質問第七号
地方公務員等共済組合等における現況届に対する市町村長の証明に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十年四月十日
上山 和人
参議院議長 斎藤 十朗 殿
地方公務員等共済組合等における現況届に対する市町村長の証明に関する質問主意書
我が国の年金制度は、国民年金、厚生年金保険、国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済、農林漁業団体職員共済組合によって構成されており、高齢者の生活を支えるものとして非常に大きな役割を果たしている。
さて、これらの年金の受給手続については、受給者の実情に配慮して、その負担の軽減を図っていくことが必要であることはいうまでもない。
現在、年金受給者は、毎年一回現況届を提出しなければならないとされ、現況届が提出されなかったり、提出が遅れると、提出までの間、年金は差し止められることとされている。そして、この現況届には市町村長の証明が必要とされていたところである。この手続は、高齢である年金受給者にとっては大きな負担であり、とりわけ山間部等に居住している高齢者や猛暑や厳冬の時期に証明を受けようとする高齢者からはその廃止が強く求められてきた。
このような声も踏まえ、本年一月から、社会保険庁が所管する国民年金、厚生年金については、この市町村長の証明は廃止され、受給者本人の自署による生存申立で足りることとされた。また、国家公務員共済組合については、本年四月一日から同様の措置がとられたところである。
他方、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済、農林漁業団体職員共済組合については、住民基本台帳ネットワークシステムの実施まで、市町村長の証明を必要とする現況届の提出を継続するといわれている。
一階部分の基礎年金においては、市町村長の証明が廃止されたにもかかわらず、地方公務員等共済組合など前述の職域年金についてはまだ証明が必要とされているため、これらに係る受給者は結局市役所等に出向かなければならず、せっかくの措置もその効果を発揮していないのが現状である。
現況届に対する市町村長の証明は、最大の加入者数をもつ社会保険庁が廃止し、同じ共済組合である国家公務員共済組合も廃止したところであり、年金制度全体の観点から、受給者の利便性の向上及び統一的な扱いを図り、このような手続面における不平等、不公平を早急に是正すべきであると考えるところ、地方公務員等共済組合等における現況届に対する市町村長の証明に関し、以下質問する。
一、社会保険庁が市町村長の証明を廃止した理由は何か。
二、社会保険庁は市町村長の証明廃止に伴う受給者の反応をどう把握しているか。
三、国家公務員共済組合について、他共済に先駆けて、市町村長の証明を廃止した理由は何か。また、廃止によって何らかの不都合が生じているか。
四、国家公務員共済組合の証明廃止に伴う受給者の反応をどう把握しているか。
五、地方公務員等共済組合について
1 今国会に提出されている住民基本台帳法の一部改正案が成立し、住民基本台帳ネットワークシステムが利用可能になるまで、現行の市町村長の証明を継続することとしているが、同じ共済組合である国家公務員共済組合と異なり、ネットワークシステムが利用可能となるまで証明を継続しなければならないとする理由は何か。
2 ネットワークシステムはいつから稼働するのか。
3 受給者の利便性等に配慮し、ネットワークシステムの稼働を待つことなく、社会保険庁、国家公務員共済組合と同様、早急に市町村長の証明を廃止すべきであると考えるが、いかがか。
4 証明を廃止するための法令上の措置は、「地方公務員等共済組合法施行規程」を改正すれば足りると考えるが、いかがか。
六、私立学校教職員共済について、受給者の利便性等に配慮し、早急に市町村長の証明を廃止すべきであると考えるが、いかがか。
七、農林漁業団体職員共済組合について、受給者の利便性等に配慮し、早急に市町村長の証明を廃止すべきであると考えるが、いかがか。
八、住民基本台帳ネットワークシステムの実施を待つまでもなく、平成九年一月に導入された基礎年金番号を活用することで、社会保険庁に提出された現況届によって、個別の被用者年金の現況届は廃止できると考えるが、いかがか。
右質問する。
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