質問主意書

第145回国会(常会)

答弁書


答弁書第二〇号

内閣参質一四五第二〇号

  平成十一年七月六日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員大脇雅子君提出在留資格のない外国人の国民健康保険被保険者資格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員大脇雅子君提出在留資格のない外国人の国民健康保険被保険者資格に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 厚生省は、厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)第五条第八十九号に基づき、国民健康保険の保険者を指導監督する事務を所掌し、この事務を遂行するため、同法第六条第七十号に基づき、国民健康保険の保険者に対し、事業及び財産に関する報告をさせ、その状況を検査し、その他監督上必要な命令又は処分をする権限を有する。当該事務については、厚生省組織令(昭和二十七年政令第三百八十八号)において、同令第十三条第八号に基づき同省保険局が、同令第八十五条第二号に基づき同局国民健康保険課がこれをつかさどることとしている。したがって、厚生省保険局国民健康保険課は、その事務の一環として、必要と認める場合には、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定について解釈を行うことができるものである。
 御指摘の平成四年三月三十一日付け厚生省保険局国民健康保険課長通知(以下「課長通知」という。)は、国民健康保険課の所掌事務の一環として、保険者である市町村がその判断に基づいて国民健康保険法第五条を外国人に対して適用する場合における市町村の取扱いが統一されるよう、同条の解釈を示したものである。
 厚生省においては、三についてで述べる御指摘の訴訟に関する経過にかんがみ、課長通知の内容の変更や廃止を行う考えはなく、また御指摘のように課長通知が国民健康保険法第五条の内容を変更しているものとは考えていない。

三について

 御指摘の平成十年七月十六日東京地方裁判所判決(平成八年(行ウ)第二八〇号国民健康保険被保険者証不交付処分取消請求事件。以下「第一審判決」という。)については、被告である武蔵野市は、不服であるとして控訴したところである。
 本件の第二審である平成十一年三月二十四日東京高等裁判所判決(平成十年(行コ)第一四三号国民健康保険被保険者証不交付処分取消請求控訴事件。以下「第二審判決」という。)においては、第一審判決後の平成十年八月十八日に、被控訴人が日本人の配偶者等の資格により本邦に在留する資格を取得したことに伴い国民健康保険の被保険者の資格を取得したこと、及び被控訴人に国民健康保険被保険者証不交付処分から被保険者資格の取得に至るまでの間に保険給付の給付原因が発生していないことから、被控訴人の訴えの利益がないものとして、第一審判決を取り消し、被控訴人の訴えを却下したところである。
 厚生省においては、このような経過から、本件訴訟における控訴人の主張が第二審判決において否定されたものとは考えていない。