質問主意書

第143回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一四三第一一号

平成十年十一月十日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員吉川春子君提出「外国軍駐屯地における慰安施設設置に関する内務省警保局長通牒」の保管等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員吉川春子君提出「外国軍駐屯地における慰安施設設置に関する内務省警保局長通牒」の保管等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 警察庁においては、御指摘の文書について誠実に調査を続けてきたところであるが、発見に至っていない。また、警察庁には、同文書を引き継いだ記録はない。

一の2について

 戦後、内務省が廃止されるとともに、警察に関する制度が根本的に改められており、警察庁においては、御指摘の資料を引き継いでいないところである。

一の3の(1)について

 御指摘の指示に基づいていかなる措置がとられたかについては、記録が存在しないため、確認できない。

一の3の(2)について

 内務省警保局の公文書等については、現在、米国からの返還並びに警察庁及び自治省からの移管を受けた国立公文書館並びに自治省消防庁にその一部が保管されている事実が判明しているが、その他のものの保管状況については、記録が存在しないため、確認できない。

一の3の(3)について

 政府としては、各行政機関は、その所掌事務を遂行するために必要な公文書等を保管しているところであると認識している。

一の4について

 平成七年の自治省の仮庁舎への移転の準備に当たり、同省の保有する資料の総量について調査したことは事実であるが、その際に膨大な旧内務省関係の資料があることが判明したという事実はない。
 なお、いわゆる従軍慰安婦及び外国軍駐屯地における慰安施設に関係すると思われる資料については、プライバシーに配慮した上で原則として公表しているところである。

二の1について

 国の行政機関の保有する国の行政にかかわる公文書等は、国の責任において適正に管理及び保存すべきものであり、各行政機関において、文書管理規則等を定め、その適正な管理及び保存に努めているほか、各行政機関の文書管理規則等により「永年保存」と定められている等の公文書等で非現用となったものについては、「情報提供に関する改善措置等について」(昭和五十五年五月二十七日閣議了解)に基づく「公文書等の国立公文書館への移管及び国立公文書館における公開措置の促進について」(昭和五十五年十二月二十五日各省庁連絡会議申合せ。以下「各省庁連絡会議申合せ」という。)により、国立公文書館に移管し、同館において適切に管理及び保存を行うこととしているところである。

二の2について

 国の行政機関の保有する国の行政にかかわる公文書等の管理及び保存は、当該公文書等を保有する各行政機関の長の責任において行われている。また、これらの公文書等の保存、廃棄及び公開についての具体的な判断は、各行政機関の文書管理規則等において定められた者が行っている。ただし、国立公文書館に移管された公文書等については、同館の館長の責任において、適切に管理及び保存を行うとともに、各省庁連絡会議申合せに従い、目録作成等必要な作業が終了したものの公開についての判断を行っているところである。

二の3について

 国の行政機関の保有する公文書等は、その所掌事務を遂行する必要上保有しているものであり、その保存、廃棄及び公開については、第三者の権利利益や行政事務の適正な遂行に及ぼす影響等を当該事務を所掌する行政機関において勘案し、判断することが適当と考える。現在、国会に提出している行政機関の保有する情報の公開に関する法律案(平成十年閣法第百二号)においても、行政文書を保有する行政機関が行政文書の保存、廃棄及び開示についての判断を行うこととした上で、これを適正に行う仕組みについて規定しているところである。
 なお、国立公文書館に移管された公文書等については、歴史資料として重要な公文書等を保存し、閲覧に供する機関としての同館の専門的見地からの検討も踏まえ、同館において適切に保存及び公開を行っているところである。

二の4について

 国の行政機関の職員が、現に当該行政機関において使用に供され、又は使用の目的をもって保管されている公文書を故意に破棄した場合には、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百五十八条の規定により公用文書等毀棄罪として処罰の対象となるものとされている。
 また、国の行政機関の職員が、保管すべき公文書を故意又は過失により破棄し又は紛失した場合において、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条各号のいずれかに該当するときは、同条の規定により懲戒処分の対象となるものとされている。