質問主意書

第143回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一四三第三号

  平成十年九月十八日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員小川勝也君提出点字による選挙公報発行等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小川勝也君提出点字による選挙公報発行等に関する質問に対する答弁書

一、三及び五について

 点字による選挙公報の発行を制度化することについては、従来から、各選挙管理委員会が選挙運動の期間中の限られた期間内に誤りなく点字による選挙公報を調製することができるか、その調製した選挙公報を視覚障害者に公平に配布することができるか等の技術的な問題があり、これを実現することは現時点でも困難であると考えている。
 しかしながら、これまでも視覚障害者が公職の候補者又は名簿届出政党等の政策、公約等を知ることができるように、衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙が行われる都度、各都道府県の選挙管理委員会に対して、啓発活動の一環として公職の候補者の氏名、経歴等や名簿届出政党等の政見等を点字で掲載した「選挙のお知らせ版」を視覚障害者等に配布するよう指導してきているところである。
 当該「選挙のお知らせ版」については、昭和五十五年の衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙においては二十一都道府県の配布にとどまっていたが、本年の参議院議員通常選挙においては四十六都道府県において配布されていると承知している。なお、これに要する経費については、従来から国が選挙執行委託費により措置している。
 地方選挙のうち、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百六十七条第一項の規定により選挙公報を発行することとされている都道府県知事の選挙については、大多数の都道府県において、衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙と同様の取扱いがなされていると承知している。
 いずれにしても視覚障害者の方々の貴重な選挙権の行使にかかわる問題であるので、選挙の公正さを確保しながらどのような工夫ができるのか研究してまいりたい。

二について

 公職選挙法第百六十七条に規定する選挙公報は、同法第百六十九条第二項の規定により掲載文又はその写しを原文のまま掲載しなければならないとされているため、現行法上これらを点訳して発行することはできないものと考える。
 また、点字により掲載文の申請があった場合において点字による選挙公報を発行することについては、選挙公報が同法第百七十条第一項の規定により選挙人名簿に登録された者の属する各世帯に配布するものとされていること等からみて、現行法上点字での発行を想定しておらず、これを発行することはできないものと考える。

四について

 任意制選挙公報の発行については、公職選挙法第百七十二条の二において、同法第百六十七条から第百七十一条までの規定に準じて条例で定めることと規定しているため、現行法上点字による選挙公報を発行することはできないと考える。