質問主意書

第145回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一四五第二八号

  平成十一年九月十七日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員櫻井充君提出ライト・レール・トランジットの国内普及に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出ライト・レール・トランジットの国内普及に関する質問に対する答弁書

一の1について

 軌道運転規則(昭和二十九年運輸省令第二十二号)第四十六条の規定による連結車両の長さの制限は、併用軌道が道路上に敷設され、他の道路交通に影響を及ぼすことから、交差点等において他の道路交通の進路に支障を来す時間が著しく長くなること等がないよう定められたものである。

一の2について

 併用軌道における連結車両の長さの制限は、一の1についてで述べたとおり、路面電車が他の道路交通に影響を及ぼすことを考慮すれば、道路交通の円滑化を図ること等のために適切なものであると認識している。
 なお、特別の事由がある場合には、軌道運転規則第二条第一項ただし書の規定により、個々の事業者からの申請に基づき、その線区の道路状況、交通量、道路交通上の安全性等を勘案し、同令の定めによらないことを許可する取扱いを行っているところである。
 また、軌道運転規則第三条第一項の規定により、道路上その他公衆の通行する場所以外の場所に敷設される新設軌道の運転については、鉄道運転規則(昭和六十二年運輸省令第十五号)を準用することとしており、軌道運転規則の連結車両の長さの制限を受けることはない。

二の1について

 軌道運転規則第五十三条の規定による併用軌道の最高速度の制限は、他の道路交通に比べ路面電車の制動距離が著しく長いこと、併用軌道が鉄道や新設軌道と異なり目視により車両間の間隔を確保する方式によっていること等を勘案し、道路交通上の安全性を確保する観点から定めたものである。

二の2について

 併用軌道における最高速度の制限は、二の1についてで述べたとおり、他の道路交通及び路面電車の制動性能等を考慮すれば、道路交通上の安全性を確保するために適切なものであると認識している。
 なお、特別の事由がある場合には、軌道運転規則第二条第一項ただし書の規定により、個々の事業者からの申請に基づき、その線区の道路状況、交通量、道路交通上の安全性等を勘案し、同令の定めによらないことを許可する取扱いを行うこととしているところである。
 また、軌道運転規則第三条第一項の規定により、新設軌道の運転については、鉄道運転規則を準用することとしており、軌道運転規則の最高速度の制限を受けることはない。

三の1について

 軌道建設規程(大正十二年内務省令・鉄道省令)第十六条第一項の規定による勾配の制限については、一般的な車両の勾配途中において停止した場合の再起動性能、連続した勾配における登坂性能等を勘案し、道路交通の円滑化を図る観点から定めたものである。

三の2について

 軌道建設規程第十六条第一項ただし書の規定は、橋梁取付部等の特殊な箇所における勾配を対象としたものであり、短い区間を想定したものである。このため、仮にこれを全線に適用した場合には、車両に連続して過大な負担を課すこととなり、連続した勾配における登坂等に支障を来すおそれがあることから、現在の基準を御指摘のように同項ただし書の規定によらず、最大千分の六十とすることは適切ではないと考える。
 なお、特別な事由がある場合には、軌道建設規程第三十四条の規定により、その線区の道路状況及び車両の性能等を勘案し、同令の規定による設計によらないことができる。

四の1について

 御指摘の「LRT導入には道幅が二十七メートル以上必要であるとの説」については、承知しておらず、「二十七メートルと言われる根拠」について見解を示すことはできない。

四の2について

 軌道建設規程第八条及び第九条においては、道路交通上の安全性、排水上の優位性等の理由から併用軌道は道路の中央に敷設することが原則とされているが、道路の種別及び幅員によっては道路の片側に偏して敷設することができることとされており、同令は適切に運用されているものと認識している。

四の3について

 軌道の敷設位置については、歩行者の利便性や安全確保の観点からは道路の片側に偏して敷設することにも利点はあるが、道路交通全体に与える影響を総合的に勘案すれば、道路の中央に敷設することを原則とすることに合理性があると考える。
 また、御指摘のトランジットモールについては、中心市街地の活性化、道路空間の再構築等の観点から、近年、その重要性を認識し、導入のための検討を進めている。

四の4について

 御指摘のLRTについては、今日においても、地下、高架等を活用することは制度的に可能である。

五の1について

 地下鉄については、おおむね鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)が適用されている。
 また、主として道路に敷設されるモノレール及びいわゆる新交通システムについては、おおむね軌道法(大正十年法律第七十六号)が適用されている。

五の2について

 御指摘のLRTについては、主として道路に敷設される区間においては、軌道法の適用により導入が可能であると認識している。

五の3について

 御指摘のLRTを含む路面電車、モノレール及びいわゆる新交通システムには、主として道路に敷設するものについてはおおむね軌道法、これ以外のものについてはおおむね鉄道事業法を適用しているが、事案に応じ適切に対応しているところである。

五の4について

 軌道法及び同法に基づく命令については、事案に応じた適切な運用を行っているところである。さらに、御指摘のLRTを含む路面電車の整備のための補助制度として、運輸省においては低床式車両の導入等のための近代化補助、建設省においては路面電車走行空間改築事業及び都心交通改善事業を実施しているところであり、今後とも御指摘のLRTを含む路面電車の整備の促進を図ってまいりたい。