質問主意書

第141回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

特別養護老人ホーム入所申請における健康診断書の費用負担等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成九年十一月二十一日

山下 栄一   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   特別養護老人ホーム入所申請における健康診断書の費用負担等に関する質問主意書

 特別養護老人ホームは、常時介護を必要とし、かつ在宅での介護が困難な高齢者を介護する施設として、新ゴールドプランにおいてもその整備が求められている。しかしながら、昨今、この特別養護老人ホームの入所手続きが煩雑であること、とりわけ入所申請に当たり提出を求められる健康診断書の費用負担に格差が大きく、かつその負担が重いとの指摘がなされている。さらに要介護高齢者にとって、その生活環境によっては健康診断書入手に際しての労力負担が計り知れないものとなっている。特別養護老人ホームに入所を希望する高齢者は低所得層も多く、こうした健康診断書の費用負担等については多くの疑問がある。
 こうした観点から以下質問する。

一、各市町村においては、特別養護老人ホームの入所申請に当たり長期、短期を問わず通例健康診断書の提出を求めているが、この理由について政府はどう認識しているか。

二、厚生省の「老人ホームへの入所措置等の指針について」(昭和六十二年一月三十一日 社老第八号)によれば、特別養護老人ホームへの入所に当たり伝染性疾患を有していないことを条件としているが、ここでいう伝染性疾患とはどのような疾患を念頭に置いているのか。また、これを証明するために、どこまでの検査を必要と考えているのか、具体的に示されたい。

三、前記指針によれば、入所判定審査票の「健康状態」欄に、老人保健法による健康診査の記録票(写)等を添付するものとしているが、この趣旨は何か。老人保健法による健康診査の記録票(写)が添付されていれば、別に詳細な健康診断書の提出は必要ないと考えるが、どうか。

四、市町村は、前記指針に基づき、特別養護老人ホーム入所に当たって必要な健康診断書の様式を定めているとしているが、様式及びその検査項目については市町村によって大きなばらつきがある。政府は、こうした実態をどこまで把握し、どのように認識しているか。

五、さらに、市町村によっては、前記指針に基づき、検査項目が既往症、現疾病、眼疾、耳疾、視力、聴力、精神障害の有無・程度、肢体障害の状況、老人性痴呆の有無、入院治療の有無、検便(細菌検査)(腸チフス菌・赤痢菌)、検尿、血液検査(HBS抗体・抗原、HCV―II、梅毒)、血圧・脈拍、X線写真撮影、赤沈等数十に及ぶ健康診断書を求めるとしているところもある。これらの項目は全て必要なものであると考えているのか。

六、市町村では、厚生省の行政指導であることを理由に、五に示したような詳細な健康診断書の提出を入所申請者に求めているところもある。厚生省は、前記指針以外に、そのような行政指導を行っているのか。仮に行っていないならば、前記指針の趣旨を正しく市町村に徹底させる必要があるのではないか。また、健康診断書の様式についても一定の基準を示すべきではないか。

七、多くの市町村が、五に示したごとく詳細な健康診断書の提出を入所申請者に求めているため、健康診断書に係る費用が一万円を超えることも少なくない。政府は、健康診断書の費用負担に係るこうした実態をどう把握し、これについてどのように認識しているか。

八、市町村が特別養護老人ホーム入所申請に当たり健康診断書の提出を求める場合には、その費用は公費で負担すべきではないか。また、国としてもそのための財政支援を行うべきではないか。

九、さらに、医療機関によって健康診断書の料金がまちまちなため、不公平感が生じている。同じ様式の健康診断書について、余りに格差が生じることは問題ではないか。是正策を講じるべきではないか。また、健康診断書料金について広告あるいは院内表示を行うべきではないか。

十、また、老人保健施設の入所に当たっても市町村からの指示ではなく、個々の施設の要請による健康診断書に係る費用負担の問題が同様に生じている。こうした実態について、政府はどのように把握し、認識しているか。

十一、政府は、現在介護保険法案を提出しているが、仮に介護保険制度が導入された場合には、特別養護老人ホーム入所申請の手続き及び必要書類はどうなるか。要介護認定の申請の他に、入所に当たり別途申請手続き・申請書類が必要となるのか。特に、入所に当たり改めて健康診断書等の提出は必要か。

十二、介護保険法案においては、要介護認定に当たりかかりつけ医の意見書を求めているが、このかかりつけ医の意見書の費用負担について示されたい。

  右質問する。