第142回国会(常会)
答弁書第二九号
内閣参質一四二第二九号 平成十年六月三十日 内閣総理大臣 橋本 龍太郎
参議院議員矢田部理君外二名提出政府の非核政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員矢田部理君外二名提出政府の非核政策に関する質問に対する答弁書 一及び二について 冷戦の終結にもかかわらず、現実の国際社会にはなお核戦力を含む大規模な軍事力が存在しており、また、核を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった新たな危険が増大するなど、現下の国際情勢は不透明、不確実な要素をはらんでいる。このような状況下において、核兵器を保有しない我が国としては、民主主義的価値等を共有するアメリカ合衆国との安全保障条約を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要がある。ただし、防衛計画の大綱にいう「核兵器の脅威」は、特定国の核兵器を想定しているものではない。
三について 我が国としては、他国の安全保障政策を詳細に承知する立場にはないが、北大西洋条約機構(NATO)、大韓民国及びオーストラリア連邦については、各々の安全保障政策を対外的に述べる際に何らかの形で米国の核に言及しているものと承知している。 四について 核兵器国を含むすべての関係国の同意等適切な条件がそろっている地域において非核地帯が設置されることは、一般的に言って、核拡散防止等の目的に資すると考える。
五について 我が国は、核兵器のない世界を目指す立場から、核不拡散体制を堅持、強化するとともに、核兵器国に一層の核軍縮努力を求めることが重要と考えている。このような考え方の下、本年六月十二日の先進八箇国外相会議においても、我が国は、究極的核廃絶に向け核兵器国が一層核兵器削減努力を行う決意を確認すべきこと、また、アメリカ合衆国及びロシアが第二次戦略兵器削減条約(STARTII)の早期発効と第三次戦略兵器削減条約(STARTIII)の早期交渉開始に向け強い意思を表明すべきこと、更にはすべての国が包括的核実験禁止条約(以下「CTBT」という。)を早期に締結すべきこと等を主張し、その結果、これらの文言が公式声明に盛り込まれた。
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