質問主意書

第145回国会(常会)

質問主意書


質問第二四号

国旗国歌法制化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十一年七月二十一日

福島 瑞穂   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   国旗国歌法制化に関する質問主意書

 日の丸、君が代が国旗国歌として法制化されようとしているが、この法案の条文と実際の運用面での取扱いについて疑問点があるので以下質問する。

一、政府は国旗国歌に関する世論調査を一九七四(昭和四九)年一二月以降行っていない。このときの調査によれば、「日の丸」を国旗としてふさわしいと思う人は八四・一%、「君が代」を国歌としてふさわしいと思う人は七六・六%にのぼっていた。しかし、最近のマスコミ各社の世論調査では、読売新聞で「日の丸が国旗として定着している」七九%、「君が代が国歌として定着している」六三%、朝日新聞では「日の丸に親しみを感じる」七九%、「君が代に親しみを感じる」六五%、毎日新聞では「日の丸に親しみ」七七%、「君が代に親しみ」六六%という結果になっている。一九七四(昭和四九)年から二五年を経て、君が代・日の丸が国旗国歌としてふさわしいと考える人の割合は若干ではあるが減っていると考えられるが、この減少傾向について政府はどのように認識しているか示されたい。

二、石垣一夫衆議院議員の質問主意書に対する答弁書では、一九七四(昭和四九)年の政府世論調査から二五年を経た現在も新たな世論調査は必要ない旨答弁しているが、調査から四半世紀を経過した世論調査の内容が、現在も変わらないと政府は考えているのか。

三、政府は、総理見解でも、委員会における答弁でも、「日の丸・君が代が国旗国歌として国民の間に広く定着している」という趣旨の発言を行っている。世論調査も行わず、マスコミアンケートに見られるような「日の丸・君が代」支持者の減少傾向にもかかわらず、政府は何に基づいて「日の丸・君が代が国旗国歌として定着している」と考えるのか。

四、石垣一夫衆議院議員の質問主意書に対し、政府は「法制化に当たり、国旗の掲揚等に関し義務付けを行うようなことは、考えていない。」と答弁している。委員会質疑においても同趣旨の答弁が行われている。これはいかなる場合においても、国旗の掲揚や国歌の斉唱が強制的に求められたり、かりに強制された場合にも、その強制に従わなかったものが処分や処罰を受けたりすることはないものと理解してよいか。

五、現在、学校現場においては、学習指導要領に基づく日の丸掲揚、君が代斉唱の強制ともいえる指導が行われている。先の石垣一夫衆議院議員の質問主意書に対する答弁書においても、「学習指導要領は、学校教育法及び同法施行規則の規定の委任に基づいて、文部大臣が告示として定めるものであり、法規としての性質を有している」と書かれている。「法規としての性質を有する」とは、ある程度の強制力を持つという意味と理解してよいか。

六、政府答弁をそのとおり解釈するならば、法律としての国旗国歌法案には強制力はないが、告示にすぎない学習指導要領には強制力があるということになるが、この解釈について政府の見解を示されたい。

七、校長が自殺した広島県世羅高校の事件では、広島県教育委員会が日の丸掲揚、君が代斉唱を徹底するよう求めていたと伝えられているが、学習指導要領に基づくならば、世羅高校は日の丸掲揚、君が代斉唱をする義務があったと政府は考えているのか。

八、国旗の掲揚、国歌の斉唱を強制しないとする国旗国歌法案が成立すれば、これまで学習指導要領等によって強制されていた学校現場での日の丸掲揚、君が代斉唱は強制されなくなるのか。それとも強制されるのか。政府の見解を示されたい。

九、もし法案成立後も学習指導要領に基づく指導が今まで通り行われる、つまりは日の丸掲揚・君が代斉唱の強制が行われるのであれば、「法制化に当たり、国旗の掲揚等に関し義務付けを行うようなことは、考えていない。」という政府答弁は嘘ということになるが、いかがか。

  右質問する。