質問主意書

第136回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

市街地上空の自衛隊機飛行訓練等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成八年五月十七日

栗原 君子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   市街地上空の自衛隊機飛行訓練等に関する質問主意書

 昭和六二年一一月下旬頃より、東京都小平市、国分寺市両市の住宅地域において、陸上自衛隊立川基地、航空自衛隊入間基地の所属機及び海上自衛隊厚木基地、その他の関係基地の所属機による自衛隊機の低空飛来及び飛行訓練が、突然開始された。そして現在に至るまで、日に延べ数では数十機、時には百機を超す自衛隊機が飛来し、訓練が常時行われるようになった。また一時間当たり十数機から時には数十機に及ぶ集中的な飛来が度々行われており、当該地域の住民の生活環境は著しく悪化している。ちなみに飛来機の飛行高度は目測で三〇〇メートルから六〇〇メートル程の低高度であり、飛行騒音値は基地周辺なみの七〇から八〇ホン以上に達することが小平市当局の調査で判明している。また、飛来数の多さからの墜落事故も予測され、地域住民への危険性のみならず、当該地域に設定された飛行コース及び訓練空域が局所的に複数交錯し、重なり合うなか、たびたびニアミスが目撃されており、万一の空中衝突事故の危険が懸念される。
 そこで、首都有数の住宅地域であり、騒音規制等の最も厳しい第一種住専地域を多数含み、かつ、基地周辺外地域である両市上空において、なぜ多数の自衛隊機が頻繁に低空飛来し、飛行訓練を行うのか、以下質問する。

一 昭和六二年一一月下旬頃より、東京都小平市、国分寺市両市の住宅地域において、陸上自衛隊立川基地所属のヘリコプターHU-1、OH-6及び固定翼機LR-1など多数低空飛来を行っているが、同基地広報ではパイロットの養成訓練、体験飛行研修、編隊飛行訓練など各種の飛行訓練を行っているためであると、回答している。そして特に飛来の多いコースは、小平市内のブリヂストン工場と多摩川の関戸橋間を南北方向に往復巡回するコース(以下Aコースという)と、Aコースより東方よりの西武多摩湖線沿いに同市内の日立武蔵工場上空を南北方向に往復巡回するコース(以下Bコースという)である。この飛行訓練コースについて次の三点を質問する。

1 前記Bコースは、同基地の管制圏外であり、航空図(平成六年、鳳文書林発行)及び運輸省のAIPスモールバージョン航空路誌に登録記載がない。管制圏外に飛行コースもしくは飛行訓練空域を許可無く設定し、かつ、そこで頻繁に各種の飛行訓練を行い、運用することは航空法に違反しているのではないか。
2 自衛隊機の飛行訓練空域としては、関東地域ではH空域、第三空域、第四空域などがあるにもかかわらず、小平、国分寺市などの人口集中した住宅地域上空で飛行訓練を行うことは、指定区域で飛行訓練を行うことを定めた航空法に違反するのではないか。
3 航空図によると東京都小平市、国分寺市両市には、運輸省指定の飛行訓練空域は、存在せず、仮に両市内で飛行訓練を行うとする場合、航空法に基づく飛行計画の許可申請が必要である。

(1) 陸上自衛隊立川基地等から、飛行訓練、体験搭乗飛行などの飛行計画の許可申請が出されているか。
(2) また、その飛行計画を承認したとすれば、それはどのような理由によるものなのか。
(3) また、飛行計画の許可申請が出されているとするならば、昭和六二年一一月から現在までの飛行計画の許可について、その実施年月日、飛行コース、訓練目的、機種、飛行高度等を明らかにされたい。

二 昭和六二年一一月下旬頃より、東京都小平市、国分寺市両市の住宅地域において、航空自衛隊入間基地所属の輸送機C-1、YS-11、練習機T-33、T-4、B-65、輸送ヘリCH-47等多数低空飛行を行っているが、同基地による慣熟飛行訓練、タッチアンドゴー訓練、GCA誘導訓練等の各種の飛行訓練を行っているためであると同基地広報では回答している。これらの飛行訓練コースは、同基地より南進し、小平市、国分寺市両市上空でUターンするものであるが、航空図記載の同基地への進入コースとは明らかに異なっている。そこで以下四点について質問する。

1 前記の飛行訓練コースは、航空図に記載なく、また同基地の管制圏外である。したがって前記飛行訓練コースで飛行訓練及び進入を行うことは航空法に違反するのではないか。
2 自衛隊機の飛行訓練空域は、関東地域ではH空域、第三空域、第四空域などがあるにもかかわらず、小平、国分寺市などの人口集中した住宅地域上空で航空自衛隊入間基地所属の大型輸送機等が飛行訓練を行うことは、指定区域で飛行訓練を行うことを定めた航空法に違反するのではないか。
3 航空図によると東京都小平市、国分寺市両市には、運輸省指定の飛行訓練空域は、存在せず、仮に両市内で飛行訓練を行うとする場合、航空法に基づく飛行計画の許可申請が必要である。

(1) 航空自衛隊入間基地から、同基地所属の大型輸送機等による各種の飛行訓練の飛行計画の許可申請が出されているか。
(2) また、その飛行計画を承認したとすれば、それはどのような理由によるものなのか。
(3) また、飛行計画の許可申請が出されているとするならば、昭和六二年一一月から現在までの飛行計画の許可について、その実施年月日、飛行コース、訓練目的、機種、飛行高度等を明らかにされたい。

4 運輸省のAIPスモールバージョン航空路誌に、現在登録記載されている入間基地への南東方向からの進入コースは、前記のUターンコースとともに飛来が多く、両市内での集中的な多数飛来の要因の一つとなっているが、入間基地のこの進入コースの運用を許可した理由は何か。また許可した時期は何年何月か。

三 昭和六二年一一月下旬頃から開始された東京都小平市、国分寺市両市の住宅地域上空において、陸上自衛隊立川基地、航空自衛隊入間基地に所属する自衛隊機による集中的な低空飛来において、極端な場合、高度差及び水平距離で一〇〇メートル内外の極至近のニアミスが目撃され、うち数件がビデオ撮影されている。航空法第七十六条の二には、異常接近の報告の義務が規定されている。そこで、昭和六二年一一月から現在までの期間において、両市上空での自衛隊機によるニアミスは報告されているのか。また、報告されていれば、そのすべてについての内容を明らかにされたい。

  右質問する。