質問主意書

第145回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一四五第一二号

  平成十一年五月十八日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員中村敦夫君提出川辺川ダム建設に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中村敦夫君提出川辺川ダム建設に関する再質問に対する答弁書

一、二及び四から六までについて

 川辺川ダムの選択取水設備は、同ダムの設置に伴う球磨川水系川辺川(以下「川辺川」という。)の流水の水温の低下及び濁度の上昇を防止する目的で設置することとしているものである。また、同ダムに係る清水バイパス(ダム貯水池に流入する以前の河川の流水をダムの放流施設に直接流入させるために設置する施設をいう。以下同じ。)は、当該選択取水設備とあいまって、同ダムの設置に伴う川辺川の流水の濁度の上昇を防止する目的で設置することとしているものである。
 建設省九州地方建設局川辺川工事事務所は、昭和三十三年から平成三年までの期間の川辺川の流量等のデータを用いて、川辺川ダムについて、平成七年九月に同事務所が作成した「川辺川ダム事業における良好な水環境の保全と創造」の八ページから十ページまでに記載されている数値計算手法によるダム放流水(ダムから放流される河川の流水をいう。以下同じ。)の水温及び濁度の予測(以下「本件予測」という。)を行っている。本件予測の結果をダム流入水(ダム貯水池に流入する河川の流水をいう。以下同じ。)並びに選択取水設備及び清水バイパスを設置した場合のダム放流水の月別平均水温及び濁度の頻度について示すと、別表第一及び別表第二のとおりである。
 建設省においては、本件予測の結果から、選択取水設備及び清水バイパスを設置した場合における川辺川ダムのダム放流水の水温及び濁度は、川辺川の流量が少ない十一月から一月までの期間も含めて、基本的に同ダムのダム流入水とほぼ同程度となると考えており、これらの設置は、同ダムの設置に伴う川辺川の流水の水温の低下及び濁度の上昇の防止に効果を有するものと考えている。

三について

 川辺川ダムとほぼ同規模のダムにおいて、選択取水設備がダムの設置に伴う河川の流水の水温の低下及び濁度の上昇を防止する上で効果を有していると認められる事例としては、例えば石狩川水系小樽内川定山渓ダムがある。

七について

 川辺川ダムに係る清水バイパスについては、ダム貯水池に流入する以前の河川の流水をダムの放流施設に直接流入させる施設であり、また、本件予測の結果からみてもその設置の効果が認められると考えられることから、御指摘の「実証」を行わなければその設置の効果を検証することができないとは考えていない。
 また、市房ダムは、球磨川水系球磨川(以下「球磨川」という。)の河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第九条第二項に規定する指定区間(以下「指定区間」という。)に存するものであることから、同ダムに係る清水バイパスを設置する必要がある場合には、その設置は基本的には熊本県知事が行うべきものと考える。
 なお、荒瀬ダムは、熊本県知事が発電の用に供するために球磨川の指定区間以外の区間に設置したダムであるが、御指摘の 「魚道」は、河川管理上の観点から、河川法第三条第二項に規定する河川管理施設(以下「河川管理施設」という。)として建設省が設置することとしているものである。
 また、五木ダムは、熊本県知事が洪水調節の用に供するために川辺川の指定区間に設置することとしている河川管理施設であり、建設省は、建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)第三条第五十八号の規定に基づき、熊本県知事の委託を受けてその建設を行っているものである。

八について

 川辺川ダム建設に伴う漁業補償については、同ダムの建設に伴う影響等を踏まえ、適切に行われるものと考えている。

別表第一~別表第二 1/2

別表第一~別表第二 2/2