質問主意書

第146回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一四六第七号

  平成十一年十二月十四日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員櫻井充君提出韓国における急速な景気回復に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出韓国における急速な景気回復に関する質問に対する答弁書

 韓国経済は、千九百九十九年に入り、対前年同期比の実質経済成長率が三四半期連続でプラスとなった。その政策的な要因としては、千九百九十八年半ばに為替レートが落ち着きを取り戻し始めると、国際通貨基金の同意の下、中央銀行である韓国銀行が次第に金融引締め策から金融緩和策に転じたこと及び韓国政府も財政面において千九百九十八年度第二次補正予算に種々の景気刺激策を盛り込んだことが考えられる。また、韓国政府の金融部門における諸改革を始めとする構造改革への積極的な取組が投資家の信頼を高め、資本の再流入を促したことも、韓国経済を早期に景気回復軌道に乗せた一因と考えられる。
 一方、日本においては、日本銀行が、適切かつ機動的な金融政策運営を行っており、平成十一年二月以降、オーバーナイト物の無担保コールレートをできるだけ低めに推移するよう促している。また、政府は、「緊急経済対策」(平成十年十一月十六日経済対策閣僚会議決定)を受け、平成十年度第三次補正予算を編成するとともに、平成十一年度当初予算についても、いわゆる十五か月予算の考え方の下に、平成十年度第三次補正予算と一体的にとらえ、当面の景気回復に向け全力を尽くすとの観点に立って編成した。さらに、政府は、昨年来、大規模かつ迅速な経済政策によってデフレスパイラルに陥りかねない厳しい経済状況からの脱却に努めてきたところであり、この結果、金融改革を始めとする構造改革が進ちょくした。こうした各般の施策により、対前期比の実質経済成長率は、平成十一年に入り、二四半期連続でプラスとなった。また、「経済新生対策」(平成十一年十一月十一日経済対策閣僚会議決定)は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、我が国の景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、構造改革を強力に推進し、二十一世紀の新たな発展基盤を築くことに重点を置いている。
 このように、両国とも景気を本格的な回復軌道に乗せていくための経済運営に万全を期しているところであり、御指摘の韓国の景気が日本と比較して急速に回復している理由については、両国経済の回復前の景気後退の程度の相違やその発展段階に差があることなど種々の要因があることから、一概にはいえないと考えている。