質問主意書

第149回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一四九第六号

  平成十二年八月二十五日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 中 川 秀 直   


       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

参議院議員照屋寛徳君提出劣化ウラン弾薬きょう流出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員照屋寛徳君提出劣化ウラン弾薬きょう流出に関する質問に対する答弁書

一について

 政府は、平成十二年六月一日、防衛施設庁、科学技術庁及び外務省の職員により構成される調査チームを現地に派遣し、御指摘の劣化ウラン弾薬きょうによる周辺環境への影響についての調査を実施した。具体的には、薬きょうが入ったドラム缶周辺の空間放射線量率の測定、薬きょう、ドラム缶の外側及び内側並びに周辺土壌(以下「薬きょう等」という。)の表面の劣化ウランによる汚染の有無についての検査を行うとともに、周辺土壌の表層土の一部を採取し詳しい分析を実施した。
 これらの調査の結果、ドラム缶周辺の空間放射線量率は、通常の環境におけるレベルと同等であり、また、薬きょう等の表面及び採取した表層土についても劣化ウランによる影響は認められなかった。なお、当該調査の結果の詳細については、別紙一及び別紙二により公表したところである。

二について

 アメリカ合衆国(以下「米国」という。)政府の説明によれば、沖縄に駐留する米国軍隊においては、使用後の薬きょうは、それが使用済みであることが確認された後、牧港補給地区にある国防再利用販売事務所を通じて他の鉄くずと共に払い下げられるとのことである。ただし、牧港補給地区にある国防再利用販売事務所における払下げ記録には、鉄くずとして払い下げられた物資の内訳についてまで記載されていないため、御指摘の劣化ウラン弾薬きょうが払い下げられた事実については確認できなかったとのことである。また、劣化ウラン弾の薬きょうを含め、一般に使用済みであることが確認された薬きょうは危険性がないとのことである。

三について

 劣化ウランは核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)第二条第二項に規定する核燃料物質に該当することから、これを使用しようとする者は、法第五十二条第一項各号の一に該当する場合を除き、同項に基づき、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。内閣総理大臣は、当該許可の申請があった場合、法第五十三条に規定する許可の基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならず、当該許可を受けた者は、劣化ウランを使用する場合には、法第五十七条第一項に基づき総理府令で定める技術上の基準に従って保安のために必要な措置を講じなければならない等の規制を受ける。なお、法第五十二条第一項第一号から第四号までに掲げる場合における劣化ウランの使用については、それぞれ法第二章から第四章まで及び第五章に定める規制を受ける。
 また、劣化ウランは法第二条第九項に規定する国際規制物資に該当することから、法第五十二条第一項第五号に該当する場合であっても、これを使用しようとする者は、法第六十一条の三第一項に基づき内閣総理大臣の許可を受けなければならず、法第五十二条第一項に基づき許可を受けた者等は、法第六十一条の三第四項に基づき内閣総理大臣に届け出なければならない。劣化ウランを使用する者に対しては、さらに、法第六十一条の八第一項に基づき、その適正な計量及び管理を確保するため、総理府令で定めるところにより、計量管理規定を定め、その使用開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない等の規制が課されている。

四について

 我が国における米国軍隊の廃棄物管理については、米国軍隊は、米国国防省の策定した基準に沿って、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうち、より厳格なものを選択するとの基本的な考え方の下に環境管理基準を作成し、これに基づき、廃棄物の適正かつ安全な取扱いを含め厳格な環境管理行動をとっているものと承知している。我が国政府は、日米合同委員会の枠組み等を活用して、当該環境管理基準の改定の際に、我が国の国内法上の基準との関係で問題が生じないよう、必要に応じ米国政府と十分に協議することとしており、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第六条に基づき、米国軍隊が使用を認められている施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)において、廃棄物管理を含め環境保全に妥当な考慮が払われるよう対処してきている。
 また、我が国における米国軍隊の不用品払下げについては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)の下において、米国軍隊は、関税の免除を受けて我が国に輸入した物資を我が国内において売却する際には、当該物資の価値が五十ドル以下の場合等を除き、通商産業省に対し当該物資の品名、数量等を通告しなければならないこととされている。この通告がなされた場合、通商産業省は、必要に応じて関係省庁にも通知の上、保安、公衆衛生等の観点から、当該物資の売却について異存があるか否かを判断し、米国軍隊に回答することとしている。米国軍隊は、異存がない旨の回答を得た場合には、当該物資の所在する地域を管轄する税関に遅滞なく、当該物資の品名、数量等を通知することとされている。なお、米国軍隊が売却する物資の価値が五十ドル以下の場合等には、米国軍隊は、売却後、税関に対し当該物資の品名、数量等を通知することとされている。
 他方、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十二号)においては、米国軍隊以外の者が、米国軍隊が関税の免除を受けて我が国に輸入した物資の譲受けをする場合には、当該譲受けを輸入とみなし、関税法等の規定を適用することとされており、税関においては、譲受人からの輸入の申告を受けて通関手続をとることとなるが、米国軍隊から通商産業省に対し上記通告がなされた場合には、米国軍隊及び通商産業省からの通知を踏まえた取扱いを行うこととしている。
 政府としては、今後とも、米国軍隊の廃棄物管理については、日米合同委員会の枠組み等を活用して、必要に応じ米国政府と十分に協議し、米国軍隊の不用品払下げについては、不用品払下げに係る国内手続を適正に運用してまいりたい。

五について

 日米地位協定第三条は、施設及び区域において、米国軍隊がその設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる旨規定している。このように、日米地位協定において米国軍隊に対し施設及び区域の一般的な管理を行う権利を認めているのは、日米安保条約の目的達成のため、我が国が米国軍隊による施設及び区域の使用を認める以上、いわば当然のことと考えられるものである。
 他方、日米地位協定第三条に関連する日米合同委員会合意に規定されている手続を経て、地方公共団体は、施設及び区域に立入りを行うことができる。施設及び区域において、環境に影響を及ぼす具体的な問題が生じた場合、米国軍隊は、周辺住民の不安を解消し、米国軍隊による環境保全措置や事後処理に関する地元の理解を促進するとの観点から、施設及び区域への立入りを含め、可能な限り関係地方公共団体からの要請に応えるべく配慮してきているものと承知している。
 以上のことから、現時点において、日米地位協定第三条の改正を行うことは考えていない。

六について

 米国空軍第十八航空団司令官の発言に関する報道については承知しているが、劣化ウラン弾の保管場所は米国軍隊の運用にかかわるものであり、政府としてお答えする立場にはない。なお、米国政府は、従来から、米国軍隊の保有する弾薬の具体的な種類、量及び保管場所については、軍の運用にかかわる問題であり、施設及び区域の保安上の要請もあるため、公表しないとの基本方針を有していると承知している。
 米国軍隊は、平素より即応態勢を維持するため、緊急事態に備えて、種々の装備、物資を保有しており、劣化ウラン弾についても、このような観点から我が国における一部の施設及び区域に保管されているものと承知しているところであり、その撤去を申し入れる考えはない。いずれにせよ、劣化ウラン弾の保管が厳重に行われるべきことは当然であり、政府としては、米国政府に対し、劣化ウラン弾の管理に万全を期すよう引き続き求めていく考えである。

別紙一 劣化ウラン弾薬きょう調査結果

別紙二 表層土中のウラン分析結果について