質問主意書

第136回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

乳幼児医療助成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成八年六月十一日

木庭 健太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   乳幼児医療助成に関する質問主意書

 我が国においては、現在急速に少子化が進んでいる。女性が一生に生み育てる子どもの数を示す合計特殊出生率は平成六年度には一・五となり、出生率の低下傾向は依然として続いている。
 二十一世紀の我が国を担う子どもたちを、心身ともに健やかに育てるための環境づくりを進めることは、高齢化社会対策と並んで政府の最も重要な課題である。くわえて、少子化、核家族化の進行、働く女性の増加や家庭のなかでの養育の変化など、児童と家庭を取り巻く環境も多様化している。こうした中で生まれてくる子どもたちの健康を守り、健やかな成長を保障することは、未来の世代に対する我々の大きな責務である。
 地方自治体の努力により、既に全都道府県は何らかの形で乳幼児医療費に対する助成を行い、住民からは六才未満の未就学児童に対する医療費の無料化を望む声は強い。
 乳幼児は病気にかかりやすく、特に、アトピー性疾患の増大は、今日社会問題ともなっている。アトピー性疾患を持つ子どもは通院回数も多く、親たちの経済的・精神的負担も大きい。
 このような状況を踏まえ子どもを育てる親たちの経済的・精神的負担を軽減し、乳幼児に対する医療の確保を図ることが強く求められている。
 以上の観点から、次の事項について質問する。

一 全ての子どもに等しく医療を保障し、子どもを持つ家庭に対する経済的コストの軽減を図ることに対する国の責務についてどう考えるか。子どもを健やかに生み育てる環境づくりの一環として、全ての乳幼児に対する医療費の無料化もしくは軽減を図るべきと考えるが、政府の見解はどうか。

二 アトピー性疾患の実態についてどう把握しているか。アトピー性疾患に罹患している者、罹患歴のある者の割合、呼吸器や皮膚等のアレルギー疾患を持つ乳幼児の通院回数、医療費負担について明らかにされたい。また、アトピー性疾患の増大に対し、国は今後どのような対策をとる考えか、政府の見解を伺いたい。

三 現在、全ての都道府県において乳幼児医療費に対する助成が行われている。

1 各自治体において行われている乳幼児医療費助成制度の趣旨及び全ての都道府県が取り組むに至った理由についてどう認識しているか。また自治体の取り組みの趣旨に対する見解を示されたい。
2 各自治体において現在行われている乳幼児医療費助成事業の対象、対象年齢、所得制限、自己負担等の状況について明らかにされたい。
3 自治体によって医療費助成制度に大きな格差が生じていることは、全ての子どもに等しく医療を保障するという観点から、問題ではないか。国が、ナショナル・ミニマムとしての医療費助成を行う必要があるのではないかと考えるが、政府の見解はどうか。

四 平成四年三月九日の衆議院予算委員会において当時の山下厚生大臣は、乳幼児の医療費無料化について、「今後検討すべき問題である。」旨答弁している。この答弁を受けての検討状況、問題点の整理はどうなっているか。

五 エンゼルプランにおいて、子育てに伴う「経済的負担の軽減の観点から、税制上の措置や児童手当、年金等の社会保障制度等を含め子育てコストへの社会的支援の在り方について検討する。」とされているが、この検討状況について明らかにされたい。この趣旨に則り、乳幼児医療費の無料化もしくは軽減策についても検討する必要があると考えるが、政府の見解はどうか。

六 高齢者に対しては老人保健制度があり、一部負担の軽減がなされている。

1 高齢世帯及び末子が六歳未満の世帯について、その一人当たり平均所得及び生活が苦しいと感じているものの割合について、それぞれ明らかにされたい。
2 高齢者に対して医療費の一部負担を軽減しつつ、有病率が高齢者に次いで高く、世帯の一人当たり所得は高齢世帯よりも少ない乳幼児に対して、医療費の軽減を行わない理由は何か。

  右質問する。