質問主意書

第144回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

信用保証制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

平成十年十二月八日

小川 勝也   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   信用保証制度に関する質問主意書

 「中小企業等貸し渋り対策大綱」に基づく中小企業金融対策が本年十月一日より施行された。この中で中小企業金融対策の根幹の一つである信用保証制度の保証要件が大幅に緩和され、さらに政府は同制度の拡充を検討していると聞いている。このことについては、北海道拓殖銀行の破綻以降、不況の影響を最も深刻に受けている北海道をはじめ、不況にあえぐ全国の中小零細企業に対する当面の緊急経済対策として効果があると期待している。しかし、一部に国や自治体が相次いで打ち出した各制度の間で不整合な事例も見られる。また、中長期的な視野から考えると、保証要件の緩和等によるモラルハザードや事故率増加、代位弁済の回収率低下など、信用保証制度の健全運用について懸念が持たれる。さらに都道府県が信用保証協会に対し行っている補填の増加、つまり国民負担の増加も心配される。
 そこで、以下のとおり質問する。

一、北海道庁が独自に設けた「金融変動対策特別資金」制度は、北海道信用保証協会の保証付きを要件としているが、政府は「国の制度より融資期間が長く、融資利率も低い制度へは保証付きを認めない」(中小企業庁)としているため、せっかくの制度が活用できない事態となっている。地方分権の流れの中で、それぞれの地域の実情を鑑みて柔軟に対応すべきと考えるが、政府の方針を伺いたい。

二、保証枠の拡大による保証件数の増加や、担保、第三者保証人などの要件緩和、さらには景気低迷により、将来的に代位弁済の増加が懸念されるが、政府はどのような見通しを持っているか。

三、政府は代位弁済の回収率を五割前後と見ているとの話もあるが、事実か。社団法人全国信用保証協会連合会によると、回収率は北海道で二割、東京でも三割前後という。担保や、第三者保証人を徴求しない保証が増え、担当職員の増加も見込めない中で、回収率は下がると考えるのが妥当と思われるが、政府の見通しとその根拠、対策を示されたい。

四、将来的に代位弁済の増加と、回収率の低下が発生した場合、信用保証制度の健全運営に懸念が発生しないか、政府の見通しと対策を示されたい。

  右質問する。