質問主意書

第142回国会(常会)

答弁書


第百四十二回国会答弁書第一八号

内閣参質一四二第一八号

  平成十年八月二十一日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員竹村泰子君提出徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員竹村泰子君提出徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 盛土により築造された河川の堤防は、一般的に、洪水時における河川の水位の上昇に従って決壊する危険性が高くなると考えられることから、御指摘の「第十堰による水位上昇」については、御指摘の「堤防決壊」の原因の一つとして考えられるところである。

一の2について

 建設省においては、現在の吉野川における河道の状況等から見て、洪水時における第十堰による水位上昇が堤防の決壊の危険性を高めること等にかんがみて、第十堰を改築する必要があると判断したものであるが、御指摘の「明治二十一年七月の洪水」による同川の堤防の決壊も、洪水時における第十堰による水位上昇が発生させる治水上の問題点を示す事例の一つであると考えている。

二の1について

 御指摘の「想定されている吉野川の河道の状況」が、平成七年十一月に建設省四国地方建設局が作成した「第十堰改築事業に関する技術報告書」(以下「技術報告書」という。)のどの記載に関するものであるかは明らかでないが、例えば技術報告書の六十二ページに記載されている水位縦断図における水位の計算に当たっては、建設省四国地方建設局が作成し、平成七年十一月二十四日に開催された第二回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「吉野川定期川渡り横断図(縮小版)」中の「昭和四十八年断面」(以下「昭和四十八年度横断測量図」という。)を用いている。

二の2の(1)について

 御指摘の「流下断面」は、昭和四十八年度横断測量図等を基に、吉野川の河ロからの距離が十キロメートルから二十四キロメートルまでの区間において、基本的に二百メートルごとに設定しているものである。また、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問に対する答弁書(平成十年三月三十一日内閣参質一四二第二号。以下「第三回答弁書」という。)二の2についてで述べた手法により、主要実績洪水(技術報告書の五十八ページに記載されている吉野川において過去に生起した主要な四洪水をいう。以下同じ。)のうち昭和四十九年に生起した洪水及び平成二年に生起した洪水について建設省が算出した各流下断面ごとの低水路の粗度係数の値は、別表第一のとおりである。

二の2の(2)について

 別表第一の粗度係数の値の算出に当たって用いた「主要実績洪水から求めた粗度係数」については、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」(建設省河川局監修)(以下「河川砂防技術基準調査編」という。)の百三十九ページに記載されている「痕跡不等流逆算法」により算出したものである。
 また、第三回答弁書二の2についてで述べた「高水敷の粗度係数」の算出に当たっては、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問に対する答弁書(平成九年十二月十九日内閣参質一四一第三号。以下「第二回答弁書」という。)二の3についてで示した手法を用いており、河川砂防技術基準調査編の百三十八ページに記載されている「粗度係数の逆算法」は用いていない。

二の2の(3)について

 御指摘の「検証」及び「吟味」が、河川砂防技術基準調査編の百九ページにおける「一次元解析を前提にした平均流速公式自体の限界も考慮し、実測洪水データに基づく計算精度の検証、その結果を河道状態との関係で吟味すること、それを踏まえての計算結果利用における総合的判断は非常に大切である。」との記述に関するものとすれば、建設省四国地方建設局においては、技術報告書を作成した際に、吉野川の第十堰が存在する区間では、主要実績洪水において観測された痕跡水位(過去に生起した洪水の痕跡から観測された水位。以下同じ。)の値と建設省が行った主要実績洪水に関する水位の計算(以下「建設省の実績再現計算」という。)によって得られた水位の値とが合致しないことを検証した上で、当該区間ではその河道の状況から一次元的とはいえない複雑な流れが生じており、当該区間の水位計算に当たっては、一次元解析を適用することは困難である旨の結論を得たものである。
 なお、こうした検討を踏まえた上で、吉野川に計画高水流量が生起したものとした場合の同川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間における水位については、建設省四国地方建設局徳島工事事務所(以下「徳島工事事務所」という。)が平成八年に行った模型実験(以下「模型実験」という。)の結果等も勘案して総合的に判断している。

二の2の(4)について

 河川砂防技術基準調査編の百十一ページの御指摘の記述は、「樹木群」内を「死水域」として扱う際の手法に関するものであるが、吉野川の河口からの距離が零キロメートルから二十四キロメートルまでの区間においては「死水域」として扱うべき「樹木群」は存しないことから、別表第一の粗度係数及び第二回答弁書二の4についてで述べた「合成粗度係数」の計算においては、御指摘の「検証」は行っていない。

二の2の(5)について

 第三回答弁書二の3についてで述べた粗度係数の決定の方法については、粗度係数が含み得る誤差及び不確実性に対応したものであり、御指摘の「超過洪水に対する配慮」の観点からのものではない。

二の2の(6)について

 建設省の実績再現計算においては、第十堰に関し一定の条件を設定した上で、水理学上の基礎的な理論式によって一義的に算出される吉野川の河口からの距離が十四・二キロメートルの地点(以下「十四・二キロメートル地点」という。)における水位の値を所与として、原則として〇・〇二〇から〇・〇〇五刻みの粗度係数の値を与え、必要に応じて〇・〇〇五刻みの値の中間的な値も用いて、それぞれの粗度係数の値に対応する水位の値を同川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の複数の地点について求め、当該求められた値がそれぞれの同じ地点における痕跡水位の値をおおむね下回ることとならないような一個の粗度係数の値を、同川の河口からの距離が十キロメートルから二十四キロメートルまでの区間を代表する粗度係数の値として決定したものである。
 また、御指摘の「必要な精度」については、粗度係数を算定する際の一般的な留意事項として記述されているものである。

二の3について

 御指摘の「特に考慮すべき差異」とは、植生の状況等の高水敷の粗度係数を規定する条件の差異を指すものである。

三の1について

 御指摘の「理論式」とは、開水路において水理学上の限界水深が生じる場合に、流速の値を重力加速度の値と水深の値の積の平方根で除して得られる値(以下「水理学上のフルード数」という。)が一となる式を指しており、この式については水理学上の基礎的な知見であると認識している。技術報告書において行われている吉野川の洪水時の水位計算(以下「建設省の水位計算」という。)は、第十堰の上流側の堰及び下流側の堰が共に十四・二キロメートル地点において流下方向に対して直角に存在するとの条件を設定した上で、十四・二キロメートル地点の流下断面における平均的な水深及び流速により得られる水理学上のフルード数が一となる水位の値を当該条件下で一義的に算出し、当該水位の値を所与として、十四・二キロメートル地点より上流の水位の値を計算しているものである。

三の2の(1)について

 御指摘の「建設省の行った水位計算の計算流出量」及び「誤差評価値を最小にする流出モデル」が具体的に何を指すか明らかではないが、例えば技術報告書の二十八ページから三十三ページまでに記載されている「実測洪水再現検証図」における「岩津地点流量」の計算値を求めるのに用いた流出モデルについては、吉野川において過去に生起した十一洪水における流量の再現状況からその適合性は良好であると判断したところであり、改めて河川砂防技術基準調査編の八十五ページに記載されている式(5-6)による検討を行う必要はないと考えている。

三の2の(2)について

 建設省においては、吉野川の洪水による被害を未然に防止することを目的として治水計画を策定する観点から、二の2の(6)についてで述べた方法により主要実績洪水に係る粗度係数の計算を行ったところであるが、その過程においては、主要実績洪水において観測された痕跡水位の値と建設省の実績再現計算によって得られた水位の値との差をできる限り小さくするように努めたところである。

三の3について

 技術報告書における吉野川に計画高水流量が生起したとした場合の水位の値は、「一次元不等流の計算法は一般的な計算手法であるが、斜め固定堰の複雑な流れを忠実に再現するには限界がある」との留保を付した上で、「不等流計算によれば、(中略)河口より十六キロメートルの地点においては計画高水位を四十二センチメートル超過することとなり」という形で計算結果として記述されているものであるが、その後行った模型実験の結果等も併せて考慮すれば、吉野川に計画高水流量が生起した場合において、同川の河口からの距離が十六キロメートルの地点(以下「十六キロメートル地点」という。)より上流の区間における同川の水位が建設省の水位計算から得られた値と同程度のものとなると予測することは、妥当であると考えている。
 したがって、「洪水が流下する時に、第十堰が存在することにより、ある区間においてその水位が高くなることは、その区間においては安全性が他の区間の堤防に比べて低下することとなることから、治水上大きな問題である」との技術報告書の記述については、現在においても妥当なものと考えている。

三の4の(1)について

 徳島工事事務所が平成九年十月に作成した「第十堰改築事業に関する質問へのお答え」(以下「第十堰改築事業に関する質問へのお答え」という。)の二十四ページに記載されている「建設省の3つの手法のせき上げ水位の比較表」に示されているように、十六キロメートル地点より上流の区間について、吉野川水系工事実施基本計画において計画高水流量を定めるに当たって想定した洪水が同川を流下する状態を想定した模型実験により得られた水位の値及び当該模型実験の結果と一次元不等流計算とを組み合わせた手法により得られた水位の値が、建設省の水位計算のうち同川に計画高水流量が生起したとした場合の水位の計算により得られた値と同程度であったことから、御指摘の「判断」を行ったものである。

三の4の(2)について

 河川砂防技術基準調査編においては、その第二十一章第四節(空中写真測量)において、空中写真の実体視から標高を求める方法について、一般的な記述がなされている。

三の5の(1)について

 計画高水流量の生起といった実際に観測された自然現象の範囲を超える仮想の現象を計算上取り扱うに当たっては、御指摘の「堰の形状や流水の幅」等の計算上の前提条件についても、用いられる計算手法の特性及び計算の目的を総合的に勘案して検討されるべきものと考えられる。

三の5の(2)について

 河川に第十堰のような流水の流下方向に対して斜めに設置されている堰(以下「斜め堰」という。)が存在することにより一次元的とはいえない複雑な流れが生じている場合には、実際の自然現象を一次元不等流計算の手法を用いて再現することには限界があると考えており、第十堰に関しては、模型実験等も併せて行っているところである。

三の6について

 第三回答弁書三の5及び6の(1)については、堰の上流における水位の値は理論上堰の形状に応じて算出されるものである旨を一般的に述べたものであり、堰の形状に関する計算上の前提条件については、計算手法の特性及び計算の目的に応じて適切な設定を行うべきものであると考えている。また、御指摘の「理論」とは、水理学上の限界水深が生じる場合には水理学上のフルード数が一となる等の理論を指している。

三の7及び8について

 吉野川シンポジウム実行委員会が平成九年五月に作成した「水位計算の結果について」(以下「水位計算資料」という。)中の昭和四十九年九月に生起した洪水(以下「昭和四十九年洪水」という。)を対象としたと考えられる水位の計算結果を用いて、十四・二キロメートル地点における水理学上のエネルギー水頭の値(以下「市民団体のエネルギー水頭の値」という。)を建設省において算出した結果、阿波工事基準面(東京湾平均海面マイナス〇・八三三三メートル。以下同じ。)を基準とした高さ九・八三メートルという値を得ている。
 一方、水位計算資料に明記されている堰頂部の高さ(阿波工事基準面を基準とした高さ五・一メートル)、堰の長さ(五百五十メートル)及び高水敷の幅(百メートル)並びに水位計算資料から推定した高水敷の高さ(阿波工事基準面を基準とした高さ七・一メートル)を用いて、計算上第十堰が流下方向に対して直角に存在するものと仮定した上で、昭和四十九年洪水を対象に、計算上の第十堰の存する地点の流下断面における平均的な水深及び流速から得られる水理学上のフルード数が一となるものとして建設省において算出した同地点におけるエネルギー水頭の理論上の最小値は、阿波工事基準面を基準とした高さ十・四六メートルとなる。このことから、当該最小値を下回る市民団体のエネルギー水頭の値は適切ではないと考えたものである。
 なお、一次元不等流計算におけるエネルギー水頭の値については、計算上の前提条件に応じて算出されるものであり、御指摘のような「絶対的な値」が存するものではない。

三の9及び10について

 斜め堰を越流する流水の向き、幅等の値は、堰付近での複雑な水の流れにより変化するものと考えられるが、流水の二次元的な挙動を的確に反映することが可能な汎用性を有する一次元不等流計算の手法は確立されていないと考えられることから、建設省の水位計算においては、一般に用いられている一次元不等流計算の手法と同様に、吉野川の流水の幅を、一次元不等流計算でいう流水の流下方向に対して直角の方向に測った幅として取り扱っているものである。
 なお、斜め堰の存在が洪水時の水位に及ぼす影響を的確に予測するためには、一次元不等流計算の手法では限界があることから、必要に応じ模型を用いた水理実験等を行った上で総合的な判断を行うことが適切であると考えている。

四の1について

 御指摘の「大きな変化」とは、治水計画において氾濫防御の対象とする氾濫原の市街化が著しく進むこと、治水計画の対象とされた河川において大きな被害をもたらすような洪水が生起すること等の変化を指すものであり、それぞれの河川における基本高水等の見直しについては、当該河川における治水計画に係る状況の変化を踏まえ、適切な検討がなされるべきものと考える。

四の2について

 徳島工事事務所は、平成十年三月二十日に開催された第十一回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「計画降雨量と確率計算の試料期間について」において、大正二年から平成八年までに百十一の雨量観測所において記録された五百八十降雨の降雨量のデータを用いて吉野川岩津地点上流の年超過確率百五十分の一の流域平均二日雨量を試算した結果として、当該試算により求められた値が現行の吉野川水系工事実施基本計画において用いられている計画降雨量の値と大きく変わらない旨を明らかにしたものであり、新たに計画降雨量、基本高水及び計画高水流量に関する計算を行ったものではない。

四の3について

 吉野川水系における河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条第一項に規定する河川整備基本方針の作成に向けて、現在、徳島工事事務所において基礎資料の収集、整理等を行っており、今後、同水系に係る基本高水、計画高水流量等の検討を行うこととしている。

五の1から3までについて

 御指摘の「垂直航空写真の実体視」による洪水時の河川の水位の測定を行うことは、必ずしも一般的ではないと考えられる。また、一級河川について、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号)による改正前の河川法第十六条第一項に規定する工事実施基本計画を定める際の基礎資料として「垂直航空写真の実体視」による水位測定の手法が用いられた事例については確認していない。
 なお、御指摘の「垂直航空写真の実体視」による地形測量については、河川砂防技術基準調査編の第二十一章第四節において一般的な記述がなされているところである。また、「実体視手法を用いて得られた比高の値が航空写真を撮影する高度等に応じて含むとされている誤差の程度」については、「写真測量」(社団法人日本測量協会)等に一般的な知見として記述されているところである。

五の4について

 痕跡水位と洪水時において水位計で観測された水位との関係については、例えば、河川砂防技術基準調査編百四十六ページの図6-24に示されているような研究成果があるが、当該研究成果のみをもって痕跡水位の値が洪水時の水位の最大値の真値に対して有する誤差の程度を理論上明らかにすることは困難であると考えている。

五の5について

 御指摘の「十五・六キロメートルから上流」の地点については、徳島工事事務所が昭和四十九年洪水時の水位を測定するために用いた垂直航空写真の撮影範囲には入っておらず、また、当該航空写真における御指摘の「当該地点における左岸」に相当すると考えられる箇所については、雲の影響により当該箇所における水面の映像が得られていないことから、いずれも御指摘の「実体視手法を用いた水位」を示すことはできない。

六の1の(1)について

 国営吉野川下流域土地改良事業(以下「本件土地改良事業」という。)の実施に伴う水利使用は、本件土地改良事業を所管する農林水産省と本件土地改良事業に係る水利使用の許可を所管する建設省との間で現在予備的な協議を行っているところであり、本件土地改良事業に係る取水量は確定されていない。

六の1の(2)について

 第十堰がどの程度損壊すれば、本件土地改良事業に伴って吉野川に新設されることが計画されている第十取水口からの取水並びに第十取水口設置後も一部残される旧吉野川及び今切川からの取水が困難になる事態が発生するかを具体的に特定することは困難であるが、例えば平成四年度に測量した吉野川の河道形状を前提とし、同川に毎秒百立方メートルが流下しているとの仮定の下に、第十堰の左岸側が約百メートルにわたり損壊したとした場合には、第十樋門の存する地点における水位は第十樋門の敷高(流水を流下させる部分の底部の高さをいう。)よりも低くなると予測されることから、そのような事態が発生する可能性は否定できないものと考えている。

六の2の(1)について

 第十堰改築事業に関する質問へのお答えの二十ページにおける大正十二年初夏に生じたとされる第十堰の損壊に関する記述は、第十堰の損壊により旧吉野川の流量が減少し同川沿川の地域に被害が発生した事例として記載されたものであり、堰の損壊の原因を問題としているものではない。なお、大正十二年当時においては吉野川の流水は基本的には、第十堰によってせき上げられ、旧吉野川に流下していたと考えられることから、御指摘の「取水障害」は同年の第十堰の損壊で第十堰の上流の区間における水位が低下し、それに伴って旧吉野川の流量が減少したことによって生じたと推測することが妥当であると考えている。

六の2の(2)について

 昭和二年以降の第十堰の損壊に伴う取水障害の事例をすべて把握しているとはいえないが、建設省においては、昭和三十六年の第十堰の損壊に伴い旧吉野川の流量が減少し海水が遡上したため農業用水が使えなかった事例を掲載した昭和三十七年二月三日付けの徳島新聞の記事の存在は確認している。

六の3の(1)について

 旧吉野川及び今切川に係る平成十年七月現在の農業用水の許可水利権に基づく最大取水量の合計は、毎秒約八・〇立方メートルである。

六の3の(2)について

 本件土地改良事業については、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第八十七条第一項に基づいて土地改良事業計画を策定し、事業を実施しているところである。
 本件土地改良事業の施行に係る地域(以下「本件事業地域」という。)における農業用水については、許可水利権に係る取水施設以外に、取水量を報告する義務がない慣行水利権に係る九十か所以上の取水施設によって取水されていることから、その取水量の総量の実態は把握できていない。
 一方、本件土地改良事業に係る土地改良事業計画における農業用水の最大取水量については、本件事業地域に関し、吉野川、旧吉野川及び今切川に係る農業用取水施設の取水方法、規模、能力等の実態を把握するとともに、かんがい面積、営農計画等の本件土地改良事業の諸元を勘案して、本件事業地域における許可水利権及び慣行水利権に基づく農業用水の最大取水量の合計の範囲内において、おおむね毎秒三十二立方メートルと算出しており、取水量の総量の実態が把握できていないことによる本件土地改良事業実施上の支障は生じていない。

七の1について

 徳島工事事務所が平成三年度に実施したエビ・カニ類分布調査においては、平成三年七月から十一月までの期間において、カニカゴによる採捕及び現地踏査による目視により、出現種、生息分布等の調査を実施している。また、徳島工事事務所が平成四年十月に実施した底生動物の調査においては、サーバーネット、採泥器、手網等による採捕により出現種、生息分布等の調査を実施している。なお、平成三年度のエビ・カニ類分布調査及び平成四年度の底生動物調査については、競争入札による委託契約により株式会社建設環境研究所が行ったものである。

七の2について

 平成二年度から平成八年度までの間に、吉野川の河口部から柿原堰までの区間で徳島工事事務所が実施した自然環境調査(以下「徳島工事事務所の自然環境調査」という。)において、ルイスハンミョウの生息が確認されたのは、平成五年度の文献調査が初めてである。なお、御指摘の「確認できなかった理由」については、徳島工事事務所の自然環境調査のうち平成二年度から平成四年度までの間に行われたものにおける現地調査の調査の地点等によるものと考えられる。

七の3及び4について

 シマヘナタリは、平成九年三月に徳島工事事務所が作成し平成九年三月二十一日に開催された第五回第十堰環境調査委員会で配布した「吉野川下流域の自然環境調査(基礎データH2~H8)」(以下「自然環境調査基礎データ」という。)に記載されている。
 自然環境調査基礎データでは「日本の絶滅のおそれのある野生生物」(環境庁編)等の一般的と考えられる文献に基づいて「貴重種」の選定を行ったものであり、シマヘナタリ及びイボウミニナについては、これらの文献に記述されていなかったことから自然環境調査基礎データにおいて「貴重種」として記述されなかったものである。
 なお、イボウミニナの存在が確認された平成六年度の底生動物調査については、競争入札による委託契約により株式会社建設環境研究所が行ったものである。

七の5について

 御指摘の「吉野川第十堰改築に係る河川環境調査」が具体的に何を指すか明らかではないが、河川砂防技術基準調査編の第十八章第二節(生物調査)に相当する御指摘の「生物等に関する現地調査」については、平成二年度から平成八年度までの間に徳島工事事務所によって実施されており、その結果は、魚類、底生動物、付着藻類、海産藻類、陸上植物、大型水生植物、鳥類、昆虫類、両生類、爬虫類及び哺乳類の項目ごとにとりまとめられ、自然環境調査基礎データにおいても生物目録等として記載されているところである。
 また、御指摘の「周辺環境への影響に関する調査等」については、平成九年三月に徳島工事事務所が作成し第五回第十堰環境調査委員会で配布した「第五回第十堰環境調査委員会資料」(以下「第五回環境調査委員会資料」という。)等の中で、第十堰の改築により生ずると予測される河床の変動、水質の変化等に関する調査の結果が記載されたところである。
 さらに、第十堰環境調査委員会は、第十堰の改築に先立って、水域及び陸域の現況並びに生物の現況を把握して第十堰の改築に伴う周辺環境の保全対策について検討し、これらを事業に反映させるための提言及び助言を行うことを目的に徳島工事事務所が設置したもので、その目的を達成するために必要な学識経験者並びに建設省及び徳島県職員を委員として、平成四年十月五日、平成五年六月十六日、平成六年七月二十日、平成八年一月三十日及び平成九年三月二十一日に開催されたものである。第十堰環境調査委員会では、第十堰周辺の自然環境調査計画案、第十堰周辺の自然環境調査の結果、第十堰の改築に伴う環境保全対策案等に関する資料が提出され、これらに関する検討が行われた結果、平成九年三月二十一日に開催された第五回第十堰環境調査委員会において、第十堰の改築に伴う生物環境への影響について、第十堰環境調査委員会が設定した環境保全目標は達成される旨の判断がなされているものである。
 なお、徳島工事事務所の自然環境調査及び御指摘の「周辺環境への影響に関する調査等」は、多様な項目に関して実施されたものであることから、調査の日時等として特定のものを示すことのできる性格ののではない。
 また、各回の第十堰環境調査委員会に提出された資料については基本的に公開されているところであり、第十堰環境調査委員会における委員等については、公開された資料に示されている。

七の6について

 御指摘の「政府の見解」は、平成八年度及び平成九年度に徳島工事事務所が実施した現地調査の結果から旧吉野川の分派点における降下仔アユの密度は吉野川と旧吉野川とで同程度と判断することが妥当との結論が得られていることから、吉野川において仔アユが降下するとされるおおむねの期間における近年の同川の流水の状況からみて、産卵場から降下してきた仔アユの大部分は旧吉野川を降下するものと考えられるとしたものである。
 また、第三回答弁書七の4及び6については、御指摘の「第十堰から仔アユが降下することはほとんどないという認識」を示したものではなく、現在の第十堰に代わる可動堰をその下流側に設置した場合に、吉野川の産卵場から海へ降下する仔アユの量が現状と比較して大きく減少することにはならないと考えている旨を述べたものである。

七の7について

 現在の第十堰の魚道については、堰上流の水位が低いときには水が流れないこと等から、アユの遡上に影響があるものと考えている。今回第十堰を可動堰に改築するに当たっては、現在のものと比較して機能上より優れた魚道を設置することとしていること、魚道を流下する流量を増加させることとしていること等から、当該改築によってアユの遡上状況は改善されるものと考えている。

七の8の(1)について

 御指摘の「最新の科学的知見」については、その事実関係等について現時点で確認しておらず、見解を示すことは困難である。

七の8の(2)について

 可動堰が環境に与える影響は、堰ごとに条件が異なるためー律にとらえられるものではなく、個々の堰ごとに評価されるべきものと考えており、第十堰の改築については、今後環境影響評価を実施することとしているところである。

七の9について

 御指摘の「報告」については承知しているが、その事実関係等について現時点で確認しておらず、見解を示すことは困難である。

八の1について

 御指摘の「流下方向に対して斜めに設置されている堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性」とは、斜め堰が存在する河道を洪水が流下する際に、当該堰の直下流において、堰の取付け位置が上流である側の河岸(以下「上流側河岸」という。)の方向に流れが集中し、流れが土砂を掃流する力が大きくなる一方で、当該堰の直上流において、河床付近の土砂が堰に沿って上流側河岸の対岸方向に流れることにより、堰下流部の上流側河岸への土砂の供給が阻害されることを指すものである。

八の2について

 第三回答弁書八の1及び2についてで述べたとおり、吉野川において昭和五十一年九月に生起した洪水(以下「昭和五十一年洪水」という。)によって生じた通常時の水面から約二十メートルの深さに及ぶ河床の洗掘については、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されていることがその大きな原因であると考えているが、建設省においては、第十堰下流の河床の洗掘に関する文献の記載については承知していない。

八の3について

 昭和五十一年十月二十五日に徳島市国府町佐野塚地区代表等から徳島工事事務所長あてに「河川敷の早期復旧ならびにバラス採取の段階的中止並に採取業者に対し採取規制の厳守についての厳重な指導監督のご依頼について」とする陳情書が提出され、同日付けで徳島工事事務所副所長から佐野塚地区代表あてに御指摘の「砂利採取について」が提出されていることは確認しているが、御指摘の「提出されるに至った経緯」について現時点で確認することは困難である。

八の4について

 御指摘の「堰下流右岸の深掘れ対策及び堤防補強」として昭和四十年度以降徳島工事事務所が行った工事のうち現時点で確認できるものについて、工事の実施年度、工事に要した費用、工事区間、工事内容及び工事の実施理由を示すと別表第二のとおりである。
 また、昭和五十一年度及び昭和五十二年度に徳島工事事務所が行った昭和五十一年洪水に係る災害復旧工事においては、十四・二キロメートル地点から測って上流側に百メートルの地点から吉野川の河口からの距離が十四・六キロメートルの地点から測って上流側に四十メートルの地点までの区間で右岸側に生じた河床の洗掘に対して、基本的には阿波工事基準面を基準とした高さマイナス十メートルまでを砂利で、マイナス十メートルからマイナス八メートルまでを捨石でそれぞれ埋め戻した上、マイナス八メートルからマイナス六・三メートルまでを根固めブロックで被覆している。また、当該区間の同川の水位が阿波工事基準面を基準とした高さ一メートルであるときに生じる水際線から川側に水平におおむね二十五メートルの範囲の河岸を、根固めブロックで被覆している。

八の5について

 昭和五十一年以降の吉野川の河口からの距離が十四・四キロメートルの地点及び十四・六キロメートルの地点の同川の横断面について、徳島工事事務所が測量した阿波工事基準面を基準とした最深の河床の高さの値を示すと、別表第三のとおりである。

九の1について

 吉野川の昭和五十一年洪水による河床の洗掘が発生した箇所においては、昭和五十八年度に根固めブロックを追加的に投入したにもかかわらずその後再び河床の洗掘が進行していることが確認されており、これまでに施工された他の河川における多くの事例等から判断しても、河床の洗掘への対策として河床の洗掘が生じた場所に根固めブロック等を投入する工法では、河床の洗掘の進行を緩和する効果は期待できるものの、その進行を完全に抑止する効果までを期待できるとは必ずしもいえないと考えている。なお、どのような場合に根固めブロック等の投入によって河床の洗掘の進行を完全に抑止できるかについては、承知していない。

九の2について

 御指摘の「箇所」において、御指摘の「堤防の決壊に至るような」河床の洗掘が生じたことがあるか否かについては、確認できない。

九の3の(1)及び(2)について

 御指摘の「事項」は、八の1についてで述べた斜め堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性を指しており、当該特性も考慮すれば、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されている状況においては、堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性を除去することは困難であると考えたものであって、昭和五十八年度の工事後の河床の状況のみをもって御指摘のような結論を得たものではない。

九の3の(3)について

 御指摘の「程度」について具体的に示すのは困難であるが、第三回答弁書九の1の(1)及び(3)についてで述べたとおり、根固めブロック等の投入のみによっては堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性を除去することは困難であると考えている。

九の4について

 吉野川第十堰建設事業に関して、「特定多目的ダム法の施行について」(昭和三十二年建河発第五百七十六号建設省河川局長通達)に基づく基本計画の原案は作成されていないが、これに代わるものとして、平成二年八月に建設省河川局開発課により「吉野川第十堰建設事業計画書」が作成されている。

九の5の(1)について

 建設省四国地方建設局が平成八年十二月に作成した「第十堰改築事業代替案について」(以下「代替案検討資料」という。)の六ページに記載されている「第十堰治水対策案概要」(以下「第十堰治水対策案概要」という。)中の「現位置固定堰改築案」における堤防拡幅については、代替案検討資料の七十三ページの「対策工の概要」に示されているように、左岸及び右岸の堤防拡幅の幅に排水路の設置のため必要な幅(約六メートル)を加えた幅(平均約十二メートル)を用地買収幅としており、これに堤防拡幅の延長である十キロメートルを乗じて御指摘の「十二ヘクタール」を算出しているものである。

九の5の(2)について

 代替案検討資料において堤防嵩上げ補強に約二十年を要すると記述しているのは、昭和二十四年から約二十年間にわたって行われた吉野川における第二期改修工事の実績を参考としたものである。なお、河川工事については、施工時期等に制約があることから、その施工期間について他の公共事業と単純に比較することは困難であると考えている。

九の5の(3)について

 代替案検討資料の十二ページに記載されている「第十堰の治水対策案の比較」における「治水対策案」は、代替案の比較検討のための資料として、各案について河川管理者が単独で行う河川工事に要する事業費を試算しているものである。

九の5の(4)及び(5)について

 第十堰治水対策案概要中の「現位置固定堰改築案」の関連工事として改築が必要と考えられた樋門又は排水機場の名称、河口からの距離及びその改築に要する費用並びに排水機場のポンプの増設能力(ポンプを増設する河川の流域面積等を勘案した概算値)は、別表第四のとおりである。また、「堤防補強案」及び「引堤案」の関連工事として改築が必要であると考えられた樋門又は排水機場の名称、河口からの距離及びその改築に要する費用は、別表第五から別表第八までのとおりである。
 第十堰治水対策案概要中の「現位置固定堰改築案」及び「堤防補強案」を採用すると仮定した場合には、吉野川の計画高水位の上昇に対応するため、排水機場のポンプの増設並びに第十堰治水対策案概要中の「堤防嵩上げ補強断面」に示される堤防の嵩上げ及び拡幅に伴う樋門の改築が必要となると考えたものであり、堤防の嵩上げの必要がほとんど生じない箇所においても、堤防の拡幅による荷重条件の変化に伴って樋門の改築は必要であると考えたものである。
 また、第十堰治水対策案概要中の「引堤案」を採用すると仮定した場合には、第十堰治水対策案概要中の「堤防引堤案標準断面図」に示したように堤防が設置される位置が変わることから、樋門及び排水機場の改築が必要であると考えたものである。

九の5の(6)及び(7)について

 代替案検討資料の六十九ページに記載されている「現位置固定堰改築案の緩傾斜化勾配」の「平均法勾配」が「一: 四・〇」の堤防(以下「四割堤防」という。)とは、同ページの「対策工検討ケース」に示されているように、堤防天端の堤内地側の端部から堤内地盤までの法面全体について、鉛直距離に対する水平距離の比の値が四・〇である堤防をいうものである。
 また、代替案検討資料の六十六ページに記載している「現状堤防」及び四割堤防の安定計算に用いた数式は、代替案検討資料の五十五ページに示されているものを用いており、当該計算を行うに当たって用いた土質定数及び透水係数は、代替案検討資料のそれぞれ五十六ページ及び五十三ページの表に示されている値を用いている。

九の5の(8)について

 技術報告書においては、水文統計学的見地から、昭和五十一年洪水時における吉野川岩津地点上流の流域平均二日雨量を、雨量の値としては異常値であるとしているにすぎないものであり、昭和五十一年洪水の「波形」を堤防の浸透流解析を行うに当たっての外水条件として用いることが、御指摘の「過大な外水条件」となるとは考えられない。
 また、既往洪水の水位波形を計画高水位まで引き伸ばすことについても、堤防の浸透流解析を行う際の外水条件に関し、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説設計編[I]」(建設省河川局監修)の十六ページに「各洪水の基準地点における水位波形をもとに、堤内地盤高あるいは平水位以上の水位の継続時間を求め、これを計画高水位まで引き伸ばした台形波形に置き換えて外水を設定する方法もある。」と記述されていることに照らしても、御指摘のような「過大な外水条件」となるとは考えられない。

十の1について

 吉野川の建設省が管理する区間(建設省四国地方建設局吉野川ダム統合管理事務所の所管する区間を除く。)及び同川の第十堰下流の区間のそれぞれにおける河川法第二十五条の許可を受けた砂利採取量を年度別に示すと別表第九のとおりであるが、砂利採取量の実績については、現時点で確認することはできない。

十の2から5までについて

 第十堰の下流側の端部において、第十堰を構成するコンクリートより下部の土砂が流出した状能(以下「根浮き状能」という。)が生じている箇所が存在することは認識しているが、その根浮き状態が生じた時点を詳細に承知しているものではない。
 昭和三十六年度以降において、第十堰の災害復旧工事等を実施した箇所については、第十堰改築事業に関する質問へのお答えの十五ページに記載されている「第十堰本体災害復旧等履歴平面図」に示されているとおりであり、これらの箇所のうち昭和四十年度以降に徳島工事事務所が災害復旧工事等を実施した部分(以下「建設省による復旧部分」という。)の面積が下堰(第十堰の構造物のうち、吉野川の中央部から右岸にかけて設置されている上流側の固定堰を除いた部分をいう。)が設置されている土地の面積に占める割合は約八割程度であると考えている。また、昭和四十年度以降、現時点で確認できる範囲で、第十堰の災害復旧工事等に要した費用及びその内訳を年度別に示すと、別表第十のとおりである。
 建設省による復旧部分については、徳島工事事務所が平成八年二月に実施した目視による調査で確認した結果では、堰表面のコンクリートの亀裂及び破損、漏水等が確認されており、建設省による復旧部分についても将来災害復旧工事を要するような堰の損壊が生じる可能性は否定できないと考える。
 また、第十堰において、災害復旧工事を要するような堰の損壊及び根浮き状態については、河床低下のみを原因として生じたものと推測することは困難であり、内部が主として土砂等により構成されているという第十堰の構造そのものが大きな原因となって生じたものと考えられることから、第十堰の損壊を防ぐためには、抜本的な改築が必要であると考えているところである。

十一の1及び2について

 第十堰の撤去に伴う河床変動については、建設省四国地方建設局が作成し、平成八年七月十一日に開催された第四回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「第十堰撤去に伴う河床変動について」において、過去の河道の状況の変化から「第十堰を撤去することにより、堰上流の土砂は、撤去したあと数洪水で堰下流に移動し、昭和三十年度の安定した河床勾配とほぼ同様となって安定すると予想される」との判断を示しているところである。
 その後、建設省四国地方建設局において、河川砂防技術基準調査編の二百七十五ページ及び二百七十七ページに記載されている式(14-1)及び(14-15)、「河川の土砂災害と対策」(森北出版株式会社)の四十一ページに記載されている式(2・67)、「流砂の水理学」(丸善株式会社)の三百八十二ページに記載されている式(12・37)、式(12・39)等の計算式並びに吉野川の流量、河床材料の粒径分布、水理学上の諸定数等の数値を用い、第十堰を撤去した場合の吉野川の河床の変動に関する予測計算を行い、平成九年五月九日に開催された第六回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「第十堰に関わるせき上げ及び河床変動計算について」の三ページの「第十堰撤去後の河床変動予測」に示された第十堰撤去後の河床変動予測の計算結果を得ているものであり、当該計算結果が、昭和三十年度の平均河床から想定される縦断形にほぼ等しくなることから、「第十堰撤去に伴う河床変動について」において示された判断は妥当であると考えている。
 なお、御指摘の「昭和三十年度の河床勾配の想定」については、昭和三十年度の第十堰の上下流にわたる吉野川河口からの距離が十一キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の河床勾配から判断して、御指摘のように「河床勾配を大きくとりすぎて不適当」であるとは考えていない。

十一の3から6までについて

 御指摘の「川の蛇行」及び「澪筋形成」については、河川において一般に見られる現象であり、現在の第十堰を撤去し可動堰に改築した場合の吉野川の河道維持のための対策については、河川について通常必要とされる対策の程度と大きく変わらないものとなると考えられる。

別表第一~別表第十 1/23

別表第一~別表第十 2/23

別表第一~別表第十 3/23

別表第一~別表第十 4/23

別表第一~別表第十 5/23

別表第一~別表第十 6/23

別表第一~別表第十 7/23

別表第一~別表第十 8/23

別表第一~別表第十 9/23

別表第一~別表第十 10/23

別表第一~別表第十 11/23

別表第一~別表第十 12/23

別表第一~別表第十 13/23

別表第一~別表第十 14/23

別表第一~別表第十 15/23

別表第一~別表第十 16/23

別表第一~別表第十 17/23

別表第一~別表第十 18/23

別表第一~別表第十 19/23

別表第一~別表第十 20/23

別表第一~別表第十 21/23

別表第一~別表第十 22/23

別表第一~別表第十 23/23