質問主意書

第139回国会(臨時会)

答弁書


第百三十九回国会答弁書第二号

内閣参質一三九第二号

  平成九年一月二十八日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員竹村泰子君提出ダム等事業に係る事業評価方策の試行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員竹村泰子君提出ダム等事業に係る事業評価方策の試行に関する質問に対する答弁書

一の1のア及びイについて

 「ダム等事業に係る事業評価方策の試行について」(平成七年七月十四日建設省河開発第九十八号建設省河川局長通達。以下「河川局長通達」という。)記1中「目的、内容等を審議する」には、ダム等事業審議委員会(以下「審議委員会」という。)の審議の対象とされたダム等事業(以下「審議対象事業」という。)について、当該審議委員会の審議時点における事業の目的及び内容の妥当性を審議することが含まれると考えている。

一の1のウ及びエについて

 地方建設局長等が、審議対象事業の目的、内容等に対する地域の意見を当該事業に対する賛否の別を問わず聴取するものである。

一の1のオについて

 御指摘の「「的確に聴取」できたか否か」については、建設省において判断する。

一の2のアについて

 審議委員会の構成を審議対象事業に関係する地域の意見が的確に反映されるものとするため、当該地域の存する都道府県を代表する都道府県知事及びその推薦する者を委員とすることが適切であると考えたものである。

一の2のイについて

 審議対象事業の用地となる区域については、当該事業の影響を直接受けるものであることにかんがみ、当該区域をその区域に含む市町村の長及び当該市町村の議会の議長を委員とすることが適切であると考えたものである。

一の2のウについて

 河川局長通達記3(2)(ロ)中「的確に反映」とは、学識経験のある者が審議対象事業の目的、内容等に対する地域の意見を理解し、これを審議委員会の意見に反映させるという趣旨である。

一の2のエについて

 審議対象事業に関係する地域の存する都道府県を代表する都道府県知事が判断する。

一の2のオについて

 審議委員会の委員への謝金の支払いに関する特別な基準は定められていないが、委員の経歴等を勘案して決定された額の謝金が地方建設局長等から支払われる場合がある。

一の2のカについて

 審議委員会は、ダム等事業の目的、内容等を審議するものであり、当該審議委員会の委員への謝金は、治水特別会計法(昭和三十五年法律第四十号)第三条に規定する治水勘定等から支出されている。

一の3のア及びイについて

 河川局長通達記4(2)中「委員会の意見を尊重することとし、当該事業のその後の進め方について検討」とは、審議委員会の意見を受け、これを可能な限り反映して、審議対象事業のその後の進め方について検討を行うという趣旨である。

一の3のウについて

 建設省中国地方建設局長が、平成八年六月十日に苫田ダム建設事業審議委員会から提出された「苫田ダム建設事業についての答申」を受けて、苫田ダム建設事業のその後の進め方について検討を行った。

一の3のエについて

 御指摘の「報告」は、平成八年六月十三日に行われた。

一の3のオについて

 御指摘の「報告」は、苫田ダム建設事業審議委員会から提出された「苫田ダム建設事業についての答申」を受け、当該答申を尊重して苫田ダム建設事業を進める旨の建設省中国地方建設局長の判断を示したものである。

一の3のカ及びキについて

 審議対象事業の進め方については、関係地方建設局長等からの報告を受けて、建設省において判断する。

一の3のクについて

 苫田ダム建設事業の進め方に関する判断については、「「苫田ダム建設事業審議委員会の答申」を受けて」(平成八年六月十九日)により公表した。

一の4について

 平成七年度に審議委員会を設置することとした十一事業は、審議委員会の設置による事業評価方策が試行という位置付けであることから、平成七年度までに事業に着手しているダム、堰若しくは湖沼水位調節施設の新築若しくは改築又は遊水池総合開発事業で、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項に規定する基本計画等の事業計画(以下「事業計画」という。)が未作成の事業又は事業計画の作成後長期間が経過し社会経済情勢の変化により事業評価が必要と判断された事業の中から、建設省河川局において、総合的な見地から、当面地方建設局等ごとに原則として一事業を選定し、関係地方建設局等に連絡したものである。

二の1のアについて

 審議委員会の委員を委嘱するものである。

二の1のイについて

 審議委員会の委員の委嘱は、審議対象事業に対する地域の意見を的確に聴取するために行うものである。

二の1のウについて

 既に設置された各審議委員会の委員の委嘱については、審議委員会を設置した地方建設局長等から各委員あての文書等によって行っている。

二の1のエについて

 既に設置された各審議委員会の委員の委嘱年月日及び委嘱状等の文面は、別表第一のとおりである。

二の1のオについて

 審議委員会の委員のおおむねの数は、関係都道府県知事が審議委員会の委員を推薦するに当たっての目安として定めたものである。

二の2のアについて

 御指摘の「会議終了の都度」は、会議の議事内容の概要を一回の会議ごとに公表すべきことを定めたものであり、御指摘のような「期間」を定めたものではない。

二の2のイについて

 審議委員会の議事内容の「概要」としてどの程度のものを公表するかについては、特に定めていない。

二の2のウについて

 御指摘の「公表」については、審議委員会が、議事内容の概要を記者会見等を通じて周知することによって行っている。

二の2のエについて

 議事内容の概要の公表は、今回の事業評価方策の試行の目的である事業評価の一層の透明性及び客観性の確保に関して極めて重要な要素であり、これが行われないような事態は生じないと考えている。

二の3について

 審議委員会は、その構成を審議対象事業に対する地域の意見が的確に反映されるものとするため、関係都道府県知事及びその推薦する者を委員としており、地域住民等からの意見聴取等を含む委員会の運営も同委員会自らの判断において行うこととしていることから、当該事業の目的、内容等に対する地域の意見を的確に反映しうる十分な審議が行われるものと考えている。

二の4のアについて

 地域住民等からの意見聴取等を含む審議委員会の運営については、当該審議委員会が自ら判断して行うものである。

二の4のイについて

 苫田ダム建設事業審議委員会の運営については、同委員会が自ら判断して行ったものである。

二の4のウについて

 これまで開催された調査専門委員会等の各委員については、それぞれ文書により委嘱が行われている。

二の4のエについて

 成瀬ダム事業審議委員会、宇奈月ダム事業審議委員会、徳山ダム建設事業審議委員会、吉野川第十堰建設事業審議委員会及び川辺川ダム事業審議委員会は、それぞれ「成瀬ダム事業審議委員会環境・地質等調査専門委員会規則」、「宇奈月ダム事業審議委員会排砂調査専門委員会規則」及び「宇奈月ダム事業審議委員会公聴会規則」、「徳山ダム建設事業審議委員会技術部会及び環境部会規則」及び「徳山ダム建設事業審議委員会公聴会規則」、「吉野川第十堰建設事業審議委員会公聴会要領」並びに「川辺川ダム事業審議委員会公聴会規則」を定めている。また、沙流川総合開発事業審議委員会、渡良瀬遊水池総合開発(II期)事業審議委員会及び足羽川ダム建設事業審議委員会は、それぞれ公聴会等の実施要領に係る文書を作成している。

二の5のアについて

 事業計画の原案等の説明は、審議対象事業の目的、内容等の評価を行うに当たって、その一層の透明性及び客観性を確保する観点から必要とされるものであると考えている。

二の5のイについて

 例えば、審議委員会を設置した地方建設局長等が、当該審議委員会における審議のために必要であると判断した資料を提供する行為が考えられる。

二の5のウについて

 河川局長通達記8は、審議対象事業の目的、内容等の評価を行うに当たって、その一層の透明性及び客観性を確保する観点から、地方建設局長等は審議委員会に対する情報公開に努めるべきことを定めたものである。

三の1のア及びイについて

 審議委員会を設置した地方建設局長等が、当該審議委員会の審議に必要な資料の提供等の協力を行い、情報公開に努めるものである。

三の1のウについて

 ダム等事業を進めるに当たっては、当該事業の目的、内容等の評価の一層の透明性及び客観性を確保する観点から、広く情報公開に努めるべきものと考えている。

三の2のアについて

 御指摘の「新たな段階」については、例えば事業計画の作成、ダム本体の建設工事の着手等を想定しているが、審議対象事業ごとにその進捗状況が異なるため、一律に示すことはできない。

三の2のイ及びウについて

 審議対象事業が新たな段階に入る前に審議委員会の意見を聴くこととしたのは、当該意見が述べられない限り、新たな段階には入らないという趣旨であり、当該事業のその後の進め方については、当該審議委員会の意見を聴取した後に建設省において判断することとしている。なお、ここにいう「新たな段階に入らない」とは、基本的には、当該新たな段階に係る予算執行等を行わないという趣旨である。

三の2のエについて

 審議委員会を設置した事業ごとの当該審議委員会の開催時における「新たな段階」については、別表第二に示すとおりであると考えている。

四について

 審議委員会は、その構成を審議対象事業に対する地域の意見が的確に反映されるものとするため、関係都道府県知事及びその推薦する者を委員としており、地域住民等からの意見聴取等を含む委員会の運営も同委員会自らの判断において行うこととしていることから、当該事業の目的、内容等に対する地域の意見を的確に反映しうる十分な審議が行われた上で当該審議委員会の意見が述べられるものと考えており、建設省は、これを尊重して当該事業のその後の進め方について判断を行うこととしているところである。

別表第一 1/3

別表第一 2/3

別表第一 3/3

別表第二 1/2

別表第二 2/2