質問主意書

第143回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一四三第一四号

  平成十年十一月十三日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 野中 広務   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員福本潤一君提出水環境に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員福本潤一君提出水環境に関する質問に対する答弁書

一の(1)について

 水質の汚濁については、従来から、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づき、人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境の保全も考慮して生活環境の保全に関する環境基準を定めているところであるが、御指摘の水生生物の保護の観点からの基準の設定に関しては、環境基本計画(平成六年十二月十六日閣議決定)に基づき、水生生物への影響にも留意した環境基準等の目標について、欧米における取組を参考にしつつ、科学的知見の充実を図り、調査検討を推進してまいりたい。

一の(2)について

 水質汚濁に係る環境基準(昭和四十六年環境庁告示第五十九号)においては、病原性微生物による水質の汚濁の状況の指標として大腸菌群数に関する基準を定めているところであるが、近年のクリプトスポリジウム感染者の発生等に見られるように、大腸菌群数では評価できない病原性微生物による水質の汚濁が生じていることから、これに対応した環境基準の設定について検討が必要となっている。
 このため、環境庁において、現行の環境基準の項目である大腸菌群数と異なる病原性微生物による水質の汚濁の基準について検討しているところである。

一の(3)について

 御指摘の水量等の保全基準等の設定については、環境基本計画に基づき、環境庁において、平成七年度から水質、水量、水生生物及び水辺地を含めた水環境の現状を総合的に評価する手法について検討しているところである。

一の(4)について

 水質に係る有害化学物質等の毒性等の情報については、これまでも各省庁や研究所の間において情報交換を行っているところであるが、より効率的な情報の交換及び共有化を図っていくことが重要と認識しており、近年整備が進みつつある行政機関内の情報通信網も活用しつつ、より密接な連携を図ってまいりたい。

二の(1)について

 御指摘の農地、道路等の非特定汚染源への対策に関しては、農地における肥料施用量の削減に資する緩効性肥料の使用等の推進、道路や市街地における初期雨水を収集、貯留、処理する施設の設置等の新たな対策を導入してきているところであり、これらの対策について、更なる汚濁負荷削減効果の把握、技術開発及び普及に努めてまいりたい。

二の(2)について

 厚生省においては、単独処理浄化槽の新規設置が廃止されるよう、従来から、地方公共団体における取組状況を分析して、地域の実情に合わせた対策の推進について指導するとともに、合併処理浄化槽の整備に関する国庫補助制度により合併処理浄化槽の設置を促進しているところである。また、浄化槽製造業者に対しては、単独処理浄化槽の整備の廃止について要請し、これを受けて浄化槽製造業者及びその関係団体において、平成九年九月から、単独処理浄化槽の製造の廃止に向けた自主的な取組が行われているところである。
 また、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号)においては、合併処理浄化槽の整備に関する事業等を水道原水水質保全事業として位置付け、水道事業者が都道府県に対して合併処理浄化槽の設置等の促進を要請することができること及び要請があった場合に、都道府県は区域を定めて水道原水水質保全事業の促進についての計画を定めるものとされているところである。
 今後とも、地方公共団体、関係団体等との協力及び連携の強化を図り、これらの取組を推進するとともに、更に必要な施策について検討してまいりたい。

二の(3)について

 近年、御指摘の矢作川沿岸水質保全対策協議会のように、流域の関係者が連携して水環境の管理に取り組む事例が見られるようになってきている。水環境を管理するためには流域単位でその関係者が参加した取組が効果的であり、こうした取組事例を参考としつつ、今後の水環境の管理に係る効果的な施策の在り方について、現在検討しているところである。