質問主意書

第150回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

シックハウス症候群に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年十一月二十日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   シックハウス症候群に関する質問主意書

 十数年ほど前から、新築や改築後の住宅や施設に長時間滞在すると、目がしみる、気分が悪くなるという症状が現れ始め、建築材等で使われる化学物質がその原因の一つということが明らかになった。やがてこの症状は「シックハウス症候群」と呼ばれて全国各地で報告されるようになり、現代社会に特有な病気として一躍世間の注目を集めるようになった。
 シックハウス症候群は、因果関係の立証が難しく、専門治療を行う病院も日本で一箇所しかない上、治療には健康保険を適用することができない。さらに、ひどい場合には、職場で働くことができなくなったり、電車に乗ることもできなくなる。同症候群の患者が置かれた状況は非常に厳しい。
 そこで、以下質問する。

一 シックハウス症候群を最初に世間に訴え、その理解を求めるために活発に活動したのは、患者や弁護士などで作る非営利活動団体(NPO)であった。彼らは政治・行政が取り組むよりも早くこの問題について注目し、患者の健康や権利を守るために積極的に活動してきた。政府は彼らの活動をどう評価しているか。

二 一九九六年に行政の側がシックハウス問題の対策に乗り出し、今年になって関係各省に検討会等が設置されたが、あまりに遅きに失した対応と言わざるを得ない。シックハウス症候群に取り組むNPOは、患者に常に接して彼らの声を直接聞き、彼らの視点からこの問題について考えている。また、政界や所管別に分けられた関係省庁、その他民間の関係者を横断的に調整し統合できるのはNPOしかない。このことを考えれば、NPOを中心に関係者で情報交換を行い、問題解決のための枠組みをつくるべきだと思うが、このことに対する政府の見解を述べられたい。

三 元来、日本のNPOが世間に認められ成長してきた歴史は非常に浅く、その財政的基盤はいまだ脆弱だと言わざるを得ない上、シックハウス症候群に対する理解がなされるようになったのもごく最近のことであり、支持基盤も薄い。国立大学の調査などに予算が割り当てられているのに対し、NPOにおいては、シックハウス症候群の研究・調査から、会議の開催や広報誌の発行に至るまで、その活動の全般において、恒常的な資金不足に悩まされている。政府はこうしたNPOが安心して活動できるように彼らに財政的支援を行うつもりはあるか。

  右質問する。