質問主意書

第145回国会(常会)

質問主意書


質問第二六号

「IPU国会議員の人権に関する委員会」のミャンマー国民会議議員の人権決議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十一年八月五日

竹村 泰子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   「IPU国会議員の人権に関する委員会」のミャンマー国民会議議員の人権決議に関する質問主意書

 ミャンマーにおける一九九〇年選挙で選出された国会議員が、現在も大量に拘束されており、そのことを遺憾としたIPU(列国議会同盟)評議員会は、一九九九年四月十六日にミャンマーに関する決議を採択した。この決議に関連してミャンマーの民主化に関する政府の見解について以下質問する。

一、「ミャンマー国民会議議員の人権」については一九九一年五月の第一四八回評議員会(於北朝鮮・ピョンヤン)において初めて採択された後、適宜文言を追加しつつ毎回次の評議員会で採択され、一九九九年四月十六日の第一六四回評議員会でも採択されている。IPUには日本も加盟しているが、政府としては本決議をどのように考えているのか見解を示されたい。

二、ミャンマーでの選出議員による国会は未だ召集されておらず、立法府が欠如したままの状態が十年近く続いている。一九九〇年から一九九三年の間に逮捕され、未だ拘留されている国会議員はオウンチャイン(OHN KYAING)氏他一三名、一九九六年から一九九八年五月にかけて逮捕された国会議員はデイビッド・フラミン(DAVID HLA MYINT)氏他三八名、一九九八年九月以降逮捕された国会議員は一五〇名で、一九九九年四月現在、未だに拘留されている。そして、フラタン(U HLA THAN)氏他五名は死亡し、そのうち少なくとも三名の議員は刑務所内で死亡した。
 今回のIPU決議は、世界人権宣言の精神に基づき、逮捕されている議員を即時・無条件で釈放するように強く促したものである。ミャンマー政府は民主化のステップを示すことを未だ行っておらず、さらに議員の逮捕に関しては「逮捕ではなく政府のゲストハウスに招待しているのである」と主張し続けている。こういった虚偽の説明は、国際社会の常識から甚だしく逸脱しているだけでなく、民主社会を希求する国際社会の真摯な態度を愚弄するものである。十年の長い期間は国政への参加準備をしていた議員たちを著しく疲弊させており、拘束中に死亡している人々も後を絶たない。民主化のステップを明確にしようとしないミャンマー政府の態度をこのままいつまでも許容し続けることが出来ないのは明白である、との理由から、本決議はIPUで採択された。
 政府はミャンマー政府に対し、民主化の確立及び逮捕された議員の釈放の要請を何度も行ってきたが、一方で、現政権に対し、巨額の援助を与えていることは、ODAの原則に反していると考える。政府はこのままの硬直状態を無期限に黙認したままにするのか、あるいは期限を設定してミャンマー政府に逮捕されている議員の即時釈放と民主化のステップを踏むことを今後も要請するつもりがあるのか示されたい。

  右質問する。