質問主意書

第140回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一四〇第一七号

  平成九年七月一日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


        参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員山下栄一君提出アスベスト除去工事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員山下栄一君提出アスベスト除去工事に関する質問に対する答弁書

一について

 石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準耐火建築物における石綿等の除去作業の仕事を行う建設業の事業者が、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第八十八条第四項の規定に基づく計画の届出を行っていない場合、当該事業者は、同法第百二十条第一号の規定に基づき、五十万円以下の罰金に処することとされている。労働省においては、このような場合、まず第一に、当該事業者に対し、直ちに届出を行い又は今後の届出を徹底するよう指導を行うこととしており、個別の事案に応じて適切に対処することとしている。
 なお、労働安全衛生法第八十八条第四項に基づく計画の届出は、建設業等の事業者の義務とされており、施工主に対しては当該義務は課せられていない。

二について

 石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の破砕等の作業に労働者を従事させる事業者が、労働安全衛生法第二十二条第一号及び第二十七条第一項に基づく特定化学物質等障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)第三十八条の八から第三十八条の十一まで(第三十八条の九第三項を除く。)の規定に基づき石綿等を湿潤な状態のものとする等の措置を講じていない場合、当該事業者は、同法第百十九条第一号の規定に基づき、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処することとされているほか、同法第九十八条第一項の規定に基づき、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、当該事業者に対し、作業の全部又は一部の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができることとされており、労働省としては、個別の事案に応じて、必要な指導を行うことを含め適切に対処することとしている。
 なお、特定化学物質等障害予防規則第三十八条の八から第三十八条の十一まで(第三十八条の九第三項を除く。)に規定する措置は、事業者の義務とされており、施工主に対しては当該義務は課せられていない。

三について

 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第二条第八項に規定する特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(以下「特定工事」という。)であって本年四月一日以後に開始されたものについては、同法第十八条の十五第一項の規定に基づき、特定工事を施工しようとする者は、氏名、特定工事の場所等を都道府県知事(大気汚染防止法施行令(昭和四十三年政令第三百二十九号)第十三条に定める市の長を含む。以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならないこととされている。また、同法第十八条の十七の規定に基づき、特定工事を施工する者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業について、特定粉じんの排出又は飛散を抑制するための作業基準を遵守しなければならないこととされている。
 大気汚染防止法第十八条の十五第一項の規定による届出をしなかった者は、同法第三十四条の規定に基づき、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処することとされている。また、都道府県知事等は、特定工事を施工する者が当該特定工事における特定粉じん排出等作業について作業基準を遵守していないと認めるときは、同法第十八条の十八の規定に基づき、その者に対し、期限を定めて当該特定粉じん排出等作業について作業基準に従うべきことを命じ、又は当該特定粉じん排出等作業の一時停止を命ずることができることとされている。
 これらの規定に基づき、個別の事案に応じて適切に対処されているところである。
 なお、大気汚染防止法第十八条の十五第一項に基づく届出義務及び同法第十八条の十七に基づく作業基準の遵守義務は、特定工事を施工する者に課せられており、施工主に対しては当該義務は課せられていな
い。

四について

 廃石綿等の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第五号に規定する特別管理産業廃棄物については、同法第十九条の四の規定に基づき、同法第十二条の二第一項に規定する特別管理産業廃棄物処理基準に適合しない処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)は、当該処分を行った者又は当該者に同法第十二条の二第三項の規定に違反して特別管理産業廃棄物の処分を委託した者に対し、期限を定めて、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができることとされている。また、同法第二十六条第五号の規定に基づき、同法第十六条の規定に違反して特別管理産業廃棄物を捨てた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処することとされている。
 これらの規定に基づき、個別の事案に応じて適切に対処されているところである。