第145回国会(常会)
質問第二一号
脳外傷者の救済策の確立等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十一年六月三十日 荒木 清寛
脳外傷者の救済策の確立等に関する質問主意書 交通事故・転落事故・転倒事故・暴行傷害等に起因する脳外傷者の救済をめぐる問題が、受傷年齢が比較的若年層に多いことも加わって、社会問題化している。
一 脳外傷者の全国実態調査の実施について 交通事故の増加で脳外傷者は相当数にのぼり、また、潜在的な患者も少なくないと思われる。その人数及びニーズを把握するための実態調査の実施は、諸施策の立案の上からも不可欠であり、早期に実施すべきではないか。 二 障害種別の認定等について 1 現在の障害福祉制度は、身体障害者手帳・療育手帳・精神保健福祉手帳の三種類の障害手帳制度のもとで運営されているが、脳外傷者も障害種別として認定し、障害者手帳、障害年金に反映させるべきではないか。また、その認定を自賠責保険の支払い基準に連動させてはどうか。
三 就労支援策の充実について 1 脳外傷者の自立には就労が不可欠であり、若年層が多いだけに尚更である。したがって、脳外傷者も障害者雇用促進法の対象とすべきではないか。また、社会復帰のための職業準備訓練制度も確立すべきではないか。
四 在宅支援施設の入所措置の見直しについて 脳外傷者の介護者の心身上の疲労の回復等のため、特にショートステイ、デイサービス等の利用が可能となるよう現行の身体障害者福祉施設の利用基準を見直すべきではないか。 五 医療制度面の問題について 1 現行の診療報酬制度では、身体的リハビリテーションまでが対象で、「頭のリハビリテーション」は抜け落ちている。このため、医療機関が脳外傷者へのリハビリテーションの取組に力を入れれば入れるほど病院財政を圧迫する。このような状態は早急に解決を図るべきことであり、認知リハビリテーションを医療保険制度の中で点数化すべきではないか。
六 公的相談機関の充実等について 脳外傷者とその家族は横の繋がりを持つ機会が乏しく、圧倒的な情報不足から社会的に孤立しがちなのが現状である。米国では脳外傷者とその家族の生活の質の向上と頭部外傷者の発生の防止を目的としてThe National Head Injury Foundation(NHIF)が組織されており、四十五の州に協会があり、四百を超えるサポートグループを擁して、情報・教育・弁護・支援・予防等各方面で活動しているが、このような当事者団体の育成あるいは公的相談機関の充実についてどのように考えるか。 右質問する。 |