質問主意書

第146回国会(臨時会)

答弁書


第百四十六回国会答弁書第一六号

内閣参質一四六第一六号

  平成十二年一月二十八日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員中村敦夫君提出東京の廃棄物問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中村敦夫君提出東京の廃棄物問題に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の柳泉園組合清掃工場建設事業(以下「建設事業」という。)に係る事後調査報告書(以下「調査報告書」という。)は、柳泉園組合(以下「組合」という。)が東京都環境影響評価条例(昭和五十五年条例第九十六号)の規定に基づき調査を行い、その結果を取りまとめて平成十一年二月に東京都に提出したものである。
 当該調査の目的が、建設事業による施工場所及びその周辺の環境に与える大気汚染、騒音等を把握することであることから、調査報告書の対象となる工事は、建設事業の施工場所において行われる工事であり、組合が平成九年度に実施した燃焼用火格子支持架台(以下「支持架台」という。)の製作は、建設事業のプラント工事の一環として行われたものであるが、支持架台の製作を請け負った業者の工場内において実施されたことから、調査報告書の対象となる工事に該当せず、調査報告書に支持架台の製作の記載がなされなかったものである。
 一方、御指摘の平成九年度廃棄物処理施設整備費国庫補助金事業実績報告書(以下「実績報告書」という。)は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第十四条及び第二十六条の規定により、廃棄物処理施設整備事業の補助事業者である組合が平成十年四月に東京都に提出したものである。組合は、平成九年度に、国庫補助対象事業である支持架台の製作を完了したことから、実績報告書にその旨を記載して東京都に報告したものである。

二について

 平成九年度廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付申請書(以下「交付申請書」という。)に添付された事業計画説明書において記載されている施工場所は、平成九年度に、国庫補助対象事業である支持架台を設置する焼却施設の場所を示すものであり、当該施工場所において、支持架台の製作を行うことを意味するものではない。
 なお、支持架台の製作は、請負業者の工場内において行われた。

三の1について

 交付申請書において記載された「製作」とは、「製造」と同じ意味である。支持架台を焼却施設に設置する事業は、平成十一年度の国庫補助対象事業となるものと考える。
 また、交付申請書においては、国庫補助対象事業としては支持架台の製作のみが挙げられており、御指摘の「杭・山留工事」を行う旨の記載はなく、変更申請もされていない。
 なお、当該杭・山留工事は当初から組合の単独事業として行われるものと承知しているところである。

三の2について

 「廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付要綱」(昭和五十三年五月三十一日厚生省環第三百八十二号厚生事務次官通知。以下「交付要綱」という。)においては、補助対象事業費の算定方法を定めるとともに、算定に用いる経費区分及び各区分に計上すべき費用の内容を定めている。
 交付要綱によれば、間接工事費は、各工事部門に共通の、直接工事費以外の工事費及び経費であり、具体的には、共通仮設費として運搬費、準備費、仮設費、役務費、技術管理費、営繕損料、労務者輸送費及び安全費の各費用が、また現場管理費として労務管理費、地代家賃、水道光熱費、運賃、消耗品費、通信運搬費等の各費用が掲げられている。
 廃棄物処理施設に係る設備の部品の製作については、一般の工業製品の工場での製作とは性格が異なり、各施設ごとに異なる設計仕様に基づく発注によりその都度製作されるものであって、製作する部品に応じ、工場内での部品の製作に必要な機材、工具類の準備及び後片付け、製作した部品の品質検査、材料置場の営繕、安全施設の設置等に係る費用がその都度生じ得るものであることから、直接工事費を構成する材料費、労務費及び直接経費(特許使用料、水道光熱電力料及び機械器具損料)とは別に、当該製作の場所である工場を現場として、間接経費に相当する前述の各経費が生じ得るものである。
 平成九年度に、組合から、建設事業の一環として、第一期工事の焼却炉設備の部品である支持架台の製作の事業を国庫補助対象事業として実施する旨の交付申請が行われたことから、当該事業について、交付要綱に基づき、直接工事費及び間接工事費等の各経費を認め、国庫補助金を交付したものであり、特に問題はないものと考える。

三の3について

 支持架台を含む燃焼設備の製作は、必ずしも焼却施設の建屋内で行う必要はないこと、また、建屋の建設と並行して当該設備の製作を行うことは、建設事業の工期の短縮等にもなることから、建屋の建設と当該設備の製作を並行して行うことは、廃棄物処理施設の事業では、広く行われているところである。
 また、交付申請書においては、平成九年度に国庫補助対象事業として「杭・山留工事」を行う旨の記載はなく、実績報告書においては、支持架台を製作する事業が完了した旨が報告されており、御指摘のような事実関係については承知していない。
 なお、支持架台は、燃焼設備の重要な構成部品であり、当該燃焼設備を含む焼却施設の完成後請負業者により適切な性能確認試験等を行わせることとしている。

四の1について

 建屋が未着工であっても、焼却施設内に設置される燃焼設備を含む各種設備を請負業者の工場で製作することは可能であり、御指摘の平成十年度の国庫補助対象事業とされた各種設備の製作は、請負業者の工場で順次進められており、組合が平成十一年六月に組合議会に提出した報告書においても、その旨の記載がなされているところである。
 したがって、組合は、適切に国庫補助対象事業を行ってきており、平成十年度の国庫補助金交付及び平成十一年度分の国庫補助金の前倒し交付を組合に対し行うことは問題がないものと考える。

四の2について

 御指摘の変更は、建設事業のうち、組合が平成十二年度及び平成十三年度に予定していた第二期工事の灰溶融炉設備の建設の中止等に係るものであり、第一期工事の焼却炉設備の建設に、何ら影響を及ぼすものではなく、平成十年度の国庫補助対象事業に影響を与えるものでもないことから、平成十年度の国庫補助金を組合に交付したものである。