第143回国会(臨時会)
答弁書第六号
内閣参質一四三第六号 平成十年十月二十七日 内閣総理大臣 小渕 恵三
参議院議員大脇雅子君提出公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員大脇雅子君提出公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問に対する答弁書 一について 公正取引委員会作成に係る平成十年三月三十一日付け「著作物再販制度の取扱いについて」と題する文書(以下「取扱いに関する文書」という。)は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第二十四条の二第四項に基づき著作物の再販売価格維持行為について独占禁止法の適用を除外する制度(以下「著作物再販制度」という。)等についての公正取引委員会の解釈及び今後の方針を示したものであり、それ自体、法的強制力を持つものでもなければ、行政処分としての性格を有するものでもない。
二について 取扱いに関する文書において、公正取引委員会は、これまで我が国における著作物再販制度は、関係業界により硬直的・画一的に用いられてきた傾向があり、結果として消費者ニーズへの対応や利便の向上を損なったりしている面もみられることなどから、消費者利益を確保する観点から、関係業界に対し、現行の著作物再販制度の下において指摘されている各種の流通・取引慣行上の弊害の是正を要請したところであるが、これは、あくまでも現行の著作物再販制度の下での是正を求めるものであり、かかる要請に沿った関係業界による弊害是正措置の実行の有無と著作物再販制度自体の存廃とは直ちに結びつくものではない。 三について 著作物再販制度に関し、公正取引委員会においては、独占禁止法上再販適用除外が認められる著作物の取扱いを明確にするためには、法的安定性の観点から、立法措置によって対応するのが妥当と考えているところであるが、取扱いに関する文書において一定期間経過後に著作物再販制度自体の存廃についての結論を得ることとしていることから、現時点で、法改正の時期等を明らかにすることはできない。 四について 著作物再販制度については、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの下で公表された規制緩和等に関するアメリカ合衆国側要望書(以下「要望書」という。)及びアメリカ合衆国通商代表部作成に係る外国貿易障壁年次報告(以下「年次報告」という。)において、次のとおり言及されている。 1 平成七年十一月二十二日公表の要望書 再販売価格維持に関するすべての独占禁止法適用除外について、千九百九十八年末までに廃止する観点から見直しを行う。 2 平成八年十一月十五日公表の要望書 独占禁止法及び景品表示法に基づくすべての適用除外について、必ずしも必要ではない適用除外その他類似する措置は廃止するとの観点から、千九百九十七年度末までに見直す。特に、独占禁止法第二十四条の二に規定される再販売価格維持に関するすべての適用除外及び景品表示法第十条第五項の廃止に注意が払われるべきである。 3 平成九年十一月七日公表の要望書 千九百九十八年四月までに、独占禁止法上の適用除外、とりわけ第二十四条の二(再販売価格維持)を見直すとともに、景品表示法の適用除外も見直す。 4 年次報告千九百九十八年版(千九百九十七年版にも同様の記述がある。) 再販売価格維持-千九百九十七年四月、日本政府は、独占禁止法の製品の適用除外をすべて廃止したが、著作物(書籍、雑誌、新聞、CD)のみが顕著な例外となっている。独占禁止法の下で、小売価格の維持が他の慣行と異なる扱いをされるべき理由は全くない。
|