・技能実習制度に関する問題の発生とこれらの制度をより有効なものとする必要にかんがみ、外国人研修・技能実習制度に関する「基本法」を制定して、将来に向けて有効な法制度を構築すべきと考えるがどうか。 四、外国人研修生・技能実習生の送り出し機関について 例えば、中国出身者の違約金・保証金問題、インドネシア出身者のパスポート取上げ問題、ベトナム出身者の保証金問題などが指摘されている。これらの問題は、日本国内だけで解決できるものではなく、外交ルートによる誠実な交渉に基づく「二国間条約」の締結等によって解決を図るべきと考えるがどうか。 五、外国人研修生・技能実習生に対する相談体制の整備について 外国人研修生・技能実習生が、これらの制度趣旨に基づき、安心して研修を修了し、技能を習得できるよう、その過程で生じた人権問題や生活上の問題について、しかるべき公的機関による相談体制の整備確立が急務と考えるがどうか。 六、外国人研修生・技能実習生の「負担」問題について 研修及び技能実習において、何らかの問題が発生した場合には、帰国措置等、外国人研修生・技能実習生の負担において「解決」したとされることが多くある。また、外国人研修生・技能実習生が受入れ機関における問題点を指摘したり、あるいは病気にかかった場合に、受入れ機関が恣意的に帰国させる例も報告されている。
七、受入れ機関へのチェック体制の強化について 研修及び技能実習について、受入れ機関が適正に実施しているか否かを把握するためのチェック体制の強化が必要であると考えるがどうか。具体的施策を講じるために、国・地方を問わず、公的機関が連携して当たるべきではないか。 八、受入れ事業所における労働安全体制について 研修生及び技能実習生が、受入れ事業所において研修及び技能実習中に、業務上の負傷や疾病にかかる事態が発生してはならないことは言うまでもない。現在日本が受け入れている研修生及び技能実習生に関する労働安全について、どのように把握しているか。体制強化の施策が必要と考えるがどうか。 九、研修・技能実習制度の目的と意義について 研修及び技能実習で獲得する技能・技術等が、相手国の必要とする技能・技術等と見合っていないことが多いとの指摘があるが、今後どのような改善策等を講じてこの制度を充実していく考えか。
十、JITCOについて 現在、研修及び技能実習制度について、JITCO(財団法人国際研修協力機構)の果たしている役割・機能をどのように位置付けているか。また、今後の研修及び技能実習制度の発展と充実のために、JITCOの位置付けをどのように考えているか。 十一、在留資格の見直しについて 技能実習については、『第二次出入国管理基本計画』で、新たに独立した在留資格として創設することを検討することになっているが、その進捗状況はどうか。 右質問する。 |