質問主意書

第134回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一三四第一号

  平成七年十一月十四日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員田英夫君提出村山内閣の基本姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田英夫君提出村山内閣の基本姿勢に関する質問に対する答弁書

一について

 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十五条第二項の規定により、内閣は、質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁をしなければならないこととされており、内閣としては、質問主意書が議長から転送された後、速やかに関係国務大臣に回付し、これに対する答弁書を期限内に閣議に付議した上で国会に提出しているものである。
 なお、質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁をすることができないときは、国会法の規定に基づき、その理由及び答弁をすることができる期限を明示して、延期の手続を行っているところである。
 関係国務大臣は、閣議に付議される案件については、事前にその内容等を承知して閣議に臨んでおり、質問主意書及び質問主意書に対する答弁書についても同様である。
 今後とも質問主意書については、国会法の規定に基づき、適切に対処してまいりたい。

二の1のイについて

 証券取引所に株式を上場している銀行の平成七年三月期の有価証券報告書に記載された役員のうち、大蔵省の職歴のある者及び日本銀行の職歴のある者は、それぞれ別表一及び別表二のとおりである。

二の1のロについて

 銀行の短期プライムレートは、短期金融市場の動向、調達コスト等を総合的に勘案の上、各銀行が経営判断により決定しているところである。
 大蔵省としては、短期プライムレート及びその引下げの実施時期の報告は求めていない。

二の1のハについて

 大蔵省が御指摘の手紙の写しを受領した日時は、平成七年九月二十九日の午後二時ごろであり、その場所は、大蔵省の庁舎内である。

二の1のニについて

 大蔵省が御指摘の事実について報告を受けた日時は、平成七年九月十二日の午後六時ごろであり、その場所は、大蔵省の庁舎内である。
 なお、平成七年八月八日に大蔵省は、大和銀行から、「多額の損失を生じさせた旨の行員の告白の手紙を受け取ったが、真偽のほどが明らかでないので、事態の把握に努め、状況がわかり次第報告したい。」との説明を受けている。

二の1のホについて

 法令に照らして問題にすべきような事実があったという疑いがないにもかかわらず、職員の会食の状況等について調査を行い、これを公表することは、職員のプライバシー保護の観点から適当ではないと考える。
 いずれにせよ、公務員は、いやしくも国民の不信を招くような行為については、厳に慎むべきことは当然であり、大蔵省としては、今後とも綱紀の粛正に全力を尽くしてまいりたい。

二の1のヘについて

 大蔵省における人事管理は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)等に基づき、適正に行われており、今後とも、人事異動については、適材適所の考え方に立って適切に行ってまいりたい。

二の2について

 現在、大蔵省の担っている予算編成、徴税、金融等のすべての機能は、いずれも経済運営上密接に関連する重要な政策手段であり、これらの機能を一つの省で一体的に運営することが、我が国経済の円滑かつ効率的な運営に必要不可欠であると考える。
 いずれにせよ、中央省庁の在り方については、中長期的な検討課題の一つと認識しているが、中央省庁は国の行政機構の最も根幹をなす組織であり、その改編の影響は極めて大きいと考えられることから、様々な観点から十分慎重に検討することが必要と考える。

三の1について

 昭和五十八年九月十三日に採択された衆・参両院決議を受けて政府としては、一貫して国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)を通じての真相究明を促進すべく努めてきたところである。したがって、御質問の点については、ICAOに関する事務を所掌している外務省の担当部局が、省内の関係部局及び関係省庁と連絡し、協議した上で対応してきた。なお、外務省における担当部局は、事件発生後昭和五十九年六月三十日までは国際連合局専門機関課、同年七月一日以降平成五年七月三十一日までは同局社会協力課、同年八月一日以降は経済局国際経済第二課である。

三の2について

 昭和五十八年十二月に公表された大韓航空機撃墜事件に関するICAO事実調査報告書(以下「昭和五十八年の報告書」という。)については、同年十二月ICAO第百十回理事会において公表を決定し、その実質審議は、翌昭和五十九年一月の第百十一回理事会において行われたところである。また、平成五年六月に公表された大韓航空機撃墜事件に関するICAO事実調査最終報告書(以下「最終報告書」という。)については、同年六月の第百三十九回理事会において審議し、公表を決定したところである。我が国政府代表として、第百十回理事会には山田中正外務省国際連合局長、第百十一回理事会には遠藤哲也外務省国際連合局審議官及び第百三十九回理事会には迎増金ICAO理事会日本政府代表が出席したところである。なお、いずれの報告書についても、御指摘のような採択といった措置はとられなかった。

三の3について

 御指摘の答弁書においては、政府として国会に提出するため最終報告書の公式の訳文を作成することは、調査の内容を独自に解釈し、ICAOによる調査の中立性、一貫性を損なうおそれがあるので差し控えたいとの趣旨を述べたものであり、御理解頂きたい。

三の4について

 御質問の期間中、運輸省の一般会計から分担金としてICAOに対して毎年支払った額及び我が国の政府職員でICAOに就職していた者の人数は以下のとおりである。

1 我が国がICAOに対して支払った分担金の額

昭和五十八年度 五〇五、三〇五、〇〇〇円
昭和五十九年度 六〇二、六一一、〇〇〇円
昭和六十年度  六〇七、四五〇、二一一円
昭和六十一年度 五七〇、五一七、二一一円
昭和六十二年度 四四六、一二一、八八八円
昭和六十三年度 三七九、三四八、〇五六円
平成元年度   三七三、六七一、六〇三円
平成二年度   四四一、六六九、一三六円
平成三年度   五三五、一一四、三六一円
平成四年度   五八〇、四五五、三六六円
平成五年度   六三四、三四一、八六八円
平成六年度   六〇三、五六四、〇〇〇円

 なお、義務的拠出である右分担金の外に、我が国は、最終報告書作成のための経費として、平成四年度に外務省の一般会計から五百十六万円(四万米ドル)拠出したところである。

2 我が国政府職員でICAO事務局に勤務していた者の人数

昭和五十八年 一名
昭和五十九年 〇名
昭和六十年  一名
昭和六十一年 二名
昭和六十二年 二名
昭和六十三年 三名
平成元年   三名
平成二年   一名
平成三年   二名
平成四年   三名
平成五年   三名
平成六年   三名

三の5について

 昭和五十八年の報告書を作成した際のICAOの主要委員会の長並びに事務局の課長以上の幹部職員の職名、氏名及び組織図は別表三及び別図一のとおりである。
 また、最終報告書を作成した際のICAOの主要委員会の長並びに事務局の課長以上の幹部職員の職名、氏名及び組織図は別表四及び別図二のとおりである。

三の6のイ及びロについて

 フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの分析は、P.ROCHAT(ロシャ)ICAO事務局長の指揮の下、技術的細部についてはICAO事実調査団(以下「調査団」という。)のC.FROSTELL(フロステル)団長を中心に、調査団が全体として行ったものである。調査団の構成員の氏名、国籍及び略歴は別表五のとおりである。

三の6のハについて

 御指摘の韓国語の会話の英語への翻訳は、韓国からのオブザーバー二名と英語を母国語とするオブザーバーを中心に、調査団及び各国のオブザーバーにより行われた。韓国からのオブザーバーの氏名及び当時の職名は以下のとおりである。なお、右オブザーバーの年齢、略歴は承知していない。

Y.K.PARK(パク) 大韓航空パイロット
Y.S.HAN(ハン)  大韓航空技術者

三の7のイについて

 御指摘の分析にオブザーバーが立ち会った日時は、平成五年一月十一日から二十二日までで、 場所 はフランスのパリにあるBUREAU ENQUETES-ACCIDENTS(以下「事故調査局」という。)及びCENTRE D’ESSAIS EN VOL DE BRETIGNY-SUR-ORGE(以下「飛行実験センター」という。)である。

三の7のロについて

御指摘の四か国のオブザーバーの氏名及び当時の職名は以下のとおりである。なお、各国オブザーバーの略歴は承知していない。

日 本 台木 一成                  運輸省航空局調査員
米 国 T.R.JACKY(ジャッキー)       米国運輸安全委員会レコーダー専門家
    T.D.MCFALL(マクフォール)     米国運輸安全委員会ダラス事務所長
    R.L.SCHLEEDE(シュレード)    米国運輸安全委員会事故調査担当
ロシア R.A.TEYMURAZOV(テイムラゾフ) 運航安全委員会議長
    V.D.KOFMAN(コフマン)       科学調査研究所(CFSI)所長
    V.GORBOUNOV(ゴルブノフ)     国防省少将
    P.DOROSTCHENKO(ドロスチェンコ)国防省大佐
    V.A.ROUTCHKINE(ルチキネ)   ロシアICAO担当委員会事務局長
韓 国 Y.K.PARK(パク)           大韓航空パイロット
    K.H.KIM(キム)            運輸省民間航空局事故調査担当
    Y.S.HAN(ハン)            大韓航空技術者
    W.J.LEE(リー)            運輸省民間航空局課長
    H.U.JUNG(チョン)          在仏韓国大使館一等書記官

三の8について

 分析作業を含め最終報告書作成のためにICAOが支出した経費の総額は十二万八千七百八十八米ドルであり、同経費のうち、我が国が四万米ドル、米国が五万米ドル、韓国が三万五千米ドル及びカナダが三千七百八十八米ドルを負担した。なお、ロシアは経費を負担していない。

三の9について

 御指摘のフライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの分析作業のため、ICAOに対し、施設、専門家及び役務を提供した国は以下のとおりである。なお、いずれの国も施設、専門家及び役務を無償で提供している。

フランス  事故調査局及び飛行実験センターの施設及び専門家の提供
カナダ   ボイス・レコーダーの一部解析

三の10について

 御指摘の中間報告書は、最終報告書作成の審議のための資料であり、当初から公開を目的としたものではなく、現在においてもICAOの文書の取扱上部外秘となっている。最終報告書の追補は既に公表されているところであるが、最終報告書本体に大韓航空〇〇七便の航行シミュレーション実験に係る記述を追加するためのものである。

三の11について

 御指摘の米空軍の規則については承知していない。

三の12について

 ICAOの航空委員会は、昭和五十八年以降、大韓航空機事件に関し、かかる事件の再発防止のための安全対策につき検討を続け、国際民間航空条約の附属書の見直し及び改正を行ってきたところである。最終報告書についても、ICAO理事会において、最終報告書により新たに明らかになった事実を踏まえ、国際民間航空条約の附属書の見直しを続けるよう求められているところであるが、最終報告書自体の検討は行っていないと承知している。

三の13及び14について

 昭和五十八年九月一日にソ連機が大韓航空機を撃墜した事件については、この事件の異常性と重大性にかんがみ、真相究明のため、交信記録のテープを内閣総理大臣の決裁を経て米国に提供したが、具体的な提供方法等については、事柄の性格上、答弁することを差し控えたい。
 なお、御指摘の「『日本の情報機関』が作成した報告書」については承知していない。

別表一 1/6

別表一 2/6

別表一 3/6

別表一 4/6

別表一 5/6

別表一 6/6

別表二 1/4

別表二 2/4

別表二 3/4

別表二 4/4

別表3 1/6

別表3 2/6

別表3 3/6

別表3 4/6

別表3 5/6

別表3 6/6

別表4 1/6

別表4 2/6

別表4 3/6

別表4 4/6

別表4 5/6

別表4 6/6

別表5 調査団の構成員の氏名、国籍及び略歴

別図1 国際民間航空機関(ICAO)事務局組織図(1983年12月31日現在)

別図2 国際民間航空機関(ICAO)事務局組織図(1994年1月1日現在)